|公開日 2017.06.28
|更新日 2018.10.26


【平成14年 問12】の問題です。

【問 題】 相続の承認及び放棄に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

 相続の放棄をする場合、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。

 相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。

 相続人が、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月(家庭裁判所が期間の伸長をした場合は当該期間)以内に、限定承認又は放棄をしなかったときは、単純承認をしたものとみなされる。

 被相続人の子が、相続の開始後に相続放棄をした場合、その者の子がこれを代襲して相続人となる。


[解説&正解]

【選択肢1】
相続の放棄をする場合、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。

(解 説)
相続放棄は、限定承認と同様に要式行為とされているため、相続放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述する必要があります。
本肢は正しい記述です。

※ 他人に対して相続放棄の合意をしても効力は生じません(大判大6.11.9)。

[テーマ] 相続放棄の方式
[条 文] 938条

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【選択肢2】
相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。

(解 説)
相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみすることができます。そうしないと、清算手続が非常に複雑になるからです。
本肢は正しい記述です。

[テーマ] 限定承認の方法
[条 文] 923条

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【選択肢3】
相続人が、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月(家庭裁判所が期間の伸長をした場合は当該期間)以内に、限定承認又は放棄をしなかったときは、単純承認をしたものとみなされる。

(解 説)
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内(または家庭裁判所が伸長した期間以内)に、単純承認か限定承認、または相続の放棄をしなければなりません。
この期間内に、限定承認または相続放棄をしなかったときは、単純承認をしたものとみなされます(期間経過による法定単純承認)。

これは、単純承認を相続本来の形態として、権利関係を早く確定させるためなのです。
本肢は正しい記述です。

[テーマ] 法定単純承認
[条 文] 915条1項、921条2号

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【選択肢4】
被相続人の子が、相続の開始後に相続放棄をした場合、その者の子がこれを代襲して相続人となる。

(解 説)
相続放棄した者の子が、代襲相続人となることはありません。
というのも、相続放棄をした者は、その相続に関しては、はじめから相続人とならなかったものとみなされるため、相続権そのものが発生していないからです。
発生しない相続権を相続することは、ありえません。
本肢は誤った記述です。

[テーマ] 相続放棄の効力
[条 文] 939条

以上より、正解は[4]

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[しっかり読んでおこう重要条文]

*915条(相続の承認・放棄をすべき期間)
1 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に、相続について、単純または限定の承認、あるいは放棄をしなければならない。(以下略)

*921条(法定単純承認)
次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
二 相続人が法定期間内に限定承認または相続の放棄をしなかったとき。

*923条(共同相続人の限定承認)
相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。

*938条(相続の放棄の方式)
相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。

*939条(相続放棄の効力)
相続放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。


(この項終わり)