|公開日 2017.06.20
|更新日 2018.10.25


【平成3年 問6】の問題です。

【問 題】 A及びBは、Cの所有地を買い受ける契約をCと締結し、連帯して代金を支払う債務を負担している。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。

 Aの債務が時効により消滅したときは、Bは、Aの負担部分について支払いを免れる。

 CがAに対して期限の猶予をしたときは、Bの債務についても、期限が猶予される。

 CがBに対して支払いを請求して、Cの代金債権の消滅時効が中断されたときは、Aの債務についても、中断される。

 Aが債務を承認して、Cの代金債権の消滅時効が中断されたときでも、Bの債務については、中断されない。


[解説&正解]
連帯債務に関する基本中の基本問題です。
最近はほとんど保証債務や連帯保証などとの複合問題ですが、やはりこうした基本事項をマスターしておかないと複合問題も解けません。キチンと練習しましょう。

【選択肢1】
(A及びBは、Cの所有地を買い受ける契約をCと締結し、連帯して代金を支払う債務を負担している。この場合)Aの債務が時効により消滅したときは、Bは、Aの負担部分について支払いを免れる。

(解 説)
連帯債務者の1人について時効が完成したときは、その者の負担部分について、他の債務者も債務を免れます(絶対的効力)。
つまり、Aの債務が時効消滅すれば、Bもまた、Aの負担部分についてだけ支払いを免れることになります。
したがって、正しい記述です。

※ たとえば、100万円の連帯債務を負うA・B(負担部分1/2ずつ)について、Aの債務が時効消滅すれば、Bの債務は50万円となります。
このように、1人について生じた事由が、他の債務者にも同じように効力を生じることを絶対的効力といいます。

[テーマ]
 1人についての時効完成──絶対的効力
[条 文] 439条

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【選択肢2】
(A及びBは、Cの所有地を買い受ける契約をCと締結し、連帯して代金を支払う債務を負担している。この場合)CがAに対して期限の猶予をしたときは、Bの債務についても、期限が猶予される。

(解 説)
もともと連帯債務は、債務者1人1人が独立に債務を負担するものですから、1人について生じた事由は当人だけに効力が生じ、他の債務者には効力を生じないのが原則です(相対的効力の原則)。
したがって、連帯債務者Aに対して期限の猶予をしても、Bの債務は猶予されません。
本肢は誤った記述です。

※ たとえば、5月10日の支払期日を、Aについてだけ5月末日に猶予しても、Bの支払期限は5月10日のままです。

[テーマ] 相対的効力の原則──期限の猶予
[条 文] 440条

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【選択肢3】
(A及びBは、Cの所有地を買い受ける契約をCと締結し、連帯して代金を支払う債務を負担している。この場合)CがBに対して支払いを請求して、Cの代金債権の消滅時効が中断されたときは、Aの債務についても、中断される。

(解 説)
連帯債務者の1人に対する履行の請求は、他の債務者に対しても効力を生じます(絶対的効力)。つまり、1人に請求すれば、その効果である履行遅滞・時効中断は、他の債務者についても生じるのです。

Cが、Bに支払いを請求して代金債権の消滅時効が中断したときは、Aの債務についても時効が中断します。
したがって、正しい記述です。

[テーマ] 1人に対する請求──絶対効
[条 文] 434条、147条1号

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【選択肢4】
(A及びBは、Cの所有地を買い受ける契約をCと締結し、連帯して代金を支払う債務を負担している。この場合)Aが債務を承認して、Cの代金債権の消滅時効が中断されたときでも、Bの債務については、中断されない。

(解 説)
債務者がその債務を承認すれば、消滅時効は中断しますが、中断の効力は承認した当人だけに生じ、他の債務者には効力を生じません(相対的効力の原則)。

連帯債務者の1人Aが債務の承認をして、Cの代金債権の消滅時効が中断しても、Bの債務については時効は中断せず、消滅時効はそのまま進行します。
正しい記述です。

[テーマ] 相対的効力の原則──債務の承認
[条 文] 440条、147条3号

以上より、正解は[2]

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[しっかり読んでおこう重要条文]

*434条(一人に対する履行請求)
連帯債務者の一人に対する履行の請求は、他の連帯債務者に対してもその効力を生ずる。

*439条(1人についての時効の完成)
連帯債務者の1人のために時効が完成したときは、その者の負担部分については、他の連帯債務者も、その義務を免れる。

*440条(相対的効力の原則
434条から439条まで(絶対的効力事由)を除き、連帯債務者の1人について生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない

[ワンランク・アップ]

相対的効力の原則と絶対的効力事由
連帯債務は、債務者同士が人間的な結びつき(家族、友人、知人など)によって連帯しているのですが、もともと債務者1人1人が独立に債務を負担するものですから、1人について生じた事由は当人だけに効力が生じ、他の債務者には効力を生じないというのが原則なのです。これを連帯債務の相対的効力といいます。

したがって、期限の猶予や債務の承認だけでなく、1人について法律行為の無効・取消しの原因があっても、他の債務者の債務には影響がありません。
たとえば、連帯債務者Aの錯誤により、AC間の契約が無効であっても、BC間では完全に有効な契約が成立します。

ただし、①請求 ②更改 ③相殺 ④免除 ⑤混同 ⑥時効の6事由については、例外的に他の連帯債務者にも効力が及びます(絶対的効力)

この原則と例外を正確に理解することが得点のポイントです。

(原則)相対的効力の原則
1人について生じた事由は、当人だけに効力を生じる。
①債務の承認 ②期限の猶予 ②取消し ③無効 など
(例外)絶対的効力事由
1人について生じた事由は、他の債務者にも効力を生じる。
①請求 ②更改 ③相殺 ④免除 ⑤混同 ⑥時効


(この項終わり)