|公開日 2020.02.13

【問 1】 自己所有の土地を売却するAの売買契約の相手方に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

 買主Bが被保佐人であり、保佐人の同意を得ずにAとの間で売買契約を締結した場合、当該売買契約は当初から無効である。

 買主Cが意思無能力者であった場合、Cは、Aとの間で締結した売買契約を取り消せば、当該契約を無効にできる。

 買主である団体Dが法律の規定に基づかずに成立した権利能力を有しない任意の団体であった場合、DがAとの間で売買契約を締結しても、当該土地の所有権はDに帰属しない。

 買主Eが婚姻している未成年者であり、当該婚姻がEの父母の一方の同意を得られないままになされたものである場合には、Eは未成年者であることを理由に当該売買契約を取り消すことができる。
(平成17年問1)

 解説&正解 
Aが、自分の土地を売る場合の相手方である買主の意思能力・行為能力に関する問題です。買主のこうした能力によって契約の効力に影響がでてきますので、その点の理解が問われています。

【1】 [被保佐人の行為能力]
被保佐人は制限行為能力者であって、土地や建物などの不動産を売買するというような重要な契約については単独ではできず、保佐人の同意が必要である。
同意を得ない契約は、取り消すことができるというのが民法の原則。
つまり、売買契約は「当初から無効」なのではなく、取り消してはじめて無効となるのである。
本肢の記述は誤りです。

※ 「取り消すことができる」と「無効である」というのは、全く異なりますので注意してください。

【2】 [意思無能力者の意思表示]
意思無能力者というのは、判断能力がまったくない状態の者をいう。
意思無能力者の行った意思表示は、正常な判断能力に基づくものとはいえないので、その意思表示に法律上の効果を与える(有効とする)ことはできない。
わざわざ取消しの意思表示をしなくても、はじめから無効なのである。
取り消してから無効となるのではないため「取り消せば、当該契約を無効にできる」という記述は誤り。

【3】 [権利能力なき社団]
権利能力というのは、権利を取得したり、義務を負ったりすることのできる法的な資格のことだから、権利能力を有しないものは、そもそも権利・義務の主体となることができない。
したがって、権利能力を有しない社団Dが土地の売買契約を締結しても、土地所有権がDに帰属することはありえない。
本肢は正しい記述です。

※ 結局、権利能力なき社団の不動産については、社団を権利者とする登記をすることは許されず、個人名義で登記するか、構成員全員の共有名義で登記するしかありません。

【4】 [婚姻による成年擬制]
未成年者も婚姻すれば「行為能力者」として扱われる成年擬制
未成年者の婚姻には、父母の同意が必要だが、その同意は父母の一方だけで足りる。

したがって、未成年者Eの婚姻が「父母の一方の同意を得られないまま」でも、Eは成年に達したものとみなされ、行為能力者として扱われるので、もはや未成年者を理由に契約を取り消すことはできない。
本肢の記述は誤りです。

[正解] 3

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