|更新日 2023.3.10|公開日 2017.07.02
1|意思表示・法律行為・法律効果
契約の成立 たとえば、売買契約は、売主が「売りましょう」という申込みの意思表示をして、これに対して、買主が「買います」という承諾の意思表示をして成立します。賃貸借契約では、貸主が「貸しましょう」という申込みをして、借主が「借ります」という承諾をして成立します。
このように、契約は「申込み」「承諾」という2つの意思表示が合致して成立するわけです(522条)。
さて、意思表示・法律行為・法律効果の流れを売買契約で図示すると、こうなります。大体のイメージでOKです。
1 意思表示
意 味 売る・買う、貸す・借りる
意思表示というのは「売る・買う」「貸す・借りる」というように、権利(所有権や賃借権など)の発生・変更・消滅という権利変動を生じさせる意思の表示をいいます。
契約が成立するまでには、当事者間で、目的物の価格や代金の支払方法、引渡時期や登記の移転時期などいろいろなことが話し合われますが、最終的に重要なのは「売る・買う」「貸す・借りる」というように「権利変動」を生じさせる意思表示なのです。
2 法律行為
意 味 売買契約や賃貸借契約など
法律行為というのは、要するに契約のことです。単に行為ということもあります。
土地や建物を売ったり買ったりする売買契約、貸し借りする賃貸借契約、金銭の貸し借りをする金銭消費貸借契約、建物の建築を注文し請け負う請負契約、そして遺言など、いろいろな契約・行為の総称を「法律行為」といいます。
3 法律効果
意 味 所有権の取得など
契約が成立すると、たとえば土地の売買であれば、買主は土地の所有権を取得し、同時に売買代金支払義務を負担します。一方、売主は代金債権を取得するとともに、土地の所有権移転義務を負うこととなります。
法律効果というのは、このように、所有権の取得、抵当権の設定・発生、売買代金支払義務の発生、売買代金債権の取得など、法律行為(契約)の結果として発生する法律上の効果をいいます。
2|欠陥のある意思表示
「欠陥のある意思表示」というのは、上記の意思表示で生じる問題です。意思表示は、法律行為の不可欠の要素であって、法律行為が有効に成立するためには、まず「意思表示が欠陥のないものである」ことが必要です。
1 意思表示の構造
相手方に対する意思表示をするまでの流れは、大体このようになっています。おおよそイメージできればOKです。
2 欠陥のある意思表示
民法は「契約の締結や内容は、できるだけ当事者の意図に任せよう」という私的自治の原則に基づいて、ひろく「契約の締結や内容の自由」を認めています(521条)。
意思表示でいえば、「当事者が本当に意図するところ(真意=内心の意思)に従って法律効果を与えよう」ということです。
したがって、「内心の意思」と「表示」に欠陥がある意思表示は、表意者(意思表示をする者)の真意を表示しているとはいえないために、無効とされたり、取消しの原因とされたりするわけです。
欠陥のある意思表示のパターン
有効とすることはできない欠陥のある意思表示には、5つのパターンがあります。
・心裡留保(しんりりゅうほ)
・虚偽表示
・錯 誤
・詐 欺
・強 迫
次回から、1つ1つみていきましょう。
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