|更新日 2020.5.27
|公開日 2018.1.13

【問 1】 Aは、自己所有の建物について、災害により居住建物を失った友人Bと、適当な家屋が見つかるまでの一時的住居とするとの約定のもとに、使用貸借契約を締結した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 Bが死亡した場合、使用貸借契約は当然に終了する。

 Aがこの建物をCに売却し、その旨の所有権移転登記を行った場合でも、Aによる売却の前にBがこの建物の引渡しを受けていたときは、Bは使用貸借契約をCに対抗できる。

 Bは、Aの承諾がなければ、この建物の一部を、第三者に転貸して使用収益させることはできない。

 適当な家屋が現実に見つかる以前であっても、適当な家屋を見つけるのに足りると思われる期間を経過した場合は、AはBに対し、この建物の返還を請求することができる。
(平成17年問10)

 解説&正解 
【1】 [使用貸借の終了]
借主が死亡すれば、使用貸借契約は当然に終了する。
使用貸借は、貸主の厚意によって無償で借主個人に貸したものだから、借主本人が死亡すれば、当然に終了するのである。
本肢は正しい記述です。

※ したがって、借主の「相続人」が、残存期間について使用借権を主張することはできない。
なお貸主の死亡は、終了原因ではないことに注意。期間満了までは、借主の権利を保護する必要があるから

【2】 [使用貸借の対抗要件]
建物の買主Cが、所有権移転登記を行った場合には、借主Bは、先に「建物の引渡しを受けていた」としても、使用貸借契約をCに対抗することはできない。

借主の使用収益権は、貸主に対する債権にすぎないので、その建物について排他的権利である物権=所有権を取得した買主には対抗できないのである。
本肢の記述は誤りです。

※ 賃借権とは異なり、借地借家法でも「建物の引渡し」は対抗要件とはされていない。

【3】 [転貸には承諾が必要]
使用貸借においても、借主は、貸主の承諾を得なければ、借用物を「第三者に転貸して使用収益させる」ことはできない。
使用貸借は、貸主の厚意による契約であり、双方の特別な人間関係が基礎となっているからである。
本肢は正しい記述です。

※ 借主がこれに違反したときは、貸主は、契約を解除することができる。

【4】 [使用貸借の終了]
期間を定めずに「適当な家屋が見つかるまで」という目的を定めたときは、「適当な家屋」が見つからなくても、それに「足りる期間を経過」すれば、貸主は契約を解除できる(新598条)ので、これにより建物の返還請求をすることができる。
本肢は正しい記述です。

※ 貸主の解除を認めたのは、契約期間が不必要に長期にならないよう、貸主の権利を保護するためである。

[正解] 2

厳選民法過去問|テーマ一覧