|更新日 2020.5.27
|公開日 2017.3.16

【問 1】 Aは、所有する家屋を囲う塀の設置工事を業者Bに請け負わせたが、Bの工事によりこの塀は瑕疵がある状態となった。Aがその後この塀を含む家屋全部をCに賃貸し、Cが占有使用しているときに、この瑕疵により塀が崩れ、脇に駐車中のD所有の車を破損させた。A、B及びCは、この瑕疵があることを過失なく知らない。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

 Aは、損害の発生を防止するのに必要な注意をしていれば、Dに対する損害賠償責任を免れることができる。

 Bは、瑕疵を作り出したことに故意又は過失がなければ、Dに対する損害賠償責任を免れることができる。

 Cは、損害の発生を防止するのに必要な注意をしていれば、Dに対する損害賠償責任を免れることができる。

 Dが、車の破損による損害賠償請求権を、損害及び加害者を知った時から3年間行使しなかったときは、この請求権は時効により消滅する。
(平成17年問11)

 解説&正解 
【1】 [所有者の不法行為責任]
家屋の所有者Aは、「損害の発生を防止するのに必要な注意」をしていたときでも、被害者Dに対して損害賠償責任を負うことがある。

建物などの土地工作物による不法行為責任については、
① 第1次的に工作物の占有者が責任を負うが、損害の発生防止のため必要な注意をして免責されるときは、
② 最終的に所有者が責任を負う。

所有者には免責事由が認められていないので、注意を怠らなかったことを立証しても免責されない。土地工作物自体のもつ危険性がその根拠とされる。
本肢の記述は誤りです。

※ 所有者の責任は「無過失責任」であるが、絶対的な責任ではないから、不可抗力(自然災害など)による場合には責任を負わない。

【2】 [不法行為責任の成立要件]
塀の瑕疵について、請負人Bに故意または過失がなければ、そもそも不法行為が成立せず、被害者Dに対して損害賠償責任を負うことはない。
本肢は正しい記述です。

【3】 [占有者の不法行為責任]
建物の占有者Cは「損害の発生を防止するのに必要な注意」をしていたのであれば、Dに対する損害賠償責任を免れることができる。
土地工作物の設置・保存の瑕疵により他人に損害を与えたときは、第1次的に工作物の占有者が責任を負うが、損害の発生防止のため必要な注意をしたときには、免責される。
本肢は正しい記述です。

【4】 [損害賠償請求権の消滅時効]
不法行為による損害賠償請求権は、以下の①または②に従い、時効消滅する。
① 被害者またはその法定代理人が、損害および加害者を知った時から3年間行使しないとき
② 不法行為の時から20年間行使しないとき

被害者Dが、「損害及び加害者を知った時から3年間行使しなかった」ときは、損害賠償請求権は時効により消滅する。
本肢は正しい記述です。

※ 「物損」の場合は以上のとおりだが、新民法は「人の生命・身体」を害する場合の損害賠償請求権の消滅時効については、①の場合を5年間としている。

[正解] 1

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