|更新日 2019.7.17
|公開日 2017.5.10

【問 1】 遺言に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 自筆証書遺言は、その内容をワープロ等で印字していても、日付と氏名を自書し、押印すれば、有効な遺言となる。

 疾病によって死亡の危急に迫った者が遺言する場合には、代理人が2名以上の証人と一緒に公証人役場に行けば、公正証書遺言を有効に作成することができる。

 未成年であっても15歳に達した者は、有効に遺言をすることができる。

 夫婦又は血縁関係がある者は、同一の証書で有効に遺言をすることができる。

(平成22年 問10)


 解説&正解 

 誤り [自筆証書遺言]
自筆証書遺言をするには、遺言者が、①全文、②日付、③氏名を自書し、これに押印しなければならない。
「内容をワープロ等で印字」した場合は、有効な遺言とはならない。

※ 2019年1月13日から、自筆証書遺言の方式緩和(改正法968条2項)が施行されている。

これまで自筆証書遺言は、添付する目録も含め、全文の自書が要求されていたが、すべてに自筆を要するとすることは、高齢者とって遺言作成の負担となるからである。

「本文」については、上記解説のように今までどおりだが、添付する「財産目録」については自書でなくてもよいとされ、パソコン等で作成した財産目録を添付することができるようになった。
ただし「目録の各頁」に署名押印することを要する。
偽造等を防止するためである。

法務省の公開資料では、さらに、預金通帳のコピーを添付してそれに署名押印をしたり、登記事項証明書(登記簿謄本)のコピーを添付してそれに署名押印することもできるとされている。

 誤り [死亡の危急に迫った者の遺言]
疾病その他の事由によって「死亡の危急に迫った」者が遺言する場合には、証人3人以上の立会いが必要である。
代理人が「2名以上の証人」と公証人役場に行っても、公正証書遺言を有効に作成することはできない。

 正しい [遺言能力]
未成年であっても、15歳に達した者は、有効に遺言をすることができる。

 誤り [共同遺言の禁止]
遺言は、2人以上の者が同一の証書ですることを禁止されているので、「夫婦」であっても「血縁関係」があっても、同一の証書で有効に遺言をすることはできない。

[正解] 3

…………………………………………………………

【問 2】 被相続人A、相続人B及びC(いずれもAの子)として、Aが遺言をし、又はしようとする場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 Aは、遺言をもって、第三者Dに遺言執行者の指定を委託することができる。

 Aは、「Aの財産をすべてBに遺贈する。CはBに対して遺留分の減殺請求をしてはならない」旨の遺言をして、CをAの相続から排除することができる。

 Aが、「Aの甲土地をBに相続させる」旨の遺言をした場合で、その後甲土地を第三者Eに売却し、登記を移転したとき、その遺言は撤回したものとみなされる。

 Aは、「Aの乙建物をCに相続させる」旨の遺言をした場合で、Bの遺留分を害しないとき、これをC単独の所有に帰属させることができる。

(平成12年 問10)


 解説&正解 

 正しい [遺言執行者の指定]
遺言者は、遺言で、1人または数人の遺言執行者を指定したり、あるいは、その指定を第三者に委託することができる。

 誤り [減殺請求権の性質]
相続人の減殺請求権を奪うような遺言をして、相続から排除することはできない。

被相続人は、相続分を指定したり、遺産の一部を遺言で処分できるが、相続人のために最小限度の財産だけは遺留分として残さなければならず、これを確保するために、固有の権利として減殺請求権が保障されている。
遺言によっても、この権利を侵害することはできない。

 正しい [遺言と生前処分との抵触]
遺言で「Bに相続させる」とした甲土地を、その後第三者Eに売却した場合には、その遺言は撤回したものとみなされる。

遺言と、後の遺言あるいは遺言後の生前処分(売却など)が矛盾・抵触するときは、抵触部分については、すでに前の遺言どおりの内容を実現する意思はないと認められるからである。

 正しい [遺言の効力]
他の相続人の遺留分を侵害しない限り、遺言はその内容どおりの効力を有するので、乙建物をCの単独所有とすることも可能である。

[正解] 2

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【問 3】 Aには、相続人となる子BとCがいる。Aは、Cに老後の面倒をみてもらっているので、「甲土地を含む全資産をCに相続させる」旨の有効な遺言をした。この場合の遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 Bの遺留分を侵害するAの遺言は、その限度で当然に無効である。

 Bが、Aの死亡の前に、A及びCに対して直接、書面で遺留分を放棄する意思表示をしたときは、その意思表示は有効である。

 Aが死亡し、その遺言に基づき甲土地につきAからCに対する所有権移転登記がなされた後でも、Bは遺留分に基づき減殺を請求することができる。

 Bは、遺留分に基づき減殺を請求できる限度において、減殺の請求に代えて、その目的の価額に相当する金銭による弁償を請求することができる。

(平成20年 問12)


 解説&正解 

 誤り [遺留分侵害の遺言]
「当然に無効」が誤り。
遺留分を侵害した遺言も、当然に無効となるのではなく、遺留分権利者の減殺請求によって、遺留分を保全するのに必要な限度で、その効力を失うのである。

 誤り [遺留分の放棄]
A死亡の前(相続開始前)における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り効力を生じるから、AおよびCに対して直接、書面で遺留分放棄の意思表示をしても無効である。

 正しい [減殺請求権の消滅]
遺留分を侵害する遺言に基づいて所有権移転登記がなされれば、その後であっても、Bは当然に減殺請求をすることができる。

 誤り [受贈者等の価額弁償]
受贈者・受遺者に対して遺留分に基づく減殺請求が行使された場合、受贈者等は減殺を受けるべき限度において、贈与または遺贈の目的価額を遺留分権利者に弁償して返還義務を免れることができる。

相続人Bの方から、減殺請求に代えて、価額相当額の弁償請求をすることはできない。

[正解] 3

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【問 4】 遺言及び遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定によれば正しいものはどれか。

 自筆証書による遺言をする場合、証人二人以上の立会いが必要である。

 自筆証書による遺言書を保管している者が、相続の開始後、これを家庭裁判所に提出してその検認を経ることを怠り、そのままその遺言が執行された場合、その遺言書の効力は失われる。

 適法な遺言をした者が、その後更に適法な遺言をした場合、前の遺言のうち後の遺言と抵触する部分は、後の遺言により撤回したものとみなされる。

 法定相続人が配偶者Aと子Bだけである場合、Aに全財産を相続させるとの適法な遺言がなされた場合、Bは遺留分権利者とならない。

(平成17年 問12)


 解説&正解 

 誤り [証人は2人以上必要か]
自筆証書遺言には、証人2人以上の立会いは不要である。
「証人二人以上の立会いが必要」なのは、公正証書による遺言の場合である。

 誤り [遺言書の検認]
遺言書が、家庭裁判所の検認を経ないで執行されても、その遺言書は有効である。

遺言は、遺言者の死亡の時から直ちに効力を生じ、そのために特別の手続きを必要としない。もともと権利の帰属は、空白期間を置かずに直ちに生じるのが大原則。

※ 遺言書の保管者は、相続開始を知った後は、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を受けなければならないが、検認は、遺言の執行を円滑に実施するための準備手続(証拠保全手続)であって、内容の真偽や有効・無効を判定するものではないのである。

 正しい [前の遺言との抵触]
前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされる。
前の遺言どおりの内容を実現する意思はすでにないと認められるからである。

 誤り [遺留分権利者]
配偶者「Aに全財産を相続させる」との適法な遺言がなされても、子Bが遺留分権利者であることに変わりはない。
相続人のうち、遺留分が認められているのは、配偶者、子、直系尊属であるから、相続人が配偶者と子だけである場合、両者とも遺留分権利者となる。

[正解] 3

 ワンランク・アップ 

[遺留分の割合]
遺留分割合については、1→2の順で計算します。

1 遺留分権利者全体の割合
[相続人が直系尊属だけの場合] 
被相続人の財産の1/3
[相続人が上記以外の場合]   
被相続人の財産の1/2
(例)
 ・子だけのとき 
 ・配偶者だけのとき
 ・子と配偶者のとき 
 ・直系尊属と配偶者のとき

2 遺留分権利者の個別割合
1の遺留分割合に、遺留分権利者の法定相続分を乗じたもの
・妻の遺留分 (遺留分割合×相続分) 
 1/2×1/2=1/4
・子が3人の場合の遺留分(同 上) 
 1/2×1/6=1/12


(この項終わり)