|公開日 2017.06.28
|更新日 2018.10.26


【平成8年 問10】の問題です。

【問 題】 居住用建物を所有するAが死亡した場合の相続に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 Aに、配偶者B、Bとの婚姻前に縁組した養子C、Bとの間の実子D (Aの死亡より前に死亡)、Dの実子E及びFがいる場合、BとCとEとFが相続人となり、EとFの法定相続分はいずれも1/8となる。

 Aに、配偶者B、母G、兄Hがいる場合、Hは相続人とならず、BとGが相続人となり、Gの法定相続分は1/4となる。

 Aに法律上の相続人がない場合で、10年以上Aと同居して生計を同じくし、Aの療養看護に努めた内縁の妻Iがいるとき、Iは、承継の意思表示をすれば当該建物を取得する。

 Aに、その死亡前1年以内に離婚した元配偶者Jと、Jとの間の未成年の実子Kがいる場合、JとKが相続人となり、JとKの法定相続分はいずれも1/2となる。


[解説&正解]
本問と同じように法定相続分の算出問題が、【平成1年問11】【平成8年問10(3選択肢)】【平成13年問11(2選択肢)】【平成16年問12(2選択肢】【平成24年問10(2選択肢)】【平成26年問10】と、かなり出題されています。
なかでも【平成1年】と【平成26年】はズバリ算出問題そのものでした。
基本的な法定相続分は正確に把握しておきましょう。

【選択肢1】
(居住用建物を所有するAが死亡した場合の相続において)Aに、配偶者B、Bとの婚姻前に縁組した養子C、Bとの間の実子D(Aの死亡より前に死亡)、Dの実子E及びFがいる場合、BとCとEとFが相続人となり、EとFの法定相続分はいずれも1/8となる。

(解 説)
法定相続分の問題では、まず最初に、①相続人を確定し、次に、②相続分を計算する、というのが順序です。

本肢の場合、①相続人は、配偶者B、養子C、そして相続時すでに死亡しているDを代襲相続するE・Fです。
したがって、②各人の相続分は、配偶者Bが1/2、子はC・D2人で1/2を相続しますから、それぞれ 1/2×1/2=1/4 となります。

ただし、Dの1/4は、その子E・F2人が代襲相続するため、その相続分は、それぞれ1/4×1/2=1/8 となります。
本肢は正しい記述です。

[テーマ] 養子等の法定相続分
[条 文] 887条2項、900条1号、901条

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【選択肢2】
(居住用建物を所有するAが死亡した場合の相続において)Aに、配偶者B、母G、兄Hがいる場合、Hは相続人とならず、BとGが相続人となり、Gの法定相続分は1/4となる。

(解 説)
相続人は、配偶者Bと母(直系尊属)Gであり、兄(兄弟姉妹)Hは相続人とはなりません。この場合、相続分は、配偶者2/3、直系尊属1/3なので、母Gの相続分は1/3となります。「1/4」ではありません。
本肢は誤った記述です。

[テーマ] 直系尊属の相続分
[条 文] 900条

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【選択肢3】
(居住用建物を所有するAが死亡した場合の相続において)Aに法律上の相続人がない場合で、10年以上Aと同居して生計を同じくし、Aの療養看護に努めた内縁の妻Iがいるとき、Iは、承継の意思表示をすれば当該建物を取得する。

(解 説)
本肢の場合、内縁の妻Iは、特別縁故者にあたると考えられますが、単に「承継の意思表示」をしただけで同居建物を取得することはできず、一定期間内に、家庭裁判所に相続財産分与の請求申立てをする必要があります。

相続人が不存在の場合、家庭裁判所は、
1 被相続人と生計を同じくしていた者
2 被相続人の療養看護に努めた者
3 被相続人と特別の縁故があった者
などの請求があれば、清算後残存する相続財産の全部又は一部を与えることができます。
こうすることが、被相続人の意思に近いと考えられるからです。
本肢は誤った記述です。

[テーマ] 特別縁故者への相続財産分与
[条 文] 958条の3

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【選択肢4】
(居住用建物を所有するAが死亡した場合の相続において)Aに、その死亡前1年以内に離婚した元配偶者Jと、Jとの間の未成年の実子Kがいる場合、JとKが相続人となり、JとKの法定相続分はいずれも1/2となる。

(解 説)
被相続人Aが生存しているときに離婚した元配偶者Jは、すでに配偶者ではないため相続人となることはできず、実子Kが単独で全部を相続します。
本肢は誤った記述です。

[テーマ] 離婚した元配偶者

以上より、正解は[1]

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[しっかり読んでおこう重要条文]

*887条(子およびその代襲者の相続権)
1 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したときは(略)、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。

*900条(法定相続分)
同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一 子および配偶者が相続人であるときは、子の相続分および配偶者の相続分は、各1/2とする。
二 配偶者および直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、2/3とし、直系尊属の相続分は、1/3とする。
三 配偶者および兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、3/4とし、兄弟姉妹の相続分は、1/4とする。
四 子、直系尊属または兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹(非嫡出子)の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の1/2とする。

*901条(代襲相続人の相続分)
1 代襲相続により相続人となる直系卑属の相続分は、その直系尊属が受けるべきであったものと同じとする。ただし、直系卑属が数人あるときは、その各自の直系尊属が受けるべきであった部分について、900条の規定に従ってその相続分を定める。

*958条の3(特別縁故者に対する相続財産の分与)
1 前条の場合(法律上の相続人がない場合)において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者、その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
2 前項の請求は、958条の期間(6ヵ月)の満了後3箇月以内にしなければならない。


(この項終わり)