|公開日 2017.7.27

[今回のテーマ]
■連帯保証人ほど恐いものはない

1 連帯保証の必要性──債権を強力に

保証債務の場合、債権者は、保証人に請求してもうまくかわされてしまいます。
保証人には催告と検索の抗弁権がありますから、一時的にせよ拒否されてしまうため、債権の効力はそれほど強いわけではありません。

債権を少しでも強くしたい債権者は、どうしたらいいでしょうか。

そこで、保証契約のときに、保証人が主たる債務者と連帯する特約をしてくれれば、いきなり請求しても拒否されることはなくなり、大変好都合です。

保証人と主たる債務者が、連帯債務の関係になれば、保証債務とはいいながら、ほとんど連帯債務ですから、債権はより強力になるというわけです。これを連帯保証といいます。

  連帯保証

2 連帯保証の性質

連帯保証の性質も、以上の点からアプローチするとスッキリ整理できます。
連帯債務や保証債務との違いはよく試験に出されますので、比較しながら理解を深めましょう。3点を確認しておきます。

1 催告の抗弁権・検索の抗弁権がない

連帯保証には、保証債務にある「付従性」「随伴性」「補充性」のうち、「補充性」がありません。「補充性」のない保証債務ですから、催告の抗弁権・検索の抗弁権がないのです。
債権者が請求してきたら、これらの抗弁がないため応じなければなりません。

2 連帯債務の一部適用がある

「主たる債務者」に生じた事由が、ことごとく連帯保証人にも及ぶというのは問題ないでしょう。そうですね。保証債務の付従性ですね。

主たる債務について時効中断の事由が生じれば、常に連帯保証人についても効力を生じます。
請求はもちろんのこと、債務の承認も同様です。

主たる債務者が債権者に対して反対債権を有していれば、連帯保証人は、この反対債権による相殺をもって、債権者に対抗することができます。保証人の相殺援用と同じです。

それでは、「連帯保証人」に生じた事由はどうでしょう。

連帯保証は「連帯」の性質もあわせもっているため、連帯債務の規定が適用されることになりますが、連帯保証はあくまでも保証債務ですから、連帯債務にあるような負担部分(負担割合)というものがありません。
最終的には主たる債務者が責任を負担しますから、負担部分は0です。

したがって、連帯債務の負担部分を前提とした3つ、つまり「相殺」「免除」「時効」は連帯保証には適用されません。

主たる債務者は、連帯保証人の反対債権を援用して相殺することはできませんし、連帯保証人が免除されても、主たる債務者には影響がありません。

保証債務が時効で消滅しても、主たる債務はそのまま存続します。

一方、負担部分に関係のない「請求」「更改」「混同」は、主たる債務者にも及びます。
この請求だけでも、確実に覚えておいてください。

3 分別の利益がない

900万の債務に保証人がB・C・D3人いれば(共同保証人といいます)、各人が300万ずつの責任を負うというふうに、頭数で分けられるのが原則です。これは保証人の利益になりますので「分別の利益」といわれます。

連帯保証人にはこの「分別の利益」がありませんから、何人いても、すべての連帯保証人が、各自全額の請求に応じなければならないのです。

主たる債務者と「連帯」しているため、同じ責任を負うのです。
連帯債務者に分別の利益がなかったのと同じなんですね。

3 根保証について

保証契約の適正化と民法の現代語化を主な改正点とする「民法の一部を改正する法律」が、平成17年4月1日より施行されています。

ここでは、個人の保証人を保護するため新設された、貸金等根保証契約について、要点だけを確認しておきましょう。

1 極度額(限度額)の定め

書面上、極度額の定めのない根保証契約は無効です。
保証の極度額には、主債務の元本、利息、損害賠償のすべてを含みます。

2 元本確定期日の定め(保証期間の制限)

根保証をした保証人は、元本確定期日までの間に行われた融資に限って保証債務を負担します。この元本確定期日は──

 ① 契約で定める場合には、契約締結日から5年以内
 ② 契約で定めていない場合には、契約締結日から3年後の日となります。

もし、契約で5年を超える日を定めた場合には、確定期日の定めは無効とされ、元本確定期日の定めがないこととなり、結局、締結日から3年後が元本確定日となります。

なお、根保証契約の締結後に、当初の元本確定期日を変更して延長することもできますが、この変更には、債権者と保証人の合意が必要であり、また、変更後の元本確定期日は、その変更をした日から5年以内の日でなければなりません。

3 元本確定の事由

貸金等根保証契約における主たる債務の元本は、主たる債務者または保証人について、次の①~③の事由があったときに確定します。

 ① 強制執行を受けたとき
 ② 破産手続開始の決定を受けたとき
 ③ 死亡したとき

4 書面の作成

貸金等根保証契約は、書面でしなければ効力を生じません。つまり無効です。
書面により契約しなければ効力を生じないというのは、根保証に限らず、すべての保証契約に適用されます。
保証人の責任を明確にする必要があるからです。

4 条文

1 条文の確認

■454条(連帯保証の場合の特則)
保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、催告の抗弁権および検索の抗弁権を有しない。

■458条(連帯保証人について生じた事由の効力)
434条から440条までの規定(請求、更改、相殺、免除、混同、時効、相対的効力の原則)は、主たる債務者が保証人と連帯して債務を負担する場合について準用する。



(この項終わり)