|公開日 2017.06.29
|更新日 2018.10.26


【平成9年 問10】の問題です。

【問 題】 遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 被相続人Aの配偶者BとAの弟Cのみが相続人であり、Aが他人Dに遺産全部を遺贈したとき、Bの遺留分は遺産の3/8、Cの遺留分は遺産の1/8である。

 遺留分の減殺請求は、訴えを提起しなくても、内容証明郵便による意思表示だけでもすることができる。

 相続が開始して9年6ヵ月経過する日に、はじめて相続の開始と遺留分を害する遺贈のあったことを知った遺留分権利者は、6ヵ月以内であれば、遺留分の減殺請求をすることができる。

 被相続人Eの生前に、Eの子Fが家庭裁判所の許可を得て遺留分の放棄をした場合でも、Fは、Eが死亡したとき、その遺産を相続する権利を失わない。


[解説&正解]

【選択肢1】
被相続人Aの配偶者BとAの弟Cのみが相続人であり、Aが他人Dに遺産全部を遺贈したとき、Bの遺留分は遺産の3/8、Cの遺留分は遺産の1/8である。

(解 説)
被相続人の兄弟姉妹にはそもそも遺留分が認められていないため、「Cの遺留分は遺産の1/8である」は誤りです。

ちなみに、配偶者Bの遺留分は(遺留分割合×相続分)で算出されます。
1/2×3/4=「3/8」となり、被相続人Aが、遺産全部を他人Dに遺贈しても、Bは遺産の3/8については遺留分が認められます。

※ 遺留分が認められているのは、配偶者、子、直系尊属です。

[テーマ] 兄弟姉妹の遺留分
[条 文] 1028条

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【選択肢2】
遺留分の減殺請求は、訴えを提起しなくても、内容証明郵便による意思表示だけでもすることができる。

(解 説)
減殺請求は、訴えを提起しなくても、裁判外の「内容証明郵便による意思表示だけ」ですることができます。
減殺請求権は形成権なので、その行使は、受遺者に対する意思表示によってすれば足り、必ずしも裁判上の請求による必要はないのです。
本肢は正しい記述です。

[テーマ] 減殺請求権の行使
[判 例] 最判昭41.7.14

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【選択肢3】
相続が開始して9年6ヵ月経過する日に、はじめて相続の開始と遺留分を害する遺贈のあったことを知った遺留分権利者は、6ヵ月以内であれば、遺留分の減殺請求をすることができる。

(解 説)
相続開始後9年6ヵ月経過した日に、相続開始・遺留分侵害を知った遺留分権利者は、その時から6ヵ月以内であれば、減殺請求することができます。

減殺請求権はいつまでも行使できるわけではなく、遺留分権利者が、
① 相続開始および減殺すべき贈与・遺贈を知った時から1年間行使しないとき、
または、
② 相続開始の時から10年経過したときは、時効消滅します。
本肢の場合、①にも、②にも該当しません。
本肢は正しい記述です。

[テーマ] 減殺請求権の消滅時効
[条 文] 1042条

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【選択肢4】
被相続人Eの生前に、Eの子Fが家庭裁判所の許可を得て遺留分の放棄をした場合でも、Fは、Eが死亡したとき、その遺産を相続する権利を失わない。

(解 説)
遺留分の放棄は相続権の放棄ではないので、遺留分を放棄したFも相続権を失うことはなく相続人であることに変わりはありません。

ただ遺留分を侵害されたときに、減殺請求権を行使できなくなり、遺留分の保護を受けられないだけなのです。
本肢は正しい記述です。

※ なお、共同相続人の1人が遺留分を放棄しても、他の共同相続人の遺留分に影響はなく、その遺留分が増えるということはありません。

[テーマ] 遺留分の放棄
[条 文] 1043条

以上より、正解は[1]

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[しっかり読んでおこう重要条文]

*1028条(遺留分の帰属とその割合)
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
(以下略)

*1042条(減殺請求権の期間制限)
減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する。
相続開始の時から10年を経過したときも、同様とする。

*1043条(遺留分の放棄)
1 相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。
2 共同相続人の一人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。


(この項終わり)