|更新日 2021.01.11
|公開日 2017.05.01

【問 1】 AB間の土地売買契約中の履行遅滞の賠償額の予定の条項によって、AがBに対して、損害賠償請求をする場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 賠償請求を受けたBは、自己の履行遅滞について、帰責事由のないことを主張・立証すれば、免責される。

 Bが、Aの過失を立証して、過失相殺の主張をしたとき、裁判所は損害額の算定にその過失を斟酌(しんしゃく)することができる。

 裁判所は、賠償額の予定の合意が、暴利行為として公序良俗違反となる場合でも、賠償額の減額をすることができない。

 Aは、賠償請求に際して、Bの履行遅滞があったことを主張・立証すれば足り、損害の発生や損害額の主張・立証をする必要はない。
(平成14年問7)

 解説&正解 
【1】 [賠償額の予定と免責]
「賠償額の予定」を定めていても、賠償額の予定は、債務不履行が成立する場合に問題となるから、債務者が、自己の履行遅滞について帰責事由がないこと、つまり故意や過失のないことを立証すれば、債務不履行そのものが成立せず、したがって免責される。
本肢は正しい記述です。

【2】 [賠償額の予定と過失相殺]
債務者が、債権者の過失を立証して「過失相殺の主張」をすれば、裁判所は損害額の算定について、その過失を斟酌することができる。

あらかじめ「賠償額の予定」を定めていても、賠償額の予定は、損害の発生や損害額の立証を不要とする合意であり、「過失相殺の主張」までも排除する趣旨を含むものではない
相手方に過失があるのに、これを考慮しないのは公平に反する
本肢は正しい記述です。

【3】 [賠償額の予定と暴利行為]
賠償額の予定をした場合には、当事者は、実際の損害額が予定額より大きいとか少ないことを証明しても増額や減額の請求はできない。
そもそも賠償額の予定は、損害の有無・損害額についての立証を問題とせずに一律に解決するという趣旨でなされるから、裁判所も増額・減額をすることはできないのである。

しかし、賠償額が高すぎて暴利行為となるときは、90条の公序良俗違反を理由に、全部または一部を無効とし、過大な賠償額を減額することができる。
公序良俗違反の合意を有効とするわけにはいかないのである。
本肢の記述は誤りです。

※ 「暴利行為として公序良俗違反」というのですから、常識的な判断で正解できますね。

【4】 [賠償額の予定の効力]
記述のとおり。賠償額の予定は、まさに本肢記述の趣旨でなされるものである。

債権者は、債務者の債務不履行という客観的な事実があったことを証明すれば足り、実際に損害が発生したとか、損害額を証明する必要はない。
債務者の責めに帰すべき事由(故意・過失など)によるものであるかどうかも証明不要である。
本肢は正しい記述です。

※ 賠償額の予定がなされていない場合には、これらをすべて立証しなければならないため、大変な時間と労力を強いられる。

[正解] 3

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【問 2】 両当事者が損害の賠償につき特段の合意をしていない場合において、債務の不履行によって生ずる損害賠償請求権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

 債権者は、債務の不履行によって通常生ずべき損害のうち、契約締結当時、両当事者がその損害発生を予見していたものに限り、賠償請求できる。

 債権者は、特別の事情によって生じた損害のうち、契約締結当時、両当事者がその事情を予見していたものに限り、賠償請求できる。

 債務者の責めに帰すべき債務の履行不能によって生ずる損害賠償請求権の消滅時効は、本来の債務の履行を請求し得る時からその進行を開始する。

 債務の不履行に関して債権者に過失があったときでも、債務者から過失相殺する旨の主張がなければ、裁判所は、損害賠償の責任及びその額を定めるに当たり、債権者の過失を考慮することはできない。
(平成22年問6)

 解説&正解 
【1】 [損害賠償の範囲|通常損害]
債務不履行によって「通常生ずべき損害=通常損害」については、両当事者がその「損害発生を予見していた」かどうかに関係なく、債権者は賠償請求できる。
本肢の記述は誤りです。

【2】 [損害賠償の範囲|特別損害]
「特別の事情によって生じた損害=特別損害」であっても、当事者がその事情を予見し、または予見することができた(予見可能であった)ときは、債権者は、賠償請求できる。「予見していたものに限る」わけではない。
本肢の記述は誤りです。

【3】 [損害賠償請求権の消滅時効]
履行不能によって生ずる損害賠償請求権の消滅時効は、本来の債務の「履行を請求し得る時」からその進行を開始する。
本肢は正しい記述です。

※ 判例(最判平10.4.24)は、「債務不履行による損害賠償請求権は、本来の履行請求権の内容の変更であり、本来の履行請求権と法的に同一性を有すると見ることができるから、履行不能によって生ずる損害賠償請求権の消滅時効は、本来の債務の履行を請求し得る時からその進行を開始するものと解するのが相当」としている。

【4】 [過失相殺の主張]
「債務者から過失相殺する旨の主張」がなくても、債権者に過失があったときは、裁判所は職権でその過失を考慮して、損害賠償の責任・その額を定めることができる。
本肢の記述は誤りです。

[正解] 3

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