|更新日 2019.7.14
|公開日 2017.5.10

【問 1】 AとBが、Cから土地を購入し、Cに対する代金債務については連帯して負担する契約を締結した場合で、AとBの共有持分及び代金債務の負担部分はそれぞれ1/2とする旨の約定があるときに関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

 Cは、AとBに対して、同時に、それぞれ代金全額の支払いを請求することができる。

 Cが、Aに対し代金の支払いを請求した場合、その効力はBにも及ぶ。

 Cが、Aに対して代金債務の全額の免除をした場合でも、Bに対して代金の1/2の支払いを請求することができる。

 Cが、本件売買契約を解除する意思表示をAに対してした場合、その効力はBにも及ぶ。

(平成8年 問4)


 解説&正解 

 正しい [連帯債務の性質|請求]
債権者Cは、連帯債務者Aに対して代金全額の支払いを請求すると同時に、連帯債務者Bに対しても代金全額の支払いを請求することができる。

連帯債務では、債権者は、連帯債務者の1人または数人、あるいは全員に対して、全部または一部の履行を請求をすることができる。この請求は、同時にしても、順次にしてもよい(Aが代金全額を支払えば、Bはもはや支払う必要がないのはもちろんである)。

 正しい [1人に対する請求の効力]
連帯債務者の1人に対する履行の請求は、他の連帯債務者に対しても効力を生じる(絶対的効力)。したがってCが、Aに対し代金の請求をすれば、その効力はBにも及ぶことになる。
※ Aに対して履行請求すれば、Bについて履行遅滞、時効中断の効果が生じる。

 正しい [1人に対する免除の効力]
連帯債務者の1人に対して債務の免除をすれば、免除された連帯債務者の負担部分についてだけ、他の連帯債務者の利益のためにも、その効力を生じる(絶対的効力)。
Cが、Aに対して全額の免除をすれば、Aの負担部分1/2についてだけ、Bも債務を免れるから、Cは、Bに対して代金の1/2の支払いを請求することができる。

 誤り [解除権の不可分性]
Cが、Aに対してのみ解除の意思表示をしても、その効力はBには及ばない。
連帯債務のように、当事者の一方が数人ある場合、契約の解除は、その全員から、またはその全員に対してのみ、することができる(解除権の不可分性)。
一部の者とだけ解除の効果を認めると、法律関係が複雑になるからである。

[正解] 4

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【問 2】 AとBとが共同で、Cから、C所有の土地を 2,000万円で購入し、代金を連帯して負担する(連帯債務)と定め、CはA・Bに登記、引渡しをしたのに、A・Bが支払をしない場合の次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 Cは、Aに対して 2,000万円の請求をすると、それと同時には、Bに対しては、全く請求をすることができない。

 AとBとが、代金の負担部分を 1,000万円ずつと定めていた場合、AはCから 2,000万円請求されても、1,000万円を支払えばよい。

 BがCに 2,000万円支払った場合、Bは、Aの負担部分と定めていた 1,000万円及びその支払った日以後の法定利息をAに求償することができる。

 Cから請求を受けたBは、Aが、Cに対して有する 1,000万円の債権をもって相殺しない以上、Aの負担部分についても、Bからこれをもって相殺することはできない。

(平成13年 問4)


 解説&正解 

 誤り [連帯債務の性質|請求]
債権者Cは、連帯債務者Aに対して 2,000万円の請求をし、同時に、Bに対しても、2,000万円の請求をすることができる。

連帯債務では、債権者は、連帯債務者の1人か数人または全員に対して、全部または一部の履行を請求できる。
請求は、同時でも順次でもかまわない。

 誤り [連帯債務の性質|負担部分]
負担部分を 1,000万円ずつと定めていても、連帯債務者A・Bはそれぞれ、債権者Cに対しては 2,000万円全額を支払わなければならない。

連帯債務は、対外的な債権者に対しては、1人1人の連帯債務者が全額を負担する債務だから、負担部分を理由に全額請求を拒むことはできない(債権者としてはは、お金のありそうな人から全額を回収することができることになる)。

負担部分は、あくまでも連帯債務者同士の内部における取り決めにすぎず(内部的な分担割合)、債権者に対する本来の債務ではないから、負担部分に関係なく、債権者に対しては1人1人が全額の債務を負担する。

※ AはCに 2,000万円支払った後、Bに対して 1,000万円を求償することになる。
Aにとって、Bの負担部分 1,000万円は他人の債務であり、いわば立て替えたものだからである。

 正しい [連帯債務者の求償権]
2,000万円支払ったBは、Aの負担部分 1,000万円と支払った日以後の法定利息をAに求償することができる。

連帯債務者の1人が弁済したり、その財産によって連帯債務を消滅させたときは、他の連帯債務者に対し、各人の負担部分について求償することができる(1人が全額支払ったわけだから、後で清算するのである)。
この求償には、①弁済のあった日以後の法定利息、および、②必要費・不可避の損害賠償を加えることができる。

 誤り [他の債務者による相殺の援用]
債権者Cに対してAが反対債権を有するのに相殺を援用しないときは、Bは「Aの負担部分」についてだけ相殺を援用できる。法律関係を簡易に決済するためである。

※ たとえば、Aの負担部分が 700万円のときに、Bに相殺援用を認めないとすると、BはCに 2000万円弁済して、その後、Aから 700万円求償することになる(この求償が確実に弁済される保証はない)。
援用を認めれば、Bは、Aの 700万円で相殺を援用して 1300万円弁済すればよいことになり、簡易に決済できるうえに、700万円の求償も確実に実現するから、担保の作用も果たせることになる。
 相殺援用

[正解] 3

 ワンランク・アップ 

[相対的効力の原則と絶対的効力事由]
連帯債務は、債務者同士が人間的な結びつき(家族、友人、知人など)によって連帯しているのですが、もともと債務者1人1人が独立に債務を負担するものですから、1人について生じた事由は当人だけに効力が生じ、他の債務者には効力を生じないというのが原則です。これを連帯債務の相対的効力といいます。
したがって、期限の猶予や債務の承認だけでなく、1人について法律行為の無効・取消しの原因があっても、他の債務者の債務には影響がありません。

たとえば、連帯債務者Aの錯誤により、AC間の契約が無効であっても、BC間では完全に有効な契約が成立します。
ただし、①請求 ②更改 ③相殺 ④免除 ⑤混同 ⑥時効の6事由については、例外的に他の連帯債務者にも効力が及びます(絶対的効力)。
この原則と例外を正確に理解することが得点のポイントです。

|原則|相対的効力の原則
1人について生じた事由は、当人だけに効力を生じる。
①債務の承認 ②期限の猶予 ②取消し 
③無効 など
|例外|絶対的効力事由
1人について生じた事由は、他の債務者にも効力を生じる。
①請求 ②更改 ③相殺 ④免除 ⑤混同 ⑥時効


(この項終わり)