|公開日 2023.05.01

【問 1】 Aが購入した甲土地が他の土地に囲まれて公道に通じない土地であった場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

 甲土地が共有物の分割によって公道に通じない土地となっていた場合には、Aは公道に至るために他の分割者の所有地を、償金を支払うことなく通行することができる。

 Aは公道に至るため甲土地を囲んでいる土地を通行する権利を有するところ、Aが自動車を所有していても、自動車による通行権が認められることはない。

 Aが、甲土地を囲んでいる土地の一部である乙土地を公道に出るための通路にする目的で賃借した後、甲土地をBに売却した場合には、乙土地の賃借権は甲土地の所有権に従たるものとして甲土地の所有権とともにBに移転する。

 Cが甲土地を囲む土地の所有権を時効により取得した場合には、AはCが時効取得した土地を公道に至るために通行することができなくなる。(令和2年問1)

解説&正解
【1】[共有地の分割で生じた土地]*213条
 甲土地が「共有地の分割によって」公道に通じない土地となった場合には、甲土地の所有者Aは、公道に出るため「他の分割者の所有地」のみを通行することができる。この場合には、償金を支払う必要はない。本肢は正しい。

【2】[通路の開設]*211条2項
 他の土地に囲まれて「公道に通じない土地」の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を「通行」することができる。
 また、必要があるときは「通路を開設」する、たとえば、自家用車が通れるようにすることができる。本肢は誤り。

【3】[賃借権の譲渡]*612条1項
 乙土地に設定された賃借権は、賃貸借契約によって成立した独立の債権であって、そのまま「甲土地の所有権に従たるもの」となることはない。
 甲土地を売却したからといって、乙土地の賃借権が、甲土地の所有権とともに買主Bに移転することはなく、そのためには賃貸人の承諾が必要である(賃借権における無断転貸の禁止)。本肢は誤り。

【4】[相隣関係における物権的負担] 
 相隣関係の規定は、隣地間の利用調整を目的としたものなので、公道に至ための通行権・道路開設権は、土地に付着した物権的権利の性質を有しており、同時に、囲んでいる土地に付着した物権的負担なのである
 したがって「甲土地を囲む土地の所有権」をCが時効取得しても、Aは公道に至るために「甲土地を囲む」その土地を通行することができる。本肢は誤り。

[正解] 1



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