|公開日 2023.05.01

【問 1】 売買代金債権(以下この問において「債権」という。)の譲渡(令和3年7月1日に譲渡契約が行われたもの)に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

 譲渡制限の意思表示がされた債権が譲渡された場合、当該債権譲渡の効力は妨げられないが、債務者は、その債権の全額に相当する金銭を供託することができる。

 債権が譲渡された場合、その意思表示の時に債権が現に発生していないときは、譲受人はその後に発生した債権を取得できない。

 譲渡制限の意思表示がされた債権の譲受人が、その意思表示がされていたことを知っていたときは、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもって譲受人に対抗することができる。

 債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知し、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができず、その譲渡の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。 (令和3年問6)

解説&正解
【1】[債務者の供託]*466条2第1項
 譲渡制限の意思表示がされた債権が譲渡された場合でも、その譲渡は有効であるが、債務者は、混乱が生じることを避けるために、「その債権の全額に相当する金銭」を供託所に供託することができる。本肢は正しい。

【2】将来債権の譲渡]*466条6第1項2項
 債権譲渡の「意思表示の時に債権が現に発生していない」将来債権でも、譲受人は、その後に発生したその債権を当然に取得する。本肢は誤り。

【3】悪意・重過失の譲受人]*466条3項
 債権の譲渡制限の意思表示がされたことを知り、または重大な過失によって知らなかった譲受人に対しては、債務者は「その債務の履行を拒むことができ」、かつ「譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由」をもって譲受人に対抗することができる。本肢は正しい。

【4】[債権譲渡の対抗要件]*467条
 記述のとおり。債権の譲渡(将来債権含む)は、譲渡人が債務者に通知し、または債務者が承諾をしなければ「債務者その他の第三者」に対抗することはできず、その通知・承諾は「確定日付のある証書」によってしなければ「債務者以外の第三者」に対抗できない。本肢は正しい。

[正解] 2



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