|公開日 2017.8.08|更新日 2018.7.10

今回は瑕疵担保責任です。前回が「権利の瑕疵」でしたが、今回は「物の瑕疵」です。

1 新築を買ったのに!

瑕疵担保責任というのは、たとえば、購入した建物の基礎部分が白アリに食われていたとか、土地付き一戸建てを買ったところ地盤に液状化の原因があったというように、売買の「目的物」に買主の気づかない欠陥(隠れたる瑕疵・かし)があった場合に負うものとされる売主の責任のことをいいます。

所有権などの「権利」に瑕疵があるのではなく、権利の対象である「物」に瑕疵がある点に特徴があります。

新築建物を買ったところ、予期しない欠陥があとで見つかることは決して珍しくありませんね。取引社会でも頻繁に生じる事例であり、そのため判例も多く、売主の担保責任の中心的なテーマですから、試験にもよく出題されます。

さて、売主の瑕疵担保責任を定めた570条は、「売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、566条の規定(地上権等がある場合)を準用」して、その1項で「売買の目的物に瑕疵がある場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。
この場合、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる」と定めています。

善意の買主は、契約目的が達成できないときは契約解除および損害賠償請求を、解除できないときでも、損害賠償請求をすることができるということです。

ここで押さえるポイントは、

1 「隠れた瑕疵」の意味
2 担保責任の内容
3 責任の追及期間  の3つです。

1 隠れた瑕疵の意味

1 瑕疵というのは、目的物が「通常有している品質・性能が欠けている」ことで、いわゆる「欠陥」のことです。欠陥住宅というように。
物質的な瑕疵だけでなく、法律的な制限・瑕疵も含みます。

たとえば、購入した土地の一部が都市計画上の道路予定地であったため建物が建てられない、というような都市計画法上の利用制限も瑕疵とされます(最判昭41.4.14)。

2 瑕疵は「隠れた」ものであることが必要です。
「隠れた瑕疵」というのは、取引上一般に要求される程度の注意をしても発見できないような瑕疵、つまり、買主が瑕疵を知らず、かつ注意しても知りえないということで、瑕疵について買主の善意・無過失をいいます(大判大13.6.23)。

買主が瑕疵の存在を知って契約したのであれば、もはや「隠れた瑕疵」とはいえず、そのリスクを負担するのは当然といえますから、売主に瑕疵担保責任を追及することはできません。たとえ「重大な瑕疵」であっても、契約解除も損害賠償請求もできないのです。

3 瑕疵は、契約成立以前から存在するものでなければなりません。
契約成立後に生じた瑕疵は、売主にその責任があるかどうかによって、債務不履行責任(415条)か危険負担(534条1項)の問題となります。

2 責任の内容──瑕疵の程度による

売主の瑕疵担保責任は、瑕疵の程度により異なります。

つまり、
① 契約目的を達成できない重大な瑕疵がある場合に限り、契約解除と損害賠償請求
② そうではない軽微な瑕疵にすぎない場合は、損害賠償請求のみです。

善意の買主が、契約を解除できるのは、瑕疵のために契約目的を達成できない場合に限られるのであって、瑕疵がそれほど重大ではなく、契約目的に支障がない程度では契約を解除することはできません。
重大な瑕疵がある場合以外は、できるだけ契約の存続を図ったのです。

3 責任の追及期間

契約の解除および損害賠償請求は、瑕疵を知った時から1年以内に行使しなければなりません。
ここはしっかり頭にたたき込んでおいてください。

とくに「宅建業法」で規制する瑕疵担保責任とは異なりますから、民法上は、まず「知った時から1年以内」を覚えておくことがポイントです。

「履行期から2年」とか「引渡後1年間」などと引っかけで出題されることも多いところです。

4 その他のポイント

1 瑕疵担保による損害賠償請求権は消滅時効にかかるか

【判例】は「消滅時効にかかる」として、このように判示しています。
「売主に対する瑕疵担保による損害賠償請求権については、買主が事実を知った日から1年という除斥期間の定めがあるが、この定めがあることをもって、消滅時効の適用がないと解することはできない。

消滅時効の適用がないとすると、買主が瑕疵に気づかない限り、買主の権利が永久に存続することになり、これは売主に過大な負担を課するものであって適当といえない。

さらに、買主が売買の目的物の引渡しを受けた後であれば、遅くとも通常の消滅時効期間の満了までの間に瑕疵を発見して損害賠償請求権を行使することを買主に期待しても不合理ではないと解される。

したがって、瑕疵担保による損害賠償請求権には消滅時効の適用があり、この消滅時効は、買主が売買の目的物の引渡しを受けた時から進行する」(最判平13.11.27)。

この事例は、買主が宅地の「引渡しを受けた日」から21年余りを経過した後に、瑕疵担保による損害賠償を請求したというものでした。

♠ 第167条1項(債権の消滅時効)
債権は、10年間行使しないときは、消滅する。

2 借地権付建物を購入した場合の敷地の欠陥は瑕疵といえるか

借地上の建物の売買について、最高裁は、建物とともに売買の目的とされたものは借地権であり、敷地ではないから、敷地そのものの欠陥は売買の目的物の瑕疵ではないとしました(最判平3.4.2)。

2 条文とポイントまとめ

1 条文の確認

♠ 570条(売主の瑕疵担保責任)
売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、566条の規定を準用する。

♠ 566条(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
1 売買の目的物に瑕疵がある場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は契約の解除をすることができる。
この場合、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
2 (略)
3 契約の解除または損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から1年以内にしなければならない。

2 ポイントまとめ

1 瑕疵は、物質的な瑕疵だけでなく、法律上の制限も含む。

2 善意の買主が、契約を解除できるのは、瑕疵のために契約目的を達成できない場合に限られる。瑕疵が軽微のときは、損害賠償の請求ができるだけ。

3 売主に瑕疵担保責任を追及できるのは、買主が善意・無過失のときに限る。

4 瑕疵が重大であっても、悪意の買主は、契約解除も損害賠償請求もすることはできない。

5 売主に対する瑕疵担保責任の追及は、善意の買主が、瑕疵を知った時から1年以内に行使しなければならない。

6 瑕疵担保による損害賠償請求権は、買主が目的物の引渡しを受けた時から10年の消滅時効にかかる。


(この項終わり)