|公開日 2017.06.19
|更新日 2018.10.25


【平成15年 問6】の問題です。

【問 題】 普通抵当権と元本確定前の根抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

 普通抵当権でも、根抵当権でも、設定契約を締結するためには、被担保債権を特定することが必要である。

 普通抵当権でも、根抵当権でも、現在は発生しておらず、将来発生する可能性がある債権を被担保債権とすることができる。

 普通抵当権でも、根抵当権でも、被担保債権を譲り受けた者は、担保となっている普通抵当権又は根抵当権を被担保債権とともに取得する。

 普通抵当権でも、根抵当権でも、遅延損害金については、最後の2年分を超えない利息の範囲内で担保される。


[解説&正解]
普通の抵当権と根抵当権の相異を問う初歩的な問題です。かならず正解しましょう。

【選択肢1】
(普通抵当権と元本確定前の根抵当権に関して)普通抵当権でも、根抵当権でも、設定契約を締結するためには、被担保債権を特定することが必要である。

(解 説)
普通抵当権は、ある特定の債権の弁済を担保することを目的としていますので、その被担保債権を特定することが必要です。

一方、根抵当権は、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額まで担保するために設定する抵当権ですから、そもそも被担保債権を特定する必要はないのです。
本肢は誤った記述です。

[テーマ] 被担保債権の特定性
[条 文] 398条の2

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【選択肢2】
(普通抵当権と元本確定前の根抵当権に関して)普通抵当権でも、根抵当権でも、現在は発生しておらず、将来発生する可能性がある債権を被担保債権とすることができる。

(解 説)
普通抵当権は、ある特定の債権を担保することが目的ですから、その債権なしには成立することができません(付従性)。
しかし、その債権は必ずしも現在存在する必要はなく、将来発生する可能性のある債権や条件付債権であってもいいのです(付従性の緩和)。

一方、根抵当権は、まさに将来発生する債権を担保するところにその特質があります。
正しい記述です。

[テーマ] 将来の債権を担保できるか
[判 例] 大判昭7.6.1

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【選択肢3】
(普通抵当権と元本確定前の根抵当権に関して)普通抵当権でも、根抵当権でも、被担保債権を譲り受けた者は、担保となっている普通抵当権又は根抵当権を被担保債権とともに取得する。

(解 説)
普通抵当権は、特定債権の担保が目的であるため、その被担保債権が譲渡されれば、これを担保する抵当権も一緒に移転するのが当然です(随伴性)。

一方、根抵当権は、被担保債権を「一定の範囲」で、いわば「箱」を担保するもので、その「箱の中」にある1つ1つの債権を個別に担保するものではないので、元本の確定前に「箱の中」にある個別の債権が取り出されて譲渡されても、根抵当権は移転しません。

被担保債権を譲り受けた者が、根抵当権を取得することはないのです(随伴性の否定)。
誤った記述です。

[テーマ] 随伴性
[条 文] 398条の7第1項

………………………………………

【選択肢4】
(普通抵当権と元本確定前の根抵当権に関して)普通抵当権でも、根抵当権でも、遅延損害金については、最後の2年分を超えない利息の範囲内で担保される。

(解 説)
利息や遅延損害金についての優先弁済の範囲は、普通抵当権の場合は「最後の2年分」についてのみという制限があります。これは、ほかの債権者の利益を確保するためです。

しかし、根抵当権にはこのような制限はなく、極度額の限度内であればすべて担保されます。つまり、極度額に達するまでは、何年分の利息・遅延損害金でもよく、また極度額を超えてしまえば、2年分の利息であっても担保されることはありません。
誤った記述です。

[テーマ] 利息・遅延損害金の範囲
[条 文] 375条、398条の3第1項

以上より、正解は[2]

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[しっかり読んでおこう重要条文]

*398条の2(根抵当権の設定)
1 抵当権は、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。

*398条の3(被担保債権の範囲)
1 根抵当権者は、確定した元本、利息その他の定期金、および債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。

*398条の7(被担保債権の譲渡)
1 元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない。元本の確定前に債務者のために、または債務者に代わって弁済をした者も同様とする。


(この項終わり)