|公開日 2020.03.02

【問 1】 Aは、Aの所有する土地をBに売却し、Bの売買代金の支払債務についてCがAとの間で保証契約を締結した。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。

 Cの保証債務がBとの連帯保証債務である場合、AがCに対して保証債務の履行を請求してきても、CはAに対して、まずBに請求するよう主張できる。

 Cの保証債務にBと連帯して債務を負担する特約がない場合、AがCに対して保証債務の履行を請求してきても、Cは、Bに弁済の資力があり、かつ、執行が容易であることを証明することによって、Aの請求を拒むことができる。

 Cの保証債務がBとの連帯保証債務である場合、Cに対する履行の請求による時効の完成猶予は、Bに対してはその効力を生じない。

 Cの保証債務にBと連帯して債務を負担する特約がない場合、Bに対する履行の請求その他時効の完成猶予は、Cに対してもその効力を生ずる。

(平成15年問7)

 解説&正解 

保証債務と連帯保証の異同に関する問題。「保証債務が連帯保証債務である」という特約がここでのポイントです。

【1】 [催告の抗弁権]
連帯保証は、普通の保証債務とは異なり、連帯保証人に催告の抗弁権はなく、債権者Aからの請求に対して、まず主債務者Bに請求するよう主張することはできない。
本肢の記述は誤りです。

【2】 [検索の抗弁権]
「連帯して債務を負担する特約がない」普通の保証債務の場合、保証人Cには検索の抗弁権があり、主たる債務者Bに、①弁済の資力があり、かつ、②執行が容易であることを証明することによって、債権者Aの請求を拒むことができる。
本肢は正しい記述です。

【3】 [連帯保証人に生じた事由の効力]
連帯保証の場合、連帯保証人に対する履行の請求は、主たる債務者に対しては効力を生じない(相対的効力)
したがって、履行請求によりCの債務について時効の完成猶予があっても、Bの債務については時効の完成は猶予されない。
本肢は正しい記述です。

【4】 [主債務者に生じた事由の効力]
「連帯して債務を負担する特約がない」普通の保証債務の場合、主たる債務者について生じた事由は、原則として、すべて保証人についても効力を生じる(保証債務の付従性)。
つまり、Bに対する「履行の請求その他時効の完成猶予」は、保証人Cに対しても効力を生じるのである。
本肢は正しい記述です。

[正解] 1

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【問 2】 AとBが 1,000万円の連帯債務をCに対して負っている(負担部分は1/2ずつ)場合と、Dが主債務者として、Eに 1,000万円の債務を負い、FはDから委託を受けてその債務の連帯保証人となっている場合の次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 1,000万円の返済期限が到来した場合、CはA又はBにそれぞれ 500万円までしか請求できないが、EはDにもFにも 1,000万円を請求することができる。

 CがBに対して債務の全額を免除しても、AはCに対してなお 500万円の債務を負担しているが、EがFに対して連帯保証債務の全額を免除すれば、Dも債務の全額を免れる。

 Aが 1,000万円を弁済した場合には、Aは 500万円についてのみBに対して求償することができ、Fが 1,000万円を弁済した場合にも、Fは 500万円についてのみDに対して求償することができる。

 Aが債務を承認して時効が完成猶予してもBの連帯債務の時効の進行には影響しないが、Dが債務を承認して時効が完成猶予した場合にはFの連帯保証債務に対しても時効の完成猶予の効力を生ずる。

(平成16年問6)

 解説&正解 

【1】 [請求の方法]
① 連帯債務の場合、債権者Cは、連帯債務者A・Bに対して、それぞれ 1,000万円全額を請求できる。「500万円までしか請求できない」との記述は誤り。

② 連帯保証の場合、債権者Eは、主債務者Dと連帯保証人Fに対して、それぞれ 1,000万円全額を請求することができる。
本肢の記述は誤りです。

【2】 [免除の相対的効力]
① 債務者Bが債務全額を免除されても、その効力はAには及ばない(相対的効力)から、Aは、なお 1,000万円の債務を負担する。「500万円」ではない。

② 連帯保証人Fが債務全額を免除されてもその効力は主債務者Dには及ばない(相対的効力)から、Dは、なお債務全額を負担したままである。
本肢の記述は誤りです。

【3】 [求償関係の違い]
① 連帯債務者Aが 1,000万円全額を弁済すれば、Bに対して、Bの負担部分 500万円について求償できる。

② 委託を受けた連帯保証人Fが 1,000万円を弁済した場合には、主債務者Dに対して「500万円」ではなく、 1,000万円全額を求償できる。
委託を受けた保証人に損害が生じないように、完全に求償ができるようにしたのである。本肢の記述は誤りです。

※ 連帯保証では、そもそも主債務者に負担部分はないから、その求償関係も保証債務の場合と同じく、負担部分の制限を受けない。

【4】 [債務承認の効力]
① 連帯債務者Aが、債務を承認して時効が完成猶予しても、当人だけに相対的効力を生じるだけだから、Bの債務の「時効の進行には影響しない」。

しかし、②主債務者Dの債務承認により時効が完成猶予すれば、保証債務の付従性により、Fの連帯保証債務も時効の完成が猶予される。
主債務について時効完成猶予の事由が生じるときは、常に保証人・連帯保証人についても効力を生じるのである。
本肢は正しい記述です。

[正解] 4

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【問 3】 AからBとCとが負担部分2分の1として連帯して 1,000万円を借り入れる場合と、DからEが 1,000万円を借り入れ、Fがその借入金返済債務についてEと連帯して保証する場合とに関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 Aが、Bに対して債務を免除した場合にはCが、Cに対して債務を免除した場合にはBが、それぞれ 500万円分の債務を免れる。Dが、Eに対して債務を免除した場合にはFが、Fに対して債務を免除した場合にはEが、それぞれ全額の債務を免れる。

 Aが、Bに対して履行を請求した効果はCに及び、Cに対して履行を請求した効果はBに及ぶ。Dが、Eに対して履行を請求した効果はFに及び、Fに対して履行を請求した効果はEには及ばない。

 Bについて時効が完成した場合にはCが、Cについて時効が完成した場合にはBが、それぞれ 500万円分の債務を免れる。Eについて時効が完成した場合にはFが、Fについて時効が完成した場合にはEが、それぞれ全額の債務を免れる。

 AB間の契約が無効であった場合にはCが、AC間の契約が無効であった場合にはBが、それぞれ1,000万円の債務を負う。DE間の契約が無効であった場合はFが、DF間の契約が無効であった場合はEが、それぞれ 1,000万円の債務を負う。

(平成20年問6)

 解説&正解 

【1】 [免除の相対的効力]
① 連帯債務では、債務者の1人の債務が免除されても、その効力は他の債務者には及ばず、その債務は免除されない。

② 連帯保証では、主債務者Eが免除された場合、保証債務の付従性により、連帯保証人Fは債務全額を免除されるが、Fが債務免除されても、主債務者Eはなお全額の債務を負担する。保証の付かない債務となるのであって「全額の債務を免れる」ことはない。
本肢の記述は誤り。

【2】 [請求の相対的効力]
① 連帯債務では、債務者の1人に対する履行の請求は相対的効力を有するのみで、他の債務者には効力を生じない。

② 連帯保証では、主債務者Eに対する履行請求は、連帯保証人Fにも効力を生じるが(保証債務の付従性)、Fに対する履行請求は、Eには効力を生じない。
本肢は正しい記述です。

【3】 [時効の相対的効力]
① 連帯債務では、債務者の1人について消滅時効が完成しても相対的効力を有するのみで、他の債務者には効力を生じない。

② 連帯保証では、主債務者Eについて時効が完成した場合は、主債務は消滅するため、連帯保証人Fの債務も消滅する(保証債務の付従性)。
ただし、Fの債務が時効完成しても相対的効力があるだけだから、Eの主債務は存続したままで、保証の付かない債務となる。「全額の債務を免れる」ことはない。
本肢の記述は誤り。

【4】 [無効の相対的効力]
① 連帯債務では、債務者の1人について生じた無効は、当人だけに効力を生じ、他の債務者には影響がない。
AB間の契約が無効でも、AC間の契約は完全に有効だから、Cは 1,000万円の債務を負い、AC間の契約が無効のときは、Bが 1,000万円の債務を負う。

② 連帯保証では、主債務が無効の場合は、保証債務も無効だから、DE間の契約が無効のときは、連帯保証も成立せず、Fが「1,000万円の債務を負う」ことはない。
また、DF間の保証契約が無効でも、DE間の契約はその影響を受けず有効であるため、Eは保証の付かない「1,000万円の債務を負う」ことになる。
本肢の記述は誤りです。

[正解] 2

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