|更新日 2020.5.25
|公開日 2017.9.12

【問 1】 同時履行の抗弁権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはいくつあるか。

 マンションの賃貸借契約終了に伴う賃貸人の敷金返還債務と、賃借人の明渡債務は、特別の約定のない限り、同時履行の関係に立つ。

 マンションの売買契約がマンション引渡し後に債務不履行を理由に解除された場合、契約は遡及的に消滅するため、売主の代金返還債務と、買主の目的物返還債務は、同時履行の関係に立たない。

 マンションの売買契約に基づく買主の売買代金支払債務と、売主の所有権移転登記に協力する債務は、特別の事情のない限り、同時履行の関係に立つ。

 一つ
 二つ
 三つ
 なし
(平成27年問8)

 解説&正解 
【ア】 [敷金返還債務と明渡債務]
敷金返還債務と建物明渡債務は同時履行の関係にはなく、先に建物明渡債務が履行されなければならない。
これは、敷金の性質によるのである。
敷金は、①契約期間中の賃借人の未払賃料のほか、②賃貸借終了後、建物明渡しまでに生じる損害金等の一切の債権を担保するために交付される金銭で、建物明渡しの後に、賃借人の債務を控除して残額が返還される。
つまり、敷金返還請求権は、契約終了後、建物の明渡し完了時に具体的に発生するから「建物明渡債務」が先履行となるのである。本肢の記述は誤りです。

【イ】 [解除と同時履行の抗弁権]
売買契約が解除された場合、売主・買主双方は、互いに相手方を原状に復させる原状回復義務を負うが、この義務は同時履行の関係に立つ。
売主の「代金返還債務」と、買主の「目的物返還債務」は、同時に履行されなければならない。
本肢の記述は誤りです。

※ 同時履行の抗弁権の趣旨は、双方が互いに対価的な債務を負っている場合には、同時に履行することが公平だからです。
公平の理念が背景にあるわけです。

【ウ】 [代金支払債務と登記協力債務]
不動産売買契約の場合、買主の代金支払債務と、売主の不動産引渡し・移転登記の協力債務が同時履行の関係にあることは、確定した判例である。
本肢は正しい記述です。

以上より、正しい記述は一つ。

[正解] 1

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