|公開日 2020.03.02

【問 1】 AとBとが共同で、CからC所有の土地を 2,000万円で購入し、代金を連帯して負担する(連帯債務)と定め、CはA・Bに登記、引渡しをしたのに、A・Bが支払をしない場合の次の記述のうち、民法の規定によれば正しいものはどれか。

 Cは、Aに対して 2,000万円の請求をすると、それと同時には、Bに対しては、全く請求をすることができない。

 AとBとが、代金の負担部分を 1,000万円ずつと定めていた場合、AはCから2,000万円請求されても、1,000万円を支払えばよい。

 BがCに 2,000万円支払った場合、Bは、Aの負担部分と定めていた 1,000万円及びその支払った日以後の法定利息をAに求償することができる。

 Cから請求を受けたBは、Aが、Cに対して有する 1,000万円の債権をもって相殺しない以上、Aの負担部分についても、Bからこれをもって相殺することはできない。
(平成13年問4)

 解説&正解 
【1】 [履行の請求]
債権者Cは、連帯債務者Aに対して 2,000万円の請求をし、同時に、Bに対しても、2,000万円の請求をすることができる。

連帯債務では、債権者は、連帯債務者の1人か数人または全員に対して、全部または一部の履行を請求できる。請求は、同時でも順次でもかまわない。
本肢の記述は誤りです。

【2】 [負担部分]
A・Bが、負担部分を 1,000万円ずつと定めていても、債権者Cに対しては、それぞれ 2,000万円全額の支払債務を負う。
連帯債務は、対外的には、債権者に対して1人1人の連帯債務者が全額を負担する債務だから内部的な負担部分を理由に全額請求を拒むことはできない。
本肢の記述は誤りです。

※ 負担部分は、債務者同士の内部的な分担割合の取決めにすぎず、債権者に対する本来の債務ではないので、負担部分に関係なく、債権者に対しては1人1人が全額の債務を負担する。こうして、債権者としては、お金のありそうな人から全額を回収することができるわけである。
1人が弁済して連帯債務を消滅させたときは、他の債務者に対し、各人の負担部分について求償して清算することになる。

【3】 [求償権]
2,000万円支払ったBは、Aの負担部分 1,000万円と支払った日以後の法定利息をAに求償することができる。

連帯債務者の1人が弁済したり、その財産によって連帯債務を消滅させたときは、他の連帯債務者に対し、各人の負担部分について求償することができる(1人が全額支払ったわけだから、あとで清算するのである)

この求償には、①弁済のあった日以後の法定利息、および、②必要費・不可避の損害賠償を加えることができる。
本肢は正しい記述です。

【4】 [他の債務者による相殺援用]
改正民法では、Aが自己の 1,000万円の債権で相殺を援用しない間は、Bは、Aの負担部分の限度で「履行を拒む」ことができる、とされる。
したがって「Bから……相殺することはできない」との記述は正しい。

※ 改正前では、Bは、Aの負担部分の限度で「相殺できる」とされていた(大判昭12.12.11)が、これは、Aの有する反対債権に対して処分権を与えることであり、行き過ぎであるとして、今回改正された。

[正解] 3と4

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【問 2】 A、B、Cの3人がDに対して 900万円の連帯債務を負っている場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、A、B、Cの負担部分は等しいとする。

 DがAに対し履行の請求をした場合、B及びCがそのことを知らなければ、B及びCについては、その効力が生じない。

 Aが、Dに対する債務と、Dに対して有する 200万円の債権を対当額で相殺する旨の意思表示をDにした場合、B及びCのDに対する連帯債務も200万円が消滅する。

 Bのために時効が完成した場合、A及びCのDに対する連帯債務も時効によって全部消滅する。

 CがDに対して 100万円を弁済した場合は、Cの負担部分の範囲内であるから、Cは、A及びBに対して求償することはできない。
(平成29年問8)

 解説&正解 
【1】 [履行の請求]
Aに対して履行の請求をしても、B・Cの知・不知にかかわらず、その効果は、B・Cに対しては及ばない。
B及びCがそのことを「知らなければ……効力が生じない」ものではない。
本肢の記述は誤りです。

【2】 [相殺]
Aが、Dに対して有する 200万円の反対債権で相殺すれば、これは弁済そのものだから、当然にBもCも 200万円だけ債務が消滅する。本肢は正しい記述です。

【3】 [時効消滅]
Bの債務について時効が完成しても、A・Cの債務はその影響を受けないので「時効によって全部消滅する」ことはない。
A・Cの債務の時効消滅はそのまま進行する。本肢の記述は誤りです。

※ 時効完成の絶対的効力を定めていた規定は、今回の改正で削除された。

【4】 [負担部分に達しない弁済]
債務者の1人がその負担部分額に達しない弁済をしても、各債務者の負担部分の割合に応じて求償することができる(判例)
負担部分額 300万円のCが 100万円を弁済した場合には、A・Bの負担部分の割合に応じて求償することができる。
本肢の記述は誤りです。

[正解] 2

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