|公開日 2017.5.10


【問 1】 AとBが1,000万円の連帯債務をCに対して負っている(負担部分は1/2ずつ)場合と、Dが主債務者として、Eに1,000万円の債務を負い、FはDから委託を受けてその債務の連帯保証人となっている場合の次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1,000万円の返済期限が到来した場合、CはA又はBにそれぞれ500万円までしか請求できないが、EはDにもFにも1,000万円を請求することができる。

 CがBに対して債務の全額を免除しても、AはCに対してなお500万円の債務を負担しているが、EがFに対して連帯保証債務の全額を免除すれば、Dも債務の全額を免れる。

 Aが1,000万円を弁済した場合には、Aは500万円についてのみBに対して求償することができ、Fが1,000万円を弁済した場合にも、Fは500万円についてのみDに対して求償することができる。

 Aが債務を承認して時効が中断してもBの連帯債務の時効の進行には影響しないが、Dが債務を承認して時効が中断した場合にはFの連帯保証債務に対しても時効中断の効力を生ずる。

(平成16年 問6)



[解説&正解]

連帯債務と連帯保証の異同を問う問題です。
本問では、請求、免除、求償関係、時効中断についてきいています。
得点差が出る混同しやすいテーマですから、正確に理解しておきましょう。

 誤り   [請求の方法]*432条
①連帯債務の場合、債権者Cは、連帯債務者A・Bに対して、それぞれ1,000万円全額を請求できる。A・Bの本来の債務はそれぞれ1,000万円であって、500万円は内部的な分担にすぎない。
②連帯保証の場合も、債権者Eは、主たる債務者Dと連帯保証人Fに対して、それぞれ1,000万円全額を請求できる。


 誤り   [免除の効力]*437条、458条
①連帯債務者Bが債務全額を免除されれば、Aも、Bの負担部分 500万円について債務を免れるため、残額 500万円の債務を負担することになる。
しかし、②連帯保証人Fが債務全額を免除されても、その効力は、主たる債務者Dの債務には及ばず、Dはなお債務全額を負担する。

※ 連帯保証には連帯債務の規定が多く準用されるが、連帯保証は保証であり、あくまで担保なのだから、そもそも負担部分というものがない。したがって、負担部分を前提とする免除は準用の余地がないのである(相殺、時効も同じ)。
連帯保証人の債務が免除されても、「その負担部分について主たる債務者もその債務を免れる」ということはありえない。いわば普通の保証人が全額免除されたのと同じだから、主たる債務者の債務は保証の付かない債務となるだけである。


 誤り   [求償関係の違い]*442条1項、459条1項
①連帯債務者Aが 1,000万円全額を弁済すれば、Bに対して、Bの負担部分 500万円について求償できる。
Bの負担部分は、Aにとっては他人の債務の弁済となる(いわば立て替えたことになるわけ)。
しかし、②委託を受けた連帯保証人Fが 1,000万円を弁済すれば、主たる債務者Dに対して 1,000万円全額を求償できる。「500万円」ではない。
委託を受けた保証人に損害が生じないよう、完全に求償できるようにしたのである。

※ 連帯保証では、そもそも主たる債務者に負担部分はないから、その求償関係も保証債務の場合と同じく、負担部分の制限を受けないのである。


 正しい  [債務承認の効力]*434条、440条、457条1項
①連帯債務者Aが、債務を承認して時効が中断しても、Bの連帯債務は中断しない。連帯債務では、請求以外の中断事由は、当人だけに相対的効力を生じるだけである。
しかし、②主たる債務者Dの債務承認により時効が中断すれば、保証債務の付従性により、Fの連帯保証債務も時効が中断する。
主たる債務について時効中断の事由が生じるときは、常に保証人・連帯保証人についても効力を生じるのである。

[正解] 4


■ワンランク・アップ
連帯保証は、保証債務であることに加えて、連帯債務の性質を合わせもっていますので、少しややこしくなります。ただし、あくまでも保証債務ですから、主たる債務者に生じた事由は、すべて保証人・連帯保証人にも及ぶという付従性はシッカリあるのです。
なお、連帯保証人の相殺援用については、主たる債務者が債権者に対して反対債権を有する場合、連帯保証人は、この反対債権による相殺をもって債権者に対抗することができます。保証人の相殺援用と同じです(457条2項)。

■しっかり読んでおきたい重要条文
*459条(委託を受けた保証人の求償権)
1 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において……、主たる債務者に代わって弁済をし、その他自己の財産をもって債務を消滅させるべき行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対して求償権を有する。


…………………………………………………………


【問 2】 AからBとCとが負担部分2分の1として連帯して1,000万円を借り入れる場合と、DからEが1,000万円を借り入れ、Fがその借入金返済債務についてEと連帯して保証する場合とに関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 Aが、Bに対して債務を免除した場合にはCが、Cに対して債務を免除した場合にはBが、それぞれ500万円分の債務を免れる。Dが、Eに対して債務を免除した場合にはFが、Fに対して債務を免除した場合にはEが、それぞれ全額の債務を免れる。

 Aが、Bに対して履行を請求した効果はCに及び、Cに対して履行を請求した効果はBに及ぶ。Dが、Eに対して履行を請求した効果はFに及び、Fに対して履行を請求した効果はEに及ぶ。

 Bについて時効が完成した場合にはCが、Cについて時効が完成した場合にはBが、それぞれ500万円分の債務を免れる。Eについて時効が完成した場合にはFが、Fについて時効が完成した場合にはEが、それぞれ全額の債務を免れる。

 AB間の契約が無効であった場合にはCが、AC間の契約が無効であった場合にはBが、それぞれ1,000万円の債務を負う。DE間の契約が無効であった場合はFが、DF間の契約が無効であった場合はEが、それぞれ1,000万円の債務を負う。

(平成20年 問6)



[解説&正解]

 誤り   [一方の免除の効力]*437条、458条
①連帯債務者の1人に対して債務の免除をすれば、その連帯債務者の負担部分についてだけ、他の連帯債務者も債務を免除される(絶対的効力)。
Bが債務免除された場合はCが、Cが免除された場合はBが、それぞれ他方の負担部分500万円について債務を免れる。
一方、②主たる債務者Eが債務免除された場合は、連帯保証人Fは債務全額を免除されるが、Fが債務免除されても、主たる債務者Eはなお全額の債務を負担する(保証の付かない債務となる)。


 正しい  [一方の請求の効力]*434条、457条、458条
①連帯債務者の1人に対する履行の請求は、他の連帯債務者に対しても効力を生じる(絶対的効力)。Aが、Bに履行請求した効果はCに及び、Cに履行請求した効果はBに及ぶ。
一方、②主たる債務者Eに対する履行請求は、連帯保証人Fにも効力を生じ、またFに対する履行請求は、Eにも効力を生じる。


 誤り   [一方の時効完成の効力]*439条、457条、458条
①連帯債務者の1人について消滅時効が完成すれば、その者の負担部分については、他の債務者も債務を免れる。
Bについて時効が完成すればCが、Cについて時効が完成すればBが、それぞれ他方の負担部分1/2の債務(500万円分)を免れることになる。

一方、②主たる債務者Eについて時効が完成した場合には、主債務は消滅するため、連帯保証人Fの債務も消滅する(保証債務の付従性)。
しかしFの債務が時効消滅しても、Eの主債務は存続したままで、ただ保証の付かない債務となる。債務そのものが消滅することはなく「全額の債務を免れる」ことはない。

※ 連帯保証には連帯債務の規定が準用されるが、連帯保証には負担部分がないから、結局のところ「連帯債務者の1人のために時効が完成したときは、その者の負担部分については、他の連帯債務者もその義務を免れる」という439条(連帯債務の時効に関する規定)は準用されないのである。


 誤り   [1人についての無効]*458条、440条
①連帯債務者の1人について生じた事由は、原則として当人だけに効力を生じ、他の債務者には影響がない(相対的効力の原則)。
つまり、AB間の契約が無効でも、AC間の契約は完全に有効だから、Cは1,000万円の債務を負い、AC間の契約が無効のときは、Bが1,000万円の債務を負う。
一方、②主たる債務が無効の場合は、保証債務も無効だから(付従性)、DE間の契約が無効のときは、それを保証する連帯保証人Fの保証債務も成立しないため、Fが「1,000万円の債務を負う」ことはない。
なお、DF間の保証契約が無効でも、DE間の契約はその影響を受けず有効であるため、Eは保証の付かない1,000万円の債務を負うことになる。

[正解] 2


■ワンランク・アップ  
[主たる債務者と連帯保証人について生じた事由の関係]
連帯保証には、連帯債務の規定が準用されます。しかし、連帯保証は保証債務であって、主たる債務を担保するものですから、普通の保証債務と同様に負担部分というものがありません。
したがって、連帯保証人に生じた事由については、連帯債務における、①請求、②更改、③混同、④相殺、⑤免除、⑥時効のうち、負担部分を前提とする、④相殺、⑤免除、⑥時効の規定は準用する余地がないのです。
結局のところ、①請求、②更改、③混同が準用され、これらについては、主たる債務者に対してもその効力を生じます。
たとえば、連帯保証人に対して裁判上の請求をすれば、主たる債務者に請求したのと同じ効果を生じ、主たる債務についても時効中断の効力が生じます。

*主たる債務者に生じた事由
 →→ すべて連帯保証人にも効力が及ぶ(保証債務の付従性)
*連帯保証人に生じた事由(連帯債務の準用)
 →→ 3つの事由(①請求、②更改、③混同)が主たる債務者に及ぶ


(この項終わり)