|公開日 2017.6.23

【平成12年 問6】の問題です。

【問 題】 Aが、Bに対して有する金銭債権をCに譲渡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 譲渡通知は、AがBに対してしなければならないが、CがAの代理人としてBに対して通知しても差し支えない。

 Bが譲渡を承諾する相手方は、A又はCのいずれでも差し支えない。

 Aが、CとDとに二重譲渡し、それぞれについて譲渡通知をした場合で、Cに係る通知の確定日付はDに係るものより早いが、Bに対しては、Dに係る通知がCに係る通知より先に到達したとき、Dへの債権譲渡が優先する。

 Bが、既にAに弁済していたのに、AのCに対する譲渡を異議をとどめないで承諾した場合、Bは、弁済したことをCにもAにも主張することができない。


[解説&正解]
債権譲渡はなかなかやさしい問題がないのですが、本問は基本的な論点を扱った問題です。ぜひとも正解したいものです。

【選択肢1】
(Aが、Bに対して有する金銭債権をCに譲渡した場合)譲渡通知は、AがBに対してしなければならないが、CがAの代理人としてBに対して通知しても差し支えない。

(解 説)
債権譲渡の通知は、譲受人Cが、譲渡人Aの代理人として行っても問題はありません。

通知は、債権が譲渡されたという事実を知らせる行為であって意思表示ではありませんが、代理行為は譲渡人(本人)の意思を受けて行われるため問題はないのです。実際にこの方法はよく用いられています。
本肢は正しい記述です。

[テーマ] 代理人による通知でもいいか
[判 例] 大判昭12.11.9

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【選択肢2】
(Aが、Bに対して有する金銭債権をCに譲渡した場合)Bが譲渡を承諾する相手方は、A又はCのいずれでも差し支えない。

(解 説)
債務者が承諾する相手方は、譲渡人・譲受人のどちらでもかまいません。

債務者の承諾を債権譲渡の対抗要件としたのは、債務者が誤って弁済することがないようにするためですから、債務者が譲渡の事実を知っていればいいのです。
本肢は正しい記述です。

※ 承諾というのは、同意するという意味ではなく、単に債権が譲渡されたという事実を了承することです。

[テーマ] 承諾の相手方
[判 例] 最判昭49.7.5

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【選択肢3】
(Aが、Bに対して有する金銭債権を)CとDとに二重譲渡し、それぞれについて譲渡通知をした場合で、Cに係る通知の確定日付はDに係るものより早いが、Bに対しては、Dに係る通知がCに係る通知より先に到達したとき、Dへの債権譲渡が優先する。

(解 説)
債権譲渡の通知は意思表示ではありませんが、意思表示に関する規定が類推適用され、到達によって効力を生じます。

判例は、債権が、A→C、A→Dに二重譲渡され、ともに確定日付ある証書による通知がなされた場合には、その優劣は、確定日付自体の先後ではなく、債務者に通知が到達した日時の先後によって決まり、先に到達したDへの債権譲渡が優先するとしています。

  債権の二重譲渡

本肢は正しい記述です。

[テーマ] 債権の二重譲渡と優劣の基準
[判 例] 最判昭49.3.7

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【選択肢4】
(Aが、Bに対して有する金銭債権をCに譲渡した場合)Bが、既にAに弁済していたのに、AのCに対する譲渡を異議をとどめないで承諾した場合、Bは、弁済したことをCにもAにも主張することができない。

(解 説)
「Aにも主張することができない」が誤り。
債権譲渡について、債務者が異議をとどめないで承諾したときは、債務者は、譲渡人に対抗できた一切の事由を譲受人に対抗できなくなります。
これは、異議をとどめない承諾に公信力を与えて、承諾を信頼した譲受人を保護するためなのです。

したがって、債務者Bは、譲渡人Aに弁済したことを譲受人Cには主張できませんが、A自身に対しては当然に主張できるのです。
本肢は誤った記述です。

[テーマ] 異議をとどめない承諾の対抗力
[条 文] 468条1項

以上より、正解は[4]

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[しっかり読んでおこう重要条文]

*468条(異議をとどめない承諾)
1 債務者が異議をとどめないで債権譲渡の承諾をしたときは、譲渡人に対抗することができた事由があっても、これをもって譲受人に対抗することができない。(以下略)



(この項終わり)