|公開日 2020.05.18

【問 1】 遺言及び遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定によれば正しいものはどれか。

 自筆証書による遺言をする場合、証人二人以上の立会いが必要である。

 自筆証書による遺言書を保管している者が、相続の開始後、これを家庭裁判所に提出してその検認を経ることを怠り、そのままその遺言が執行された場合、その遺言書の効力は失われる。

 適法な遺言をした者が、その後更に適法な遺言をした場合、前の遺言のうち後の遺言と抵触する部分は、後の遺言により撤回したものとみなされる。

 法定相続人が配偶者Aと子Bだけである場合、Aに全財産を相続させるとの適法な遺言がなされた場合、Bは遺留分権利者とならない。
(平成17年問12)

 解説&正解 
【1】 [自筆証書遺言の要件]
自筆証書遺言には、証人2人以上の立会いは不要である。
「証人二人以上の立会いが必要」なのは、公正証書による遺言の場合である。
本肢の記述は誤りです。

【2】 [遺言書の検認]
遺言書が、家庭裁判所の検認を経ないで執行されても、その遺言書は有効である。
遺言は、遺言者の死亡の時から直ちに効力を生じ、そのために特別の手続きを必要としない。もともと権利の帰属は、空白期間を置かずに直ちに生じるのが大原則。
本肢の記述は誤りです。

※ 遺言書の保管者は、相続開始を知った後は、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を受けなければならない。
なお検認は、遺言の執行を円滑に実施するための準備手続(証拠保全手続)であって、内容の真偽や有効・無効を判定するものではない

【3】 [抵触ある遺言]
前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触部分については、後の遺言で前の遺言を「撤回したものとみなされる」。
前の遺言どおりの内容を実現する意思は、すでにないと認められるからである。
本肢は正しい記述です。

【4】 [遺留分権利者]
配偶者「Aに全財産を相続させる」との適法な遺言がなされても、子Bが「遺留分権利者」であることに変わりはない。
遺留分が認められているのは、配偶者直系尊属であるから、相続人が配偶者と子だけである場合、両者とも遺留分権利者となる。
本肢の記述は誤りです。

[正解] 3

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【問 2】 遺言に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 自筆証書遺言は、その内容をワープロ等で印字していても、日付と氏名を自書し、押印すれば、有効な遺言となる。

 疾病によって死亡の危急に迫った者が遺言する場合には、代理人が2名以上の証人と一緒に公証人役場に行けば、公正証書遺言を有効に作成することができる。

 未成年であっても、15歳に達した者は、有効に遺言をすることができる。

 夫婦又は血縁関係がある者は、同一の証書で有効に遺言をすることができる。
(平成22年問10)

 解説&正解 
【1】 [自筆証書遺言]
自筆証書遺言をするには、遺言者が、①全文、②日付、③氏名を自書し、これに押印しなければならない。
「内容をワープロ等で印字」した場合は、有効な遺言とはならない。
本肢の記述は誤りです。

【2】 [死亡危急時の遺言]
死亡の危急に迫った者がする遺言には、こまかな要件が定められている。
つまり、証人3人以上の立会いのもとで、死亡危急時の遺言者が、その1人に遺言の趣旨を口授し、口授を受けた証人は、これを筆記して、遺言者と他の証人に読み聞かせるか閲覧させて、各証人が筆記の正確なことを承認した後、これに署名・押印しなければならない。
「代理人が2名以上の証人と一緒に公証人役場に行けば、公正証書遺言を有効に作成することができる」わけではない。
本肢の記述は誤りです。

【3】 [遺言能力]
未成年であっても、15歳に達した者は、有効に遺言をすることができる。
本肢は正しい記述です。

【4】 [共同遺言の禁止]
遺言は、2人以上の者が同一の証書ですることを禁止されている。
したがって、「夫婦」であっても「血縁関係」があっても、同一の証書で有効に遺言をすることはできない。
本肢の記述は誤りです。

[正解] 3

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【問 3】 婚姻中の夫婦AB間には嫡出子CとDがいて、Dは既に婚姻しており嫡出子Eがいたところ、Dは平成25年10月1日に死亡した。他方、Aには離婚歴があり、前の配偶者との間の嫡出子Fがいる。Aが平成25年10月2日に死亡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

 Aが死亡した場合の法定相続分は、Bが2分の1、Cが5分の1、Eが5分の1、Fが10分の1である。

 Aが生前、A所有の全財産のうち甲土地についてCに相続させる旨の遺言をしていた場合には、特段の事情がない限り、遺産分割の方法が指定されたものとして、Cは甲土地の所有権を取得するのが原則である。

 Aが生前、A所有の全財産についてDに相続させる旨の遺言をしていた場合には、特段の事情がない限り、Eは代襲相続により、Aの全財産について相続するのが原則である。

 Aが生前、A所有の全財産のうち甲土地についてFに遺贈する旨の意思表示をしていたとしても、Fは相続人であるので、当該遺贈は無効である。
(平成25年問10)

 解説&正解 
【1】 [相続人と法定相続分]
Aが死亡した場合、法定相続人は配偶者B、子C・E(Dの代襲相続)、Fの4人である。
各自の相続分は、Bが1/2、子は1/2。これをC・E・F3人で分け合う。
Dを代襲相続するEは、親Dの相続分と同じ。Fは嫡出子だから、Cと同じ相続分。

以上より、3人の割合は、C:E:F=1:1:1 だから、各1/3となり、
C・E・F=1/2×1/3=1/6 が正しい。
本肢の記述は誤りです。

【2】 [遺産分割の方法]
判例は、特定の遺産を「特定の相続人に相続させる」趣旨の遺言は、遺言書の記載から、遺贈と解すべき特段の事情のない限り、遺贈と解すべきではなく、特定遺産をその相続人に単独で相続させる「遺産分割の方法が指定されたもの」と解している(最判平3.4.19)
したがって、Cは甲土地の所有権を取得することができる。
本肢は正しい記述です。

【3】 [遺言の効力|代襲相続]
特定の相続人に遺産を単独で相続させる旨の遺言があっても、その相続人が遺言者の死亡以前に死亡したときは、代襲者に相続させる旨の意思を有していたとみるべき「特段の事情」のない限り、効力を生じることはない(最判平23.2.22)
つまり原則として、EがDを代襲相続することはないのである。
本肢の記述は誤りです。

【4】 [相続人に対する遺贈]
相続人Fに対する遺贈も有効である。
本肢の記述は誤りです。

[正解] 2

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