|公開日 2020.03.07

※ 法改正により「譲渡禁止特約」を「譲渡制限特約」に言い換えた個所があります。

【問 1】 AがBに対して1,000万円の代金債権を有しており、Aがこの代金債権をCに譲渡した場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 AB間の代金債権には譲渡制限特約があり、Cがその特約の存在を知らないことにつき重大な過失がある場合には、BはCに対して債務の履行を拒むことができる。

 AがBに対して債権譲渡の通知をすれば、その譲渡通知が確定日付によるものでなくても、CはBに対して自らに弁済するように主張することができる。

 BがAに対して期限が到来した1,000万円の貸金債権を有していても、AがBに対して確定日付のある譲渡通知をした場合には、BはCに譲渡された代金債権の請求に対して貸金債権による相殺を主張することができない。

 AがBに対する代金債権をDに対しても譲渡し、Cに対する債権譲渡もDに対する債権譲渡も確定日付のある証書でBに通知した場合には、CとDの優劣は、確定日付の先後ではなく、確定日付のある通知がBに到着した日時の先後で決まる。
(平成23年問5)

 解説&正解 
【1】 [譲渡制限特約による対抗]
新法では、譲渡制限特約があっても、原則として債権譲渡は有効である。
ただし、債権の譲受人や第三者がこの特約について悪意であったり、善意でも重過失がある場合には、債務者は譲渡制限の特約を対抗することができる。
つまりCが、「特約の存在を知らないことにつき重大な過失」があれば、BはCに対して債務の履行を拒むことができるのである。
本肢は正しい記述です。

【2】 [通知の効力]
債権者が債務者に対して債権譲渡の通知をすれば、その通知が確定日付によるものでなくても、譲受人は債権を取得することができるから、債務者に対して「自らに弁済するように主張することができる」。
本肢は正しい記述です。

【3】 [債務者の抗弁]
譲渡人が債権譲渡の通知をしたにすぎないときは、債務者は、その通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。
債務者Bは、譲受人Cによる代金債権の請求に対して、通知前から有するAに対する「貸金債権による相殺を主張する」ことができるのである。
本肢の記述は誤りです。

【4】 [二重譲渡と優劣の基準]
債権譲渡の通知は到達によって効力を生じるから、債権が二重譲渡されて、ともに「確定日付のある証書」で通知があったときは、その優劣は、通知が債務者に「到達した日時の先後」によって決まる。確定日付の先後ではない。
本肢は正しい記述です。

[正解] 3

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【問 2】 債権の譲渡に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

 指名債権が二重に譲渡され、確定日付のある各債権譲渡通知が同時に債務者に到達したときは、各債権譲受人は、債務者に対し、債権金額基準で按分した金額の弁済請求しかできない。

 指名債権の性質を持つ預託金会員制ゴルフクラブの会員権の譲渡については、ゴルフ場経営会社が定める規定に従い会員名義書換えの手続を完了していれば、確定日付のある債権譲渡通知又は確定日付のある承諾のいずれもない場合でも、ゴルフ場経営会社以外の第三者に対抗できる。

 契約時点ではまだ発生していない将来債権でも、発生原因や金額などで目的債権を具体的に特定することができれば、譲渡することができ、譲渡時点でその債権発生の可能性が低かったことは譲渡の効力を直ちに否定するものではない。

 指名債権譲渡の予約契約を締結し、この予約契約締結の事実を確定日付のある証書により債務者に通知していれば、予約の完結によりなされる債権譲渡の効力を債務者以外の第三者に対抗することができる。
(平成19年問9)

 解説&正解 
【1】 [同時到達した債権譲渡の効力]
判例によれば、債権が二重譲渡され、確定日付ある通知が「同時に債務者に到達」したときには、各譲受人は、債務者に対しそれぞれ債権全額の弁済を請求できる(最判昭55.1.11)。「按分した金額」ではない。
本肢の記述は誤りです。

【2】 [債権譲渡の対抗要件]
債権譲渡についての通知または承諾は、「確定日付のある証書」でしなければ第三者に対抗できない。
会社の規定による「会員名義書換えの手続を完了」しても債権譲渡の対抗要件を具備したことにはならない(最判平8.7.12)
本肢の記述は誤りです。

【3】 [将来債権の譲渡性]
債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない。
これは従来の判例の見解で、今回明文化された(466条の6第1項)

判例は、将来発生する債権について「債権発生の可能性」を要件とせずに、発生原因や金額、期間の始期・終期を明確にするなどして、債権を「具体的に特定することができれば」有効に譲渡できるとしている(最判平11.1.29)
本肢は正しい記述です。

【4】 [譲渡予約の通知の効力]
判例は、債権譲渡の予約について確定日付のある証書により通知がされても、債務者は、予約完結権の行使によって債権の帰属が将来変更される可能性を了知するにすぎないから、予約の通知をもって、予約の完結による債権譲渡の効力を第三者に対抗することはできない、としている(最判平13.11.27)
本肢の記述は誤りです。

※ 【4】はむつかしい問題でしたね。
ただ【2】や【3】はわかるはずですから本問は正解できたはずですよね。

[正解] 3

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【問 3】 債権譲渡に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 譲渡制限特約のある債権の譲渡を受けた第三者が、その特約の存在を知らなかったとしても、知らなかったことにつき重大な過失があれば、債務者は債務の履行を拒むことができる。

 債権の譲受人が譲渡禁止特約の存在を知っていれば、さらにその債権を譲り受けた転得者がその特約の存在を知らなかったことにつき重大な過失がなかったとしても、債務者はその転得者に対して、その特約の存在を対抗することができる。

 譲渡禁止特約に反して債権を譲渡した債権者は、債務者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかである等の事情がない限り、その特約の存在を理由に、譲渡の無効を主張することができない。

 譲渡禁止特約のある債権をもって質権の目的とした場合において、質権者がその特約の存在について悪意であるときは、当該質権設定は無効となる。
(平成30年問7)

 解説&正解 
【1】 [重過失ある第三者]
譲渡制限の特約を重過失によって知らなかった第三者に対しては、債務者は譲渡制限の特約を主張して、債務の履行を拒むことができる。
本肢は正しい記述です。

【2】 [善意の転得者]
悪意の譲受人から善意・無過失で譲り受けた転得者に対しては、債務者は、譲渡禁止の特約があることを対抗できない(大判昭13.5.14)
本肢の記述は誤りです。

【3】 [債権者による無効主張]
譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者は、その特約の存在を理由に譲渡の無効を主張する独自の利益を有せず、債務者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかである等の特段の事情がない限り、その無効を主張することは許されない(最判平21.3.27)
本肢は正しい記述です。

※ 判例は、譲渡禁止の特約は債務者の利益を保護するためになされるものと解しているので、債権者には譲渡の無効を主張する独自の利益を有しないとしている。
なお、ここは[平成26年問5]に出題された「判決文問題」の再出です。

【4】 [悪意の質権者]
判例によると、譲渡禁止特約のある債権を質権の目的とした場合において、質権者が悪意であるときは、質権設定は無効となる(大判大13.6.12)
本肢は正しい記述です。

[正解] 2

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