|公開日 2017.7.26

[今回のテーマ]
■保証人を頼まれたが、どんな責任が……。

1 保証債務

1 保証人の責任を知ろう

友人が200万円の借金をするので、頼まれてあなたが保証人になったとしたら、どれだけの覚悟をしなければならないのでしょうか。

2か月後には返せるあてがあるからとか、決して君には迷惑をかけないからとか、ほかにも保証人がいるからとか、いろんなことを言われて頼まれます。
いずれにせよ、保証人の責任について知っておくことは、宅建試験はもちろん日常生活においても決して損はありません。

2 保証債務の成立

保証人となる契約(保証契約)は、「債権者」と「保証人」との契約で成立します。

しかも、契約書などの書面でしなければ効力を生じません(無効)。従来は口頭の諾成契約によっても成立するとされていたのですが、口頭だと安易に保証が引き受けられやすく、しかも保証人が深刻な責任を負うことから、平成16年の改正で書面化が明確にされたのです。

  保証契約

普通は債務者から頼まれて保証人になることがほとんどでしょうが、民法上は、債務者の依頼・委託はまったく不要です。

そればかりか、債務者の意思に反して保証人になることも何ら問題はありません。
ただ、保証人が弁済して、主たる債務者に対して求償権を取得する場合に、求償額に差が出るだけのことです。

さて、保証債務の性質には、「付従性」「随伴性」「補充性」の3つがあります。
なかでも「付従性」が最も重要です。
保証債務は、付従性に始まり付従性に終わるといってもいいくらいです。

3 付従性

保証債務は、主たる債務を担保することが目的ですから、必ず「主たる債務の存在を前提」としています。主たる債務なしには成立することができません。
これを保証債務の付従性といいます。

具体的な内容は、次のとおりです。

1 成立の付従性
主たる債務が条件不成就のため成立しない場合や、主たる債務が錯誤を理由に無効だったり、詐欺を理由に取り消された場合には、保証債務は成立しません。

2 消滅の付従性
主たる債務が消滅するときは、(弁済や時効など)その理由が何であっても、保証債務も消滅します。

3 効力の付従性
① 主たる債務者について生じた事由の効力は、原則として、すべて保証人にも及びます。
たとえば、主たる債務者に対する履行の請求、主たる債務者による債務承認など、すべて時効の中断事由は、保証人にも効力を生じます。

  保証債務の付従性

② 保証人は、主たる債務者の有する抗弁権を援用できます。
たとえば、主たる債務者の有する同時履行の抗弁権を行使したり、主たる債務者の有する反対債権をもって相殺することができます。
主たる債務者が主張できることは、保証人もそのまま主張できるのです。

③ 主たる債務の変更に応じて、その内容を変更します。
主たる債務が損害賠償債務に変われば、保証債務もこれを担保します。

④ 保証債務は、主たる債務と同じ内容を有する従たる債務ですから、保証人の負担が、目的・態様において主たる債務より重いときは、主たる債務の限度に減縮されます。

たとえば、主たる債務が100万円で保証債務が120万円だったり、主たる債務が条件付きなのに、保証債務が無条件だったりすることは許されず、それぞれ100万円、条件付きに減縮されます。

主たる債務 ≧ 保証債務」 ということです。

⑤ 「保証契約締結後」に、主たる債務の内容が加重されても、保証人に効力は及びません。付従性もこの限りで制限されます。

⑥ 保証人について生じた事由の効力
主たる債務者に対して効力は生じません。
保証人が債務の承認をしても、主たる債務の消滅時効を中断することはなく、また主たる債務者が、保証人の有する債権をもって相殺することは許されません。

4 随伴性

主たる債務が他に移転したときは、保証債務もともに移転します。
「債権担保」が目的ですから、当然といえば当然です。運命をともにするのです。

債権譲渡があれば、保証人は、新債権者に対して保証債務を負うことになります。

5 補充性

保証債務は、主たる債務が履行されない場合に、第二次的に履行すべき債務です。これを補充性といいます。

この性質から、保証人は債権者から請求を受けても、「まず主たる債務者に催告せよ」(催告の抗弁権)、「まず主たる債務者の財産に執行せよ」(検索の抗弁権)という2つの抗弁権が導かれます。

なお、主たる債務は、将来発生する特定の債務、または条件付債務であってもかまいません。
継続的な取引関係から生じる複数の債務を一定の決算期において保証する根保証も認められます。根保証に関しては、平成16年の法改正で明文化されました。

6 保証人の要件

保証人になることができる者には、とくに制限はありません。
債権者は適当な者と保証契約を締結できます。

しかし債務者が、法律または契約によって保証人を立てる義務を負う場合には、一定の制限があります。つまり、

① 行為能力者であること
② 弁済資力を有すること

の2つの要件を備えることが必要です。
保証人が、②の要件を欠くに至ったときは、原則として債権者は、その要件を備える者を保証人とするよう請求することができます。

7 保証人の抗弁権

保証人は、債権者から請求されたらそれに応じて履行しなければならないのでしょうか。
保証債務の特質がここで現れます。
後述する連帯保証と大いに異なるところです。

1 催告の抗弁権
保証人は、債権者から履行の請求を受けたときは、原則として、まず主たる債務者に催告をするよう請求できます。
これを「催告の抗弁権」といいます。

保証債務は、主たる債務が履行されないときに履行するものだからです(補充性)。

2 検索の抗弁権
保証人は、主たる債務者に、弁済の資力があり、かつ、執行が容易であることを証明することによって、債権者の請求を拒むことができます。これを「検索の抗弁権」といい、やはり保証債務の補充性によるものです。

2 条文とポイントまとめ

1 条文の確認

■446条(保証人の責任等)
1 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

■447条(保証債務の範囲)
1 保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。
2 保証人は、その保証債務についてのみ、違約金、または損害賠償の額を約定することができる。

■448条(保証人の負担が主たる債務より重い場合)
保証人の負担が債務の目的または態様において主たる債務より重いときは、これを主たる債務の限度に減縮する。

■450条(保証人の要件)
1 債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、次に掲げる要件を具備する者でなければならない。
一 行為能力者であること。
二 弁済をする資力を有すること。
2 保証人が前項第2号に掲げる要件を欠くに至ったときは、債権者は、同項各号に掲げる要件を具備する者をもってこれに代えることを請求することができる。
3 前二項の規定は、債権者が保証人を指名した場合には、適用しない。

■452条(催告の抗弁)
債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。

■453条(検索の抗弁)
債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。

■457条(主たる債務者について生じた事由の効力)
1 主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の中断は、保証人に対しても、その効力を生ずる。
2 保証人は、主たる債務者の債権による相殺をもって債権者に対抗することができる。

2 ポイントまとめ

1 保証契約は、債権者と保証人との契約で成立する。

2 保証契約は、書面でしなければ効力を生じない。

3 保証契約は、債務者の意思に反してもすることができる。

4 主たる債務が無効のときや、取り消された場合には、保証債務は成立しない。

5 弁済や時効などで主たる債務が消滅すれば、保証債務も消滅する。

6 主たる債務者について生じた事由の効力は、原則として、すべて保証人にも及ぶ。

7 保証人は、主たる債務者の有する同時履行の抗弁権を行使したり、その反対債権をもって相殺することができる。

8 保証人について生じた事由は、主たる債務者に対して効力は生じない。
保証人が債務承認しても、主たる債務の消滅時効は中断せず、また主たる債務者が、保証人の債権で相殺することはできない。

9 債権譲渡があれば、保証人は、新債権者に対して保証債務を負う。

10 債務者が、保証人を立てる義務を負う場合には、保証人は、①行為能力者であること、② 弁済資力を有することの2要件が必要。

11 保証人は、催告の抗弁権と検索の抗弁権を有する。



(この項終わり)