|公開日 2020.02.01

【問 1】 制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 土地を売却すると、土地の管理義務を免れることになるので、婚姻していない未成年者が土地を売却するに当たっては、その法定代理人の同意は必要ない。

 成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物を売却するためには、家庭裁判所の許可が必要である。

 被保佐人については、不動産を売却する場合だけではなく、日用品を購入する場合も、保佐人の同意が必要である。

 被補助人が法律行為を行うためには、常に補助人の同意が必要である。

(平成22年問1)

 解説&正解 

本問は基本中の基本問題ですから、必ず正解する必要があります。

【1】 [未成年者の行為能力]
未成年者が法律行為をするには、原則として法定代理人の同意が必要である。
ただし例外として、「単に権利を得、または義務を免れる法律行為」については、同意を得ずに単独ですることができる。
このような行為は、未成年者には不利益とはならないので保護する必要はないからである。

本肢では「土地を売却すると、土地の管理義務を免れることになる」とあるため、あたかも例外行為の「義務を免れる法律行為」に該当するように思われる。
たしかに、土地を売却すると「土地の管理義務を免れることになる」が、同時に、重要な土地所有権を失うことになるから、単純に「義務を免れる法律行為」とはいえないのである。
未婚の未成年者が「土地を売却するに当たっては」法定代理人の同意が必要となる。
本肢の記述は誤りです。

【2】 [居住用建物の売却の許可]
成年被後見人は、意思能力を欠く常況(物事の是非を判断する能力がない状況)にあるので、原則として単独で法律行為を行うことはできず、保護者である成年後見人が代理して行うことになる(859条1項)

つまり、成年被後見人が土地・建物の売却や購入をする場合は、成年後見人が代理して行うのであるが、「成年被後見人が居住している」建物または敷地について、売却や賃貸をしたり、抵当権の設定などの処分をする場合には、とくに家庭裁判所の許可が必要とされている。

これは、成年後見人が勝手なことをして、成年被後見人の居住の利益を侵害することがないようにするためである。
本肢は正しい記述です。

【3】 [被保佐人の行為能力]
被保佐人が「不動産を売却する」など重要な取引行為をする場合には、原則として保佐人の同意が必要である。
ただし、「日用品を購入する」など日常生活に関する行為をする場合は、保佐人の同意は不要である。本肢の記述は誤りです。

【4】 [被補助人の行為能力]
家庭裁判所によって補助開始の審判がなされるときには、同時に、被補助人が「特定の法律行為」をするには、補助人の同意を得なければならない旨の審判がなされる。

つまり、被補助人が法律行為をする場合には「常に補助人の同意が必要」というわけではなく、同意が必要なのは「特定の法律行為」に限られるのである。
本肢の記述は誤りです。

[正解] 2

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【問 2】 制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば正しいものはどれか。

 古着の仕入販売に関する営業を許された未成年者は、成年者と同一の行為能力を有するので、法定代理人の同意を得ないで、自己が居住するために建物を第三者から購入したとしても、その法定代理人は当該売買契約を取り消すことができない。

 被保佐人が、不動産を売却する場合には、保佐人の同意が必要であるが、贈与の申し出を拒絶する場合には、保佐人の同意は不要である。

 成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物を売却する際、後見監督人がいる場合には、後見監督人の許可があれば足り、家庭裁判所の許可は不要である。

 被補助人が、補助人の同意を得なければならない行為について、同意を得ていないにもかかわらず、詐術を用いて相手方に補助人の同意を得たと信じさせていたときは、被補助人は当該行為を取り消すことができない。

(平成28年問2)

 解説&正解 

【1】 [未成年者の営業の許可]
「古着の仕入販売に関する営業を許された未成年者は、古着の仕入販売に関しては成年者と同一の行為能力を有するが、「自己居住用」に建物を購入する行為はこの営業には該当しないから、法定代理人の同意が必要である。
「法定代理人の同意を得ないで」購入したのであれば、法定代理人はこの契約を取り消すことができる。
本肢の記述は誤りです。

【2】 [保佐人の同意を要する行為]
被保佐人が「不動産を売却する」場合は、保佐人の同意が必要である。
同じように「贈与の申し出を拒絶する」場合にも単独ではできず、やはり保佐人の同意が必要とされている。
本肢の記述は誤りです。

【3】 [居住用建物の売却の許可]
成年後見人が、成年被後見人の居住建物を売却する場合には、必ず家庭裁判所の許可を得なければならない。
成年後見人によって、成年被後見人の居住の利益が侵害されないよう、家庭裁判所の監督を強めたのである。
本肢の記述は誤りです。

【4】 [制限行為能力者の詐術]
制限行為能力者が、行為能力者であると信じさせるために詐術を用いたときは、取消権を失い、もはやその行為を取り消すことはできない。
詐術を用いて相手方を欺く制限行為能力者よりも、行為能力者だと信じた相手方を保護する必要があるからである。
本肢は正しい記述です。

[正解] 4

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