|公開日 2017.7.7

[今回のテーマ]
 ■代理制度の必要性と仕組み

1 代理制度の必要性と仕組み

1 代理の意味──契約をするのは本人でなくてもいい

契約は、普通は自分で行います。
本人が自分で契約して、土地やマンションを買ったり借りたりするのですが、代理では、代理人が買ったり借りたりする契約をして、本人がその契約の効果である所有権や賃借権を取得します。

代理は、本人が自分で契約をしないで、他人である代理人に契約させて、契約の効果だけを取得するという制度なのです。

2 代理制度の作用──背景を理解すれば代理はやさしい

「代理人が結んだ契約によって本人が直接に権利義務を取得する」という代理制度が確立された理由は2つあります。

1つは、人の活動範囲を拡張するためです。
今日のように取引関係が複雑・高度になり、規模が拡大してくると、1人でそのすべてを処理するには限界があります。
自分の信頼できる人を「代理人」として選び、専門知識・経験を有するその「代理人」が代わって契約をして、その結果、本人が権利義務を取得するという仕組みを認めれば、活動範囲は飛躍的に拡張します。

任意代理人がこの作用を果たします。

もう1つは、人の活動を補充するためです。
本人が意思能力のない幼児や知的障害者などのような場合、自分で契約をすることがきわめて困難です。
こうした制限行為能力者が安全に社会生活を営んでいくためには、「代理人」としての親権者や成年後見人が代わって契約をして、その結果、本人が権利義務を取得するという仕組みが絶対に必要です。

法定代理人がこの作用を果たします。

3 代理行為と代理の効果

代理行為である契約は代理人が行うわけですから、実際に契約の意思表示をするのは代理人ですが、契約の効果はすべて直接本人について生じます。
契約をする者とその効果を受ける者とが異なるというのが、代理の最大の特徴です。

たとえば、BがAの代理人として、Aの所有地をCに売却した場合、売買契約はAC間で成立します。
代理の仕組み

代理人Bは、「Aを売主」とする売買契約を「買主C」と締結したのですから、売買契約はBC間ではなく、AC間(本人・相手方間)で成立することになります。

その結果、相手方Cは、本人Aに対して土地の引渡しや登記の移転を請求できますし、本人Aは、Cに対して売買代金を請求することになります。

4 代理の三面関係

代理では必ず、本人・代理人・相手方という三者間に法律関係が生じます。
三者間の内容は次のようになります。

1 本人・代理人間 ────── 代理権の存在をめぐる関係

2 代理人・相手方間 ───── 契約をする当事者としての関係

3 本人・相手方間 ────── 契約効果の帰属者としての関係

試験では、これらの関係が複合的に出題されます

次回から、これらの関係をくわしく見ていくことにしましょう。


(この項終わり)