|公開日 2020.02.21

【問 1】 AがA所有の土地の売却に関する代理権をBに与えた場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 Bが自らを「売主Aの代理人B」ではなく、「売主B」と表示して、買主Cとの間で売買契約を締結した場合は、Bは売主Aの代理人として契約しているとCが知っていても、売買契約はBC間に成立する。

 Bが自らを「売主Aの代理人B」と表示して買主Dとの間で締結した売買契約について、Bが未成年であったとしても、AはBが未成年であることを理由に取り消すことはできない。

 Bは、自らが選任及び監督するのであれば、Aの意向にかかわらず、いつでもEを復代理人として選任して売買契約を締結させることができる。

 Bは、Aに損失が発生しないのであれば、Aの意向にかかわらず、買主Fの代理人にもなって、売買契約を締結することができる。

(平成21年問2)

 解説&正解 

【1】 [顕名主義の効果]
代理が成立するためには、代理であることがわかるように、本人のためにする(本人に効果が及ぶ)ことを示さなければならない(顕名主義)。
したがって、顕名のない意思表示は代理であることがわからないため、原則として代理人自身のための行為とみなされ、代理行為とはならない。

しかしこれには例外があり、顕名がなくても、代理人が本人のためにすることを、相手方が、①知っている(悪意)か、又は、②知らなかったけれども知ることができたとき(善意だが過失がある=善意かつ有過失)には、代理を認めても問題はない。

本肢のように、Bが代理であることを顕名しなくても「代理人として契約している」とCが知っていれば、代理が成立し、売買契約は「AC間」で成立することになる。本肢の記述は誤りです。

【2】 [代理人の行為能力]
代理人は行為能力者である必要はない。未成年者などの制限行為能力者でも代理人になることができる。
つまり、未成年者のした代理行為も完全に有効だから、「未成年であることを理由」に取り消すことはできない。
本肢は正しい記述です。

【3】 [任意代理人の復任権]
Bは、本人Aから代理権を与えられた任意代理人であり、任意代理人には、原則として復任権はない
任意代理人は、本人が信頼して選任しているので、例外的に、①本人の許諾を得たとき、または、②やむを得ない事由があるときに限り、復代理人を選任することができるのである。

本肢のように「Aの意向にかかわらず、いつでもEを復代理人として選任」することはできない。本肢の記述は誤りです。

【4】 [双方代理は許されるか]
同一人が当事者双方の代理人となる双方代理は、事実上代理人1人が契約することになり、双方に不利益を及ぼす危険があるので原則として禁止される。
したがって、当事者双方の同意があるときは、双方代理も有効とされるのであって、「Aの意向にかかわらず」AF双方の代理人になることはできない。
本肢の記述は誤りです。

[正解] 2

………………………………………………

【問 2】 代理に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 未成年者が代理人となって締結した契約の効果は、当該行為を行うにつき当該未成年者の法定代理人による同意がなければ、有効に本人に帰属しない。

 法人について即時取得の成否が問題となる場合、当該法人の代表機関が代理人によって取引を行ったのであれば、即時取得の要件である善意・無過失の有無は、当該代理人を基準にして判断される。

 不動産の売買契約に関して、同一人物が売主及び買主の双方の代理人となった場合であっても、売主及び買主の双方があらかじめ承諾をしているときには、当該売買契約の効果は両当事者に有効に帰属する。

 法定代理人は、やむを得ない事由がなくとも復代理人を選任することができる。

(平成24年問2)

 解説&正解 

【1】 [代理人の行為能力]
代理人は行為能力者であることを要せず、未成年者が単独でした代理行為も完全に有効である。つまり、未成年者が代理人となって締結した契約の効果は、法定代理人の同意がなくとも、有効に本人に帰属する。
本肢の記述は誤りです。

【2】 [代理行為の瑕疵]
代理行為では実際に意思表示をするのは代理人だから、意思表示に錯誤があったか、善意か悪意か、過失があったかなかったなどの事情は、すべて代理人について判断される。
法人における即時取得(192条)の成立要件である「善意・無過失の有無」は、その法人の代表者について決するが、代理人が取引行為をしたときは、代理人を基準にして判断されるのである。
本肢は正しい記述です。

【3】 [有効な双方代理]
原則として禁止される双方代理も、当事者双方の同意があるときは有効な代理行為とされ、売買契約の効果は両当事者に有効に帰属する。
本肢は正しい記述です。

【4】 [法定代理人の復任権]
法定代理人は、本人の許可や「やむを得ない事由」などの特別の理由がなくても、自己の責任をもって、いつでも自由に復代理人を選任できる
法定代理人の復任権が自由に認められているのは、その権限が広範囲にわたり、辞任も容易ではなく、しかも本人の信任に基づいて代理人になったわけではない(多くは法律の規定による)からである。
本肢は正しい記述です。

[正解] 1

………………………………………………

【問 3】 代理に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 売買契約を締結する権限を与えられた代理人は、特段の事情がない限り、相手方からその売買契約を取り消す旨の意思表示を受領する権限を有する。

 委任による代理人は、本人の許諾を得たときのほか、やむを得ない事由があるときにも復代理人を選任することができる。

 復代理人が委任事務を処理するに当たり金銭を受領し、これを代理人に引き渡したときは、特段の事情がない限り、代理人に対する受領物引渡義務は消滅するが、本人に対する受領物引渡義務は消滅しない。

 夫婦の一方は、個別に代理権の授権がなくとも、日常家事に関する事項について他の一方を代理して法律行為をすることができる。

(平成29年問1)

 解説&正解 

【1】 [代理権の範囲]
売買契約締結の代理人は、特段の事情がない限り、相手方からその売買契約の取消しの意思表示を受ける権限も有する。

代理は、本人のために意思表示をなし、また意思表示を受領して本人に直接に権利義務を取得させる制度であるから、相手方から取消しの意思表示を受ける権限を有するのは、当然なのである。
本肢は正しい記述です。

【2】 [任意代理人の復任権]
委任による代理人(任意代理人)は、本人の信任を受けて代理人となったのだから原則として他人を復代理人として選任することはできない。

ただし、例外的に、①本人の許諾を得たとき、または、②やむを得ない事由があるとき(急病など急迫な事情があって自ら代理行為ができないときなど)に限って復任権が認められている。
代理行為に支障を生じさせて本人の不利益にならないようにするためである。
本肢は正しい記述です。

【3】 [復代理人の義務]
復代理人が委任事務の処理により金銭を受領したときは、特別の事情がないかぎり、本人に対してその引渡義務を負うほか、代理人に対してもその義務を負う。

この場合、代理人に金銭を引き渡したときは、代理人に対する受領物引渡義務は消滅し、それとともに、本人に対する受領物引渡義務も消滅する。
結局は、本人に金銭を引き渡すという同一目的を有しているからである。
本肢の記述は誤りです。

【4】 [夫婦における日常家事の代理権]
夫婦は、食料購入・家賃支払など「日常家事に関する事項」については、「個別の代理権の授権」がなくとも、相互に他の一方を代理して法律行為をすることができる。

判例は、761条の「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う」との規定は、「実質的に、夫婦が相互に日常家事代理権を有する意味も含んでいる」と解している。
本肢は正しい記述です。

[正解] 3


[厳選民法過去問]サンプルページTOP