|公開日 2020.02.01

【問 1】 Aは、BのCに対する 1,000万円の債務について、保証人となる契約をCと締結した。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。

 CがAを保証人として指名したため、Aが保証人となった場合、Aが破産手続開始の決定を受けても、Cは、Bに対して保証人の変更を求めることはできない。

 BのCに対する債務が条件不成就のため成立しなかった場合、Aは、Cに対して保証債務を負わない。

 AC間の保証契約締結後、BC間の合意で債務が増額された場合、Aは、その増額部分についても、保証債務を負う。

 CがAに対して直接 1,000万円の支払いを求めて来ても、BがCに 600万円の債権を有しているときは、Aは、Bの債権による相殺を主張して 400万円を支払えばよい。

(平成6年問9)

 解説&正解 

保証債務に関する基本問題です。かならず正解するようにしましょう。

【1】 [保証人の要件|債権者の指名]
保証人の選任は当事者間で自由に決定できるが、法律や契約によって債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、①行為能力者であること、②弁済資力を有することの2要件を備えなければならない。
そして、②の要件を欠いたときは、債権者は、債務者に対して保証人の変更を請求できる。

ただし、債権者が保証人を指名した場合には、保証人が「破産手続開始の決定」を受け弁済資力を失っても、債務者に対して保証人の変更を求めることはできない。
本肢は正しい記述です。

【2】 [保証債務の付従性]
Bの主たる債務が、条件不成就のため成立しなかった場合には、Aの保証債務も成立しない。
保証債務は、主たる債務を担保することが目的だから、必ず主たる債務の存在を前提としており、主たる債務が成立しなければ成立せず、主たる債務が消滅すれば消滅する(保証債務の付従性
本肢は正しい記述です。

【3】 [保証債務の範囲]
保証契約「締結後」に、債権者・債務者の「合意で債務が増額」されても、保証人は増額部分について保証債務を負うことはない。
保証債務は、保証契約によってすでに定まっており、保証人の意思に基づかないで不利益を強いることは妥当ではないから、後で主たる債務の内容が加重されても、その効力は保証人には及ばないのである。
付従性もこの限りで制限される。
本肢の記述は誤りです。

【4】 [保証人の相殺援用]
保証人は、主たる債務者の有する債権による相殺をもって、債権者に対抗することができる。これも保証債務の付従性によるものである。
保証人Aは、Bの反対債権 600万円で相殺して、400万円だけ支払えばよい。
本肢は正しい記述です。

[正解] 3

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【問 2】 保証に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 保証人となるべき者が、主たる債務者と連絡を取らず、同人からの委託を受けないまま債権者に対して保証したとしても、その保証契約は有効に成立する。

 保証人となるべき者が、口頭で明確に特定の債務につき保証する旨の意思表示を債権者に対してすれば、その保証契約は有効に成立する。

 連帯保証ではない場合の保証人は、債権者から債務の履行を請求されても、まず主たる債務者に催告すべき旨を債権者に請求できる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又は行方不明であるときは、この限りでない。

 連帯保証人が2人いる場合、連帯保証人間に連帯の特約がなくとも、連帯保証人は各自全額につき保証責任を負う。

(平成22年問8)

 解説&正解 

【1】 [保証契約の成立|委託の有無]
保証契約は、常に債権者保証人との間で締結され、主たる債務者からの委託がなくても有効に成立する。
本肢は正しい記述です。

※ 「債務者から委託を受けて」保証契約を締結した場合でも、保証委託契約が無効であったり取り消されても、保証契約自体には影響はない。

【2】 [保証契約の成立|書面性]
保証契約は、契約書などの書面でしなければ効力を生じない。
「口頭で明確に」保証する旨の意思表示をしても無効である。
本肢の記述は誤りです。

※ 従来、あいまいな保証契約によって保証人に過重な責任を負わせていたため、書面によって明確化させようという趣旨である。

【3】 [催告の抗弁権]
「連帯保証ではない」普通の保証人には、原則として催告の抗弁権があり、債権者から履行を請求されても、まず主たる債務者に催告すべき旨を債権者に請求できる。
保証債務は、主たる債務者がその債務を履行しないときに履行責任を負うものだからである(保証債務の補充性。ただし、
① 主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、または、
② 行方不明のとき、この抗弁権はない。
本肢は正しい記述です。

【4】 [連帯保証と分別の利益]
数人の保証人がいる共同保証には、
① 普通の保証人である場合と、
② 連帯保証人である場合とがある。

①の場合、各保証人は「平等の割合」で分割された債務のみを保証する。
これは保証人の利益になるから分別の利益といわれる。

②の連帯保証の場合には、各保証人は、主たる債務者と連帯して全額を弁済する義務を負っているから、分別の利益はない。「連帯の特約」がなくても、各自全額につき保証責任を負うのである。
本肢は正しい記述です。

[正解] 2

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