|公開日 2017.7.2

今回のテーマは、以下の2項目です。大体の概略をつかんでおきましょう。
■法律行為と意思表示と法律効果
■意思の欠缺と瑕疵ある意思表示

1 法律行為と意思表示と法律効果

民法の意思表示の項目では、法律行為、行為、契約などという用語が飛びかいますが、その違いを理解しておきましょう。

1 法律行為とは?

法律行為というのは、一言でいえば、契約のことです。
単に行為ということもあります。

物を売ったり買ったりする売買契約とか、物を貸したり借りたりする賃貸借契約、金銭の貸し借りをする金銭消費貸借契約など、いろいろな契約の総称を「法律行為」というのです。

図で示すとこのようになります。
法律行為

試験では、ほとんど「契約」という用語で出題されるのですが、ときどき「法律行為」という用語も使われています。

たとえば、【平成20年 問1】【平成22 年問1】【平成26年 問9】では、「法律行為」が使われていました。


■平成20年
【問 1】 行為能力に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 成年被後見人が行った法律行為は、事理を弁識する能力がある状態で行われたものであっても、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りではない。
2 未成年者は、婚姻をしているときであっても、その法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は、取り消すことができる。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りではない。(以下略)


■平成22年
【問 1】 制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1~3 略)
4 被補助人が法律行為を行うためには、常に補助人の同意が必要である。


■平成26年
【問 9】 後見人制度に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 成年被後見人が第三者との間で建物の贈与を受ける契約をした場合には、成年後見人は、当該法律行為を取り消すことができない。(2~4 略)

宅建試験では「法律行為=契約」と考えてまったく問題はありませんが、その違いは一応理解しておきましょう。

2 意思表示──申込みと承諾

非常に重要な用語です。
たとえば、売買契約は、売主が「売りましょう」という申込みをして、これに対し買主が「買いましょう」と承諾すれば成立します。
賃貸借契約であれば、貸主が「貸しましょう」という申込みをして、借主が「借りましょう」と承諾して成立します。

このように「意思表示」というのは「売る」とか「買う」、あるいは「貸す」「借りる」というように、最終的に権利の発生・移転・消滅を生じさせるように意思を表示することをいいます。
いいかえれば、法律行為(契約)を成立させるための「申込み」「承諾」のことです。
この意思表示を要素として、法律行為が成立します。

* 契約が成立するまでには、当事者間で、価格や数量、物件の引渡し時期、登記の移転時期などいろいろなことが話し合われますが、最終的に重要なのは「売る」「買う」、「貸す」「借りる」というように、権利に変動を生じさせることとなる意思表示なのです。

3 法律効果とは?

たとえば、土地の売買契約が成立すると、買主は土地の所有権を取得するとともに、代金の支払義務を負担します。
一方、売主は代金請求権を取得するとともに、土地の所有権移転義務を負うことになります。
契約の結果、発生するこれらの法律上の効果を「法律効果」といいます。

図示すると大体こんな感じです。

意思表示

2 意思の欠缺と瑕疵ある意思表示──意思表示の病理現象

意思表示は、法律行為の不可欠の要素であり、法律行為が有効に成立するためには、この意思表示自体が有効なものでなくてはなりません。

意思表示は、次のような要素で構成されていますから、これらの要素に欠陥がなければ有効と考えて問題はないのですが、そうでなければ意思表示を有効とすることはできないのです。

 ① 動機 ───────── 手ごろな価格だ
 ② 意思(真意)──── 買おう
 ③ 表示 ───────── 買いますと言う

1 意思の欠缺(けんけつ)とは?

意思の欠缺というのは、上記でいう、②意思(真意)と③表示が一致していない(不一致)もので、3つのパターンがあります。

 ・心裡留保  ・虚偽表示  ・錯誤

これらの意思表示は、表示者の意思を表しているものではないため、基本的に効力を生じない=無効とされます。

2 瑕疵ある意思表示とは?

瑕疵ある意思表示というのは、②意思と③表示の不一致はない、つまりその意思表示は、表示者の意思を表示したものとなっています。
しかし、意思表示を形成する過程に不法な作用が加えられたため意思表示が自由に行われなかった、自由な意思決定が存在しないもので、2つのパターンがあります。

 ・詐欺  ・強迫

これらの意思表示は、原則として取り消すことができるものとされています。

次回から、試験によく出る意思表示をくわしくみていくことにしましょう。


(この項終わり)