|公開日 2017.6.20

【平成3年 問6】の問題です。

【問 題】 A及びBは、Cの所有地を買い受ける契約をCと締結し、連帯して代金を支払う債務を負担している。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。

 Aの債務が時効により消滅したときは、Bは、Aの負担部分について支払いを免れる。

 CがAに対して期限の猶予をしたときは、Bの債務についても、期限が猶予される。

 CがBに対して支払いを請求して、Cの代金債権の消滅時効が中断されたときは、Aの債務についても、中断される。

 Aが債務を承認して、Cの代金債権の消滅時効が中断されたときでも、Bの債務については、中断されない。


[解説&正解]
連帯債務に関する基本中の基本問題です。
最近はほとんど保証債務や連帯保証などとの複合問題ですが、やはりこうした基本事項をマスターしておかないと複合問題も解けません。キチンと練習しましょう。

【選択肢1】
(A及びBは、Cの所有地を買い受ける契約をCと締結し、連帯して代金を支払う債務を負担している。この場合)Aの債務が時効により消滅したときは、Bは、Aの負担部分について支払いを免れる。

(解 説)
連帯債務者の1人について時効が完成したときは、その者の負担部分について、他の債務者も債務を免れます(絶対的効力)。
つまり、Aの債務が時効消滅すれば、Bもまた、Aの負担部分についてだけ支払いを免れることになります。
したがって、正しい記述です。

※ たとえば、100万円の連帯債務を負うA・B(負担部分1/2ずつ)について、Aの債務が時効消滅すれば、Bの債務は50万円となります。
このように、1人について生じた事由が、他の債務者にも同じように効力を生じることを絶対的効力といいます。

[テーマ] 1人についての時効完成──絶対的効力
[条 文] 439条

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【選択肢2】
(A及びBは、Cの所有地を買い受ける契約をCと締結し、連帯して代金を支払う債務を負担している。この場合)CがAに対して期限の猶予をしたときは、Bの債務についても、期限が猶予される。

(解 説)
もともと連帯債務は、債務者1人1人が独立に債務を負担するものですから、1人について生じた事由は当人だけに効力が生じ、他の債務者には効力を生じないのが原則です(相対的効力の原則)。
したがって、連帯債務者Aに対して期限の猶予をしても、Bの債務は猶予されません。
本肢は誤った記述です。

※ たとえば、5月10日の支払期日を、Aについてだけ5月末日に猶予しても、Bの支払期限は5月10日のままです。

[テーマ] 相対的効力の原則──期限の猶予
[条 文] 440条

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【選択肢3】
(A及びBは、Cの所有地を買い受ける契約をCと締結し、連帯して代金を支払う債務を負担している。この場合)CがBに対して支払いを請求して、Cの代金債権の消滅時効が中断されたときは、Aの債務についても、中断される。

(解 説)
連帯債務者の1人に対する履行の請求は、他の債務者に対しても効力を生じます(絶対的効力)。つまり、1人に請求すれば、その効果である履行遅滞・時効中断は、他の債務者についても生じるのです。

Cが、Bに支払いを請求して代金債権の消滅時効が中断したときは、Aの債務についても、時効が中断します。
したがって、正しい記述です。

[テーマ] 1人に対する請求──絶対効
[条 文] 434条、147条1号

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【選択肢4】
(A及びBは、Cの所有地を買い受ける契約をCと締結し、連帯して代金を支払う債務を負担している。この場合)Aが債務を承認して、Cの代金債権の消滅時効が中断されたときでも、Bの債務については、中断されない。

(解 説)
債務者がその債務を承認すれば、消滅時効は中断しますが、債務の承認によって時効が中断しても、その効力は承認した当人だけに生じ、他の債務者には効力を生じません(相対的効力の原則)。

連帯債務者の1人Aが債務の承認をして、Cの代金債権の消滅時効が中断しても、Bの債務については時効は中断せず、消滅時効はそのまま進行します。
正しい記述です。

[テーマ] 相対的効力の原則──債務の承認
[条 文] 440条、147条3号

以上より、正解は[2]

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[しっかり読んでおこう重要条文]

*147条(時効の中断事由)
時効は、次に掲げる事由によって中断する。
一 請求
二 差押え、仮差押えまたは仮処分
三 承認

*434条(一人に対する履行請求)
連帯債務者の一人に対する履行の請求は、他の連帯債務者に対しても、その効力を生ずる。

*439条(1人についての時効の完成)
連帯債務者の1人のために時効が完成したときは、その者の負担部分については、他の連帯債務者も、その義務を免れる。

*440条(相対的効力の原則
434条から439条まで(絶対的効力事由)を除き、連帯債務者の1人について生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない



(この項終わり)