|更新日 2019.7.11
|公開日 2017.5.10

【問 1】 Aは不動産の売却を妻の父であるBに委任し、売却に関する代理権をBに付与した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 Bは、やむを得ない事由があるときは、Aの許諾を得なくとも、復代理人を選任することができる。

 Bが、Bの友人Cを復代理人として選任することにつき、Aの許諾を得たときは、Bはその選任に関し過失があったとしても、Aに対し責任を負わない。

 Bが、Aの許諾及び指名に基づき、Dを復代理人として選任したときは、Bは、Dの不誠実さを見抜けなかったことに過失があった場合、Aに対し責任を負う。

 Bが復代理人Eを適法に選任したときは、EはAに対して、代理人と同一の権利を有し、義務を負うため、Bの代理権は消滅する。

(平成19年 問2)


 解説&正解 

本問は、任意代理人の復任権に関する基本的な問題です。正解できなかった人は要注意。

 正しい [任意代理人の復任権]
任意代理人は、本人が信頼して選任しているので、原則として他人を復代理人として選任することはできない。
しかし、これでは代理行為に支障を生じる場合があるから、例外的に、①本人の許諾を得たとき、または、②やむを得ない事由があるとき(急病など急迫な事情があって自ら代理行為ができないときなど)に限って、復任権が認められている。

つまり「やむを得ない事由があるとき」は、本人の許諾を得なくても、復代理人を選任できるのである。

 誤り [選任した代理人の責任]
任意代理人が、本人の許諾を得て、またはやむを得ない事由があって復代理人を選任したときは、その選任・監督について、本人に対して責任を負う。
つまり、代理人Bは、本人Aの「許諾を得たとき」でも、復代理人Cの選任に関し過失があるときは、Aに対し責任を負わなければならない。

 誤り [選任した代理人の責任]
代理人が、本人の指名に従って復代理人を選任した場合は、責任が軽減される。
つまり、復代理人が不適任または不誠実であることを知りながら、①本人に通知せず、あるいは、②解任することを怠った場合にのみ、責任を負うのである。

単に復代理人Dの「不誠実さを見抜けなかったことに過失があった」だけでは、責任を負うことはない。

 誤り [復代理人の権限]
復代理人は本人の代理人であり、代理人と同一の権利を有し義務を負うが、復代理人の選任は代理権の譲渡ではないから、復代理人を選任しても代理権は消滅しない。
以後、代理人・復代理人が同等の立場で、ともに本人を代理することになる。

[正解] 1

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【問 2】 AがA所有の土地の売却に関する代理権をBに与えた場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 Bが自らを「売主Aの代理人B」ではなく、「売主B」と表示して、買主Cとの間で売買契約を締結した場合には、Bは売主Aの代理人として契約しているとCが知っていても、売買契約はBC間に成立する。

 Bが自らを「売主Aの代理人B」と表示して買主Dとの間で締結した売買契約について、Bが未成年であったとしても、AはBが未成年であることを理由に取り消すことはできない。

 Bは、自らが選任及び監督するのであれば、Aの意向にかかわらず、いつでもEを復代理人として選任して売買契約を締結させることができる。

 Bは、Aに損失が発生しないのであれば、Aの意向にかかわらず、買主Fの代理人にもなって、売買契約を締結することができる。

(平成21年 問2)


 解説&正解 

 誤り [顕名しなかったら?]
代理人が、本人のためにすることを示さないでした(顕名のない)意思表示は、代理であることがわからないため、原則として代理人自身のための行為とみなされ、代理行為とはならない。
代理であることがわかるように、本人のためにすることを示さなければならないのである(顕名主義)。

しかしこれには例外があり、顕名がなくても、代理人が本人のためにすることを、相手方が、①知っている(悪意)か、または、②知らなかったけれども知ることができたとき(善意だが過失がある=善意・有過失)には、代理が成立する。

本肢のように、Bが「売主Aの代理人B」と顕名しなくても、「Bは売主Aの代理人として契約している」とCが知っていれば、代理が成立し、売買契約は「AC間」で成立することになる。

 正しい [代理人の行為能力]
代理人は行為能力者である必要はない。未成年者などの制限行為能力者でも代理人になることができる。
つまり、未成年者のした代理行為も完全に有効だから、「未成年であることを理由」に取り消すことはできないのである。

 誤り [任意代理人の復任権]
Bは、本人Aから代理権を与えられた任意代理人であり、任意代理人には、原則として復任権はない。
任意代理人は、本人が信頼して選任しているので、例外的に、①本人の許諾を得たとき、または、②やむを得ない事由があるときに限り、復代理人を選任することができる。

本肢のように「Aの意向にかかわらず、いつでもEを復代理人として選任」することはできないのである。

 誤り [双方代理は許されるか]
同一の法律行為について、同一人が当事者双方の代理人となる双方代理は、事実上代理人1人が契約することになり、双方に不利益を及ぼす危険があるので、原則として禁止される。
したがって、当事者双方の同意があればこれを禁止する理由はなく、双方代理も有効とされるが、「Aの意向にかかわらず」AF双方の代理人になることはできない。

[正解] 2

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【問 3】 代理に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 未成年者が代理人となって締結した契約の効果は、当該行為を行うにつき当該未成年者の法定代理人による同意がなければ、有効に本人に帰属しない。

 法人について即時取得の成否が問題となる場合、当該法人の代表機関が代理人によって取引を行ったのであれば、即時取得の要件である善意・無過失の有無は、当該代理人を基準にして判断される。

 不動産の売買契約に関して、同一人物が売主及び買主の双方の代理人となった場合であっても、売主及び買主の双方があらかじめ承諾をしているときには、当該売買契約の効果は両当事者に有効に帰属する。

 法定代理人は、やむを得ない事由がなくとも、復代理人を選任することができる。

(平成24年 問2)


 解説&正解 

 誤り [代理人の行為能力]
代理人は行為能力者であることを要せず、未成年者が単独でした代理行為も完全に有効である。つまり、未成年者が代理人となって締結した契約の効果は、法定代理人の同意がなくとも、有効に本人に帰属する。

 正しい [代理行為の瑕疵]
代理行為では、実際に意思表示をするのは代理人だから、意思表示に錯誤があったか、善意か悪意か、過失があったかなかったなどの事情は、すべて代理人について判断される。

法人における192条(即時取得)の成立要件である「善意・無過失の有無」は、その法人の代表者について決するが、代理人が取引行為をしたときは、代理人を基準にして判断されるのである。

 正しい [有効な双方代理]
原則として禁止される双方代理も、当事者双方の同意があれば有効な代理行為とされ、売買契約の効果は両当事者に有効に帰属する。

 正しい [法定代理人の復任権]
法定代理人は、本人の許可や特別の理由がなくても、自己の責任をもっていつでも自由に復代理人を選任できる。
法定代理人の復任権がこのように広く認められているのは、その権限が広範囲にわたり、辞任も容易ではなく、しかも本人の信任に基づいて代理人になったわけではない(多くは法律の規定による)からである。

[正解] 1


(この項終わり)