|更新日 2020.5.25
|公開日 2017.9.15

【問 1】 普通抵当権と元本確定前の根抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば正しいものはどれか。

 普通抵当権でも、根抵当権でも、設定契約を締結するためには、被担保債権を特定することが必要である。

 普通抵当権でも、根抵当権でも、現在は発生しておらず、将来発生する可能性がある債権を被担保債権とすることができる。

 普通抵当権でも、根抵当権でも、被担保債権を譲り受けた者は、担保となっている普通抵当権又は根抵当権を被担保債権とともに取得する。

 普通抵当権でも、根抵当権でも、遅延損害金については、最後の2年分を超えない利息の範囲内で担保される。
(平成15年問6)

 解説&正解 
【1】 [被担保債権の特定性]
普通抵当権は、ある特定の債権の弁済を担保することを目的としているから、その被担保債権を特定することが必要である。
一方、根抵当権は、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額まで担保するために設定する抵当権だから、そもそも被担保債権を特定する必要はない
本肢の記述は誤りです。

【2】 [将来債権も担保できる]
普通抵当権は、特定債権の担保が目的だから、債権なしには成立することができないが(抵当権の付従性)、その債権は現在存在する必要はなく「将来発生する可能性がある債権」や条件付債権であってもよい(付従性の緩和)
一方、根抵当権は、まさに将来発生する債権を担保するところにその特質がある。
本肢は正しい記述です。

【3】 [随伴性の違い]
普通抵当権は、特定債権の担保が目的だから、その債権が譲渡されれば、これを担保する抵当権も一緒に移転する(抵当権の随伴性)

一方、根抵当権は、債権を「一定の範囲」で、いわば「箱」を担保するのであって、その「箱の中」にある1つ1つの債権を個別に担保するものではない。
したがって、元本の確定前に、「箱の中」にある「個別の債権」が取り出されて譲渡されても、根抵当権は移転しない。
債権の譲受人は根抵当権を取得することはできないのである(随伴性の否定)
本肢の記述は誤りです。

【4】 [利息・遅延損害金の範囲]
利息や遅延損害金についての優先弁済の範囲は、普通抵当権の場合、「最後の2年分」についてのみという制限がある。
しかし、根抵当権にはこのような制限はなく、極度額の限度内であればすべて担保される。
極度額に達するまでは、何年分の利息・遅延損害金でもよく、また極度額を超えてしまえば、2年分の利息であっても担保されないのである。
本肢の記述は誤りです。

※ なお、元本債権が確定すると、元本債権は、その時に存在したものだけが根抵当権によって担保されるが、利息・損害金などは、元本確定時以後に生じる分についても、極度額まで担保される。

[正解] 2

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【問 2】 AがBとの間で、CのBに対する債務を担保するためにA所有の甲土地に抵当権を設定する場合と根抵当権を設定する場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 抵当権を設定する場合には、被担保債権を特定しなければならないが、根抵当権を設定する場合には、BC間のあらゆる範囲の不特定の債権を極度額の限度で被担保債権とすることができる。

 抵当権を設定した旨を第三者に対抗する場合には登記が必要であるが、根抵当権を設定した旨を第三者に対抗する場合には、登記に加えて、債務者Cの異議を留めない承諾が必要である。

 Bが抵当権を実行する場合には、AはまずCに催告するように請求することができるが、Bが根抵当権を実行する場合には、AはまずCに催告するように請求することはできない。

 抵当権の場合には、BはCに対する他の債権者の利益のために抵当権の順位を譲渡することができるが、元本の確定前の根抵当権の場合には、Bは根抵当権の順位を譲渡することができない。
(平成26年問4)

 解説&正解 
【1】 [包括根抵当の禁止]
抵当権の記述については正しい。
一方、根抵当権は、不特定の債権を担保するのであるが、債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約一定の種類の取引によって生ずるものに限定して設定しなければならない。
「あらゆる範囲の不特定の債権」を被担保債権とすること(包括根抵当)は許されない。本肢の記述は誤りです。

【2】 [対抗要件は登記]
普通抵当権も根抵当権も、その設定を第三者に対抗する要件は、登記である。
根抵当権の場合に「債務者の異議を留めない承諾」は必要ない。
本肢の記述は誤りです。

【3】 [催告の抗弁権]
抵当権実行の場合にも、根抵当権実行の場合にも、物上保証人Aは「まずCに催告するように請求する」ことはできない。
そもそも物上保証人に催告の抗弁権は認められていない。
本肢の記述は誤りです。

【4】 [順位の譲渡]
抵当権の記述については正しい。
一方、根抵当権の場合、「元本の確定前」においては、根抵当権を譲渡・放棄したり、その順位を譲渡・放棄することは認められていない。
普通抵当権に認められている抵当権の譲渡や放棄、その順位の譲渡・放棄などの処分は、転抵当を除いては、根抵当権には適用されない。
本肢は正しい記述です。

[正解] 4

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