|公開日 2017.6.25

【平成4年 問5】の問題です。

【問 題】 Aは、B所有の土地建物をBから買い受け、その際「Bは瑕疵(かし)担保責任を負わない」旨の特約を結んだが、その土地建物に隠れた瑕疵が存在して、契約をした目的を達成することができなくなった。なお、Bは、その瑕疵の存在を知っていた。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。

 特約を結んだ以上、Aは、Bに対し、契約の解除をすることができない。

 特約があっても、Aは、瑕疵の存在を知ったときから1年間は、Bに対し、契約の解除をすることができる。

 特約があっても、Aは、瑕疵の存在を知ったときから2年間は、Bに対し、契約の解除をすることができる。

 特約があっても、Aは、土地建物の引渡しを受けたときから2年間は、Bに対し、契約の解除をすることができる。


[解説&正解]
瑕疵担保責任を負わない旨の特約も有効です。
しかし572条の規定によれば、このような特約があっても、本問のように、売主Bが、瑕疵の存在を知りながら告げなかったときは、詐欺に等しい不法があるものとして、買主Aに対し、担保責任(契約解除、損害賠償責任)を負わなければならないとされています。

本問は、この特約の効力(限界)に関する初歩的な問題です。

【選択肢1】
(Aは、B所有の土地建物をBから買い受け、その際「Bは瑕疵担保責任を負わない」旨の特約を結んだが、その土地建物に隠れた瑕疵が存在して、契約をした目的を達成することができなくなった。なお、Bは、その瑕疵の存在を知っていた。)この場合、特約を結んだ以上、Aは、Bに対し、契約の解除をすることができない。

(解 説)
瑕疵担保責任を負わない旨の特約があっても、瑕疵のために契約目的を達成できないときは、善意の買主Aは、契約を解除することができます。
本肢は誤った記述です。

[テーマ] 特約と契約解除
[条 文] 572条、566条 

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【選択肢2】
(Aは、B所有の土地建物をBから買い受け、その際「Bは瑕疵担保責任を負わない」旨の特約を結んだが、その土地建物に隠れた瑕疵が存在して、契約をした目的を達成することができなくなった。なお、Bは、その瑕疵の存在を知っていた。)この場合、特約があっても、Aは、瑕疵の存在を知ったときから1年間は、Bに対し、契約の解除をすることができる。

(解 説)
この特約があっても、買主Aは、瑕疵の存在を知った時から1年以内であれば、契約を解除することができます。
担保責任を追及できる期間が、1年間というきわめて短い期間に規定されたのは、権利関係を早く決済する趣旨です。
本肢は正しい記述です。

[テーマ] 担保責任の存続期間
[条 文] 570条3項

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【選択肢3】
(Aは、B所有の土地建物をBから買い受け、その際「Bは瑕疵担保責任を負わない」旨の特約を結んだが、その土地建物に隠れた瑕疵が存在して、契約をした目的を達成することができなくなった。なお、Bは、その瑕疵の存在を知っていた。)この場合、特約があっても、Aは、瑕疵の存在を知ったときから2年間は、Bに対し、契約の解除をすることができる。

(解 説)
「2年間」が誤り。
解除できるのは、瑕疵の存在を知った時から1年間です。
本肢は誤った記述です。

[テーマ] 担保責任の存続期間
[条 文] 570条3項

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【選択肢4】
(Aは、B所有の土地建物をBから買い受け、その際「Bは瑕疵担保責任を負わない」旨の特約を結んだが、その土地建物に隠れた瑕疵が存在して、契約をした目的を達成することができなくなった。なお、Bは、その瑕疵の存在を知っていた。)この場合、特約があっても、Aは、土地建物の引渡しを受けたときから2年間は、Bに対し、契約の解除をすることができる。

(解 説)
「土地建物の引渡しを受けたときから2年間」が誤り。
解除できるのは、瑕疵の存在を知った時から1年間です。
本肢は誤った記述です。

[テーマ] 担保責任の存続期間
[条 文] 570条3項

以上より、正解は[2]

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[しっかり読んでおこう重要条文]

*570条(売主の瑕疵担保責任)566条準用
1 売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。
この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。(2 略)
3 契約の解除または損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から1年以内にしなければならない。

*572条(担保責任を負わない旨の特約)
売主は、担保責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実……(略)……については、その責任を免れることができない。



(この項終わり)