|公開日 2023.05.01

【問 1】 Aは、生活の面倒をみてくれている甥(おい)のBに、自分が居住している甲建物を贈与しようと考えている。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 AからBに対する無償かつ負担なしの甲建物の贈与契約が、書面によってなされた場合、Aはその履行前であれば贈与を解除することができる。

 AからBに対する無償かつ負担なしの甲建物の贈与契約が、書面によらないでなされた場合、Aが履行するのは自由であるが、その贈与契約は法的な効力を生じない。

 Aが、Bに対し、Aの生活の面倒をみることという負担を課して、甲建物を書面によって贈与した場合、甲建物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、Aはその負担の限度において、売主と同じく担保責任を負う。

 Aが、Bに対し、Aの生活の面倒をみることという負担を課して、甲建物を書面によって贈与した場合、Bがその負担をその本旨に従って履行しないときでも、Aはその贈与契約を解除することはできない。(平成21年問9)

解説&正解
【1】[書面による贈与の解除]*550条
 書面によらない贈与(口約束による贈与)は、履行の終わった部分を除いて、各当事者が自由に解除することができる。しかし「書面によってなされた」贈与は、贈与の意思が明確になっているので履行前であっても解除することはできない。本肢は誤り。

【2】[書面によらない贈与の効力]*549条
 贈与(契約)は、贈与者が、ある財産を無償で与える意思を表示し、相手方がこれを受諾するという合意だけで成立し効力を生じる
 つまり、贈与の成立に書面は不要なので、「書面によらない」でなされても、「法的な効力」を生じることとなる。本肢は誤り。

【3】負担付贈与の担保責任]*551条2項
 「生活の面倒をみる」という一定の負担(給付義務)を付けた負担付贈与は、この負担が実質的には対価的な性格を有するので、贈与者Aは「その負担の限度において」、売主と同じく担保責任を負う。本肢は正しい。

【4】[贈与の解除]
 負担付贈与の場合、受贈者Bが「その負担をその本旨に従って履行しないとき」は、債務不履行となるので、Aは、贈与契約を解除することができる。本肢は誤り。

[正解] 3



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