|公開日 2017.6.8

今回のテーマは未成年者の行為能力です。
未成年者が単独で契約できる場合、できない場合を正確に理解することが得点ポイントです。

前回では、民法が「もともと意思能力が不十分な人たち」をその判断能力の程度・状況に応じて、①未成年者、②成年被後見人、③被保佐人、④被補助人に分けて、これらの人は、契約時の意思能力の有無をいちいち証明しなくても、制限行為能力者であるという理由だけで、一方的に契約を「取り消すことができる」として保護することとしたということを説明しました。

未成年者の行為能力はどのようなものか

1 原則と例外

未成年者とは年齢20歳未満の者をいいます(4条)。
保護者として「法定代理人」がつけられます。

法定代理人というのは、法律の規定によって当然に代理人となる者のことで、未成年者の場合には父母(親権者)です。

1 原 則
未成年者が契約(=法律行為)をするには、法定代理人の同意が必要です。
同意なしに未成年者が単独で行った契約は取り消すことができます。

2 例 外
ただし、単に権利を取得したり、または義務を免れる契約については、法定代理人の同意は不要で、未成年者が単独ですることができます。

たとえば、負担付きでない贈与を受けたり、債務を免除される(借金を免除される)などの行為です。未成年者にとって不利益となるものではないので、単独でさせてもよく、法定代理人の同意は不要なのです。


条文では、このように規定されています。

*5条(未成年者の法律行為)
1 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。
ただし、単に権利を得、または義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。

思ったよりやさしい表現ですね。
重要な条文ですからシッカリ確認しておきましょう。

2 婚姻による成年擬制

未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなされます。
これを成年擬制といいます。
未成年者であっても婚姻すれば、法律的・経済的に独立させることが適切だからです。

したがって、法定代理人の同意を得ないで単独でした契約も、もはや未成年を理由に取り消すことはできません。
たとえば、婚姻した未成年者が単独で行った「土地を売却する意思表示」(売買契約)も完全に有効で、法定代理人の同意がないことを理由に、その意思表示を取り消すことはできないのです。


条文を確認しておきましょう。

*753条(婚姻による成年擬制)
未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。

男は18歳、女は16歳になれば婚姻することができますが、父母の同意を必要とします。
父母の一方が同意しないときは、他の一方の同意だけで足ります。
「父母の一方の同意を得られないまま」婚姻しても、未成年者は行為能力者として扱われます。
なお未成年中に離婚しても、成年擬制は変わりません。

成年擬制は、民法(私法関係)に関するものに限られ、公法関係では未成年のままです。
婚姻したからといって、飲酒・喫煙ができるわけではありません。

3 注意すべき点

 債務の弁済を受けることは、既存の債権を消滅させ、債権を失うことになるため、法定代理人の同意が必要です。

 未成年者など制限行為能力者が取消しをする場合には、法定代理人の同意は不要で、単独ですることができます。取消しは、契約の強制力から制限行為能力者を解放する意思表示ですから、単独で行っても問題はないのです。

それに、法定代理人の同意がないからといって、「取り消すことのできる取消し」を認めると、法律関係がいたずらに複雑になってしまいます。

 この取消しは、善意無過失の第三者にも対抗することができます。
不動産取引で善意の第三者が移転登記を済ませていたとしても、取消を対抗することができます。制限行為能力者は、絶対的に保護されているというわけです。

 営業の許可(6条)
営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有します。
いちいち同意を得ていたのでは迅速に契約することができませんから、包括的に同意を与えて未成年者が営む営業に支障がないようにしたのです。

宅建業法でも出てきますが、宅建業の営業の許可を与えられた未成年者の場合が適例です。


(この項終わり)