|更新日 2020.2.21
|公開日 2017.5.01

【問 1】 AがA所有の甲土地の売却に関する代理権をBに与えた場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、表見代理は成立しないものとする。

 Aが死亡した後であっても、BがAの死亡の事実を知らず、かつ、知らないことにつき過失がない場合には、BはAの代理人として有効に甲土地を売却することができる。

 Bが死亡しても、Bの相続人はAの代理人として有効に甲土地を売却することができる。

 18歳であるBがAの代理人として甲土地をCに売却した後で、Bが18歳であることをCが知った場合には、CはBが未成年者であることを理由に売買契約を取り消すことができる。

 Bが売主Aの代理人であると同時に買主Dの代理人としてAD間で売買契約を締結しても、あらかじめ、AおよびDの承諾を受けていれば、この売買契約は有効である。
(平成22年問2)

 解説&正解 
【1】 [任意代理権の消滅事由]
本人が死亡すれば、「死亡の事実」の知・不知に関係なく、Bの代理権は当然に消滅するから、Bは、もはや本人Aの代理人として有効に甲土地を売却することはできない。
代理権が授与されるのは、当事者双方の信頼関係に基づくのであり、一方が死亡すれば信頼関係も終了するからである。
本肢の記述は誤りです。

【2】 [任意代理権の消滅事由]
選択肢1の理由と同じく、代理人が死亡すれば、その代理権も当然に消滅するのであり、代理権が相続されることはない。
Bの相続人は、Aの代理人として有効に甲土地を売却することはできない。
本肢の記述は誤りです。

【3】 [代理人の行為能力]
代理人は行為能力者でなくてもよい。
つまり、18歳の未成年者Bも代理人になることができ、その代理行為も完全に有効である。
Cが、Bの未成年者を理由に売買契約を取り消すことはできない。
本肢の記述は誤りです。

【4】 [双方代理の原則禁止]
本肢のような双方代理は、事実上代理人1人が契約することになり、双方に不利益を及ぼす危険があるため、原則として禁止される。
しかし、あらかじめ当事者双方の同意があれば双方代理も有効とされる。
本肢は正しい記述です。

[正解] 4

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【問 2】 代理に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはいくつあるか。

 代理権を有しない者がした契約を本人が追認する場合、その契約の効力は、別段の意思表示がない限り、追認をした時から将来に向かって生ずる。

 不動産を担保に金員を借り入れる代理権を与えられた代理人が、本人の名において当該不動産を売却した場合、相手方において本人自身の行為であると信じたことについて正当な理由があるときは、表見代理の規定を類推適用することができる。

 代理人は、行為能力者であることを要しないが、代理人が後見開始の審判を受けたときは、代理権が消滅する。

 代理人の意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、本人の選択に従い、本人又は代理人のいずれかについて決する。

 一つ
 二つ
 三つ
 四つ
(平成26年問2)

 解説&正解 
【ア】 [追認の効果]
無権代理行為の追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生じる。
「追認をした時」からではない。
本肢の記述は誤りです。

【イ】 [本人の名による権限外の行為]
「不動産を担保に金員を借り入れる」代理権の範囲を越えて、「不動産を売却した」のであるが、代理人が直接「本人の名」で契約したために、相手方において「本人自身の行為」であると信じたのである。

判例(最判昭44.12.19)は「相手方がその行為を本人自身の行為と信じたときは、そのように信じたことについて正当な理由があるかぎり、110条の規定(権限外の表見代理)を類推して本人はその責に任ずる」としている。
本肢は正しい記述です。

【ウ】 [代理権の消滅事由]
代理人は行為能力者であることを要しないが、すでに代理人になっている者が「後見開始の審判を受けた」ときは、代理権は消滅する(110条1項2号)
意思能力を欠く常況となった者をそのまま代理人にしておくことは、本人に不利益を生じるからである。
本肢は正しい記述です。

【エ】 [代理行為の瑕疵]
代理行為では意思表示をするのは代理人だから、意思表示に錯誤があったか、詐欺・強迫を受けたか、善意か悪意か、過失があったかなかったなどの事情は、本人ではなく、すべて代理人について判断される
「本人の選択に従い」決するのではない。
本肢の記述は誤りです。

以上より、誤っているものは2つ。

[正解] 2

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【問 3】 Aが、所有する甲土地の売却に関する代理権をBに授与し、BがCとの間で、Aを売主、Cを買主とする甲土地の売買契約(以下この問において「本件契約」という)を締結した場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば正しいものはどれか。

 Bが売買代金を着服する意図で本件契約を締結し、Cが本件契約の締結時点でこのことを知っていた場合であっても、本件契約の効果はAに帰属する。

 AがBに代理権を授与するより前にBが補助開始の審判を受けていた場合、Bは有効に代理権を取得することができない。

 BがCの代理人にもなって本件契約を成立させた場合、Aの許諾の有無にかかわらず、本件契約は無効となる。

 AがBに代理権を授与した後にBが後見開始の審判を受け、その後に本件契約が締結された場合、Bによる本件契約の締結は無権代理行為となる。
(平成30年問2)

 解説&正解 
【1】 [代理人の背任の意図]
「Aを売主」とするのは、本人に効果を帰属させる趣旨(顕名主義)であるから、代理人が自分や第三者の利益を図るために行為をしても、代理行為としては有効に成立する。
ただし、判例は、代理人の「着服する」という背任的な意図を、相手方が知り、または注意すれば知ることができた場合には、心裡留保の例外の場合(93条但書の規定)を類推して、代理人の意思表示を無効として、本人はその行為について責任を負わないとしている(最判昭42.4.20)

相手方Cは、代理行為が代理人の真意ではないこと(背任の意図)を「知っていた」のであるから、代理行為は無効とされ、本人に責任が及ぶことはない。
本肢の記述は誤りです。

【2】 [代理人の行為能力]
代理人は、行為能力者であることを要しない。つまり「補助開始の審判」を受けた制限行為能力者であっても代理人になることができる。
Bは有効に代理権を取得できるので、本肢の記述は誤り。

【3】 [双方代理が有効な場合]
原則として禁止される双方代理も、当事者双方の承諾があれば、有効な代理行為となる。
Cの代理人でもあるBがした契約は、Aの承諾があれば有効な代理行為となるから、「Aの許諾の有無にかかわらず……無効となる」という記述は誤り。

【4】 [代理権消滅後の代理行為]
代理人が「後見開始の審判を受け」た場合は、代理権が消滅する。したがって「その後に」締結された契約は、代理権がないので無権代理行為となる。
本肢は正しい記述です。
※ なお、一定の要件の下に代理権消滅後の表見代理となる。

[正解] 4

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