|公開日 2017.5.10


【問 1】 AがBに 1,000万円を貸し付け、Cが連帯保証人となった場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 Aは、自己の選択により、B及びCに対して、各別に又は同時に、1,000万円の請求をすることができる。

 Cは、Aからの請求に対して、自分は保証人だから、まず主たる債務者であるBに対して請求するよう主張することができる。

 AがCに対して請求の訴えを提起することにより、Bに対する関係で消滅時効の中断の効力が生ずることはない。

 CがAに対して全額弁済した場合に、Bに対してAが有する抵当権を代位行使するためには、Cは、Aの承諾を得る必要がある。

(平成10年 問4)



[解説&正解]

 正しい  [連帯保証の性質]*432条
連帯保証の場合、債権者Aは、主たる債務者Bと連帯保証人Cに対して、連帯債務と同様に、別々にまたは同時に 1,000万円全額の請求をすることができる。

※ 連帯保証は、保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担する保証債務だから、両者は連帯債務の関係にある。つまり、債権者が連帯保証人に対して有する権利は、連帯債務者に対して有する権利と同様なのである。
※ 普通の保証人には催告の抗弁権と検索の抗弁権があるため、債権者が請求しても一時的にせよ拒否されるため、債権の効力がそれほど強いわけではない。
ところが、保証人と主たる債務者が連帯債務の関係に立てば、保証とはいいながらほとんど連帯債務だから、債権はより強力になる。
一般に、保証人が連帯保証人とされるのはこういう理由があるからである。


 誤り   [催告の抗弁権の否定]*454条
連帯保証人Cは、Aからの請求に対して、まず主たる債務者Bに対して請求するよう主張することはできない。
連帯保証人は、連帯債務者と同じ立場にあるから、催告の抗弁権と検索の抗弁権は認められない。連帯債務にこれらの抗弁権がないのと同じである。


 誤り   [連帯保証人に生じた事由の効力]*458条、434条
連帯保証人Cに対する裁判上の請求(訴えの提起)は、主たる債務者Bに対してもその効力を生じ、消滅時効を中断する。


 誤り   [連帯保証人の代位弁済──保証人の代位権]*500条、501条
連帯保証人Cが全額弁済した場合に、債権者Aの抵当権を代位行使するために、Aの承諾は必要ない。
連帯保証人は、弁済をするについて正当の利益を有するから、債権者の同意に関係なく、弁済によって当然に債権者に代位する(法定代位)。
つまり代位した連帯保証人は、担保として、債権者が有していた一切の権利を行使できるから、抵当権も当然に連帯保証人に移転するのである。

※ 債務者以外の第三者が、債務者に代わって弁済をすると、その第三者は原則として債務者に対して求償権(立て替えて弁済したのだから、その分を返せという権利)を取得することになる。この求償権を確保するために法定代位が認められているのである。

[正解] 1


■しっかり読んでおきたい重要条文
*454条(連帯保証の場合の特則)
保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、催告の抗弁権・検索の抗弁権を有しない
*458条(連帯保証人について生じた事由の効力)
第434条から第440条までの規定(絶対的効力事由)は、主たる債務者が保証人と連帯して債務を負担する場合について準用する。
*500条(法定代位)
弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位する。


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【問 2】 Aは、Aの所有する土地をBに売却し、Bの売買代金の支払債務についてCがAとの間で保証契約を締結した。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。

 Cの保証債務がBとの連帯保証債務である場合、AがCに対して保証債務の履行を請求してきても、CはAに対して、まずBに請求するよう主張できる。

 Cの保証債務にBと連帯して債務を負担する特約がない場合、AがCに対して保証債務の履行を請求してきても、Cは、Bに弁済の資力があり、かつ、執行が容易であることを証明することによって、Aの請求を拒むことができる。

 Cの保証債務がBとの連帯保証債務である場合、Cに対する履行の請求による時効の中断は、Bに対してもその効力を生ずる。

 Cの保証債務にBと連帯して債務を負担する特約がない場合、Bに対する履行の請求その他時効の中断は、Cに対してもその効力を生ずる。

(平成15年 問7)



[解説&正解]

保証債務と連帯保証の異同に関する問題です。
共通する事由と違う事由を正確に理解することが得点のポイントです。

 誤り   [催告の抗弁権]*452条、454条
普通の保証人は、債権者から履行の請求を受けたときは、原則として、まず主たる債務者に催告をするよう請求できる(催告の抗弁権)。
しかし連帯保証人Cには、催告の抗弁権はなく、債権者Aからの請求に対して、まず主たる債務者Bに請求するよう主張することはできない。連帯債務と同じである。


 正しい  [検索の抗弁権]*453条
Cの保証債務にBと「連帯して債務を負担する特約がない」、つまり普通の保証債務の場合、保証人Cは、主たる債務者Bに、①弁済の資力があり、かつ、②執行が容易であることを証明することによって、債権者Aの請求を拒むことができる(検索の抗弁権)。

※ 保証債務は、主たる債務が履行されないときに履行する従たる債務である。これを保証債務の補充性といい、催告の抗弁権、検索の抗弁権が認められるのはこの補充性による。
※ 「主たる債務者」が、債権者から履行の請求を受けたとき、まず保証人に催告せよと請求することはできない。主たる債務者は履行するのが当然だから、催告の抗弁権、検索の抗弁権は認められないのである。


 正しい  [連帯保証人について生じた事由の効力]*458条、434条
連帯保証人に対する履行の請求は、主たる債務者に対しても効力を生じるから、履行請求によりCの債務に時効中断が生じれば、Bの債務についても消滅時効が中断する。

※ 連帯保証人は、主たる債務者と連帯しているため、あたかも連帯債務者の1人に対して請求したのと同じなのである。


 正しい  [主たる債務者について生じた事由]*457条1項
「連帯して債務を負担する特約がない」普通の保証債務の場合、主たる債務者について生じた事由は、原則として、すべて保証人についても効力を生じる(保証債務の付従性)。Bに対する履行の請求その他時効の中断は、保証人Cに対しても効力を生じるのである。

[正解] 1


■しっかり読んでおきたい重要条文
*453条(検索の抗弁)
債権者が主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。
*457条(主たる債務者について生じた事由の効力)
1 主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の中断は、保証人に対しても、その効力を生ずる。
2 保証人は、主たる債務者の債権による相殺をもって債権者に対抗することができる。


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【問 3】 保証に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 保証人となるべき者が、主たる債務者と連絡を取らず、同人からの委託を受けないまま債権者に対して保証したとしても、その保証契約は有効に成立する。

 保証人となるべき者が、口頭で明確に特定の債務につき保証する旨の意思表示を債権者に対してすれば、その保証契約は有効に成立する。

 連帯保証ではない場合の保証人は、債権者から債務の履行を請求されても、まず主たる債務者に催告すべき旨を債権者に請求できる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又は行方不明であるときは、この限りでない。

 連帯保証人が2人いる場合、連帯保証人間に連帯の特約がなくとも、連帯保証人は各自全額につき保証責任を負う。

(平成22年 問8)



[解説&正解]

 正しい  [保証契約の成立──委託の有無]*大判昭6.10.28
保証契約は、常に債権者と保証人との間で締結され、主たる債務者からの委託がなくても有効に成立する。

※ 保証人が保証契約を締結するのは、ほとんどの場合、主たる債務者から委託を受けているからだが、委託の有無は、保証契約の成立とは関係はない。債務者に黙って保証人になってもいいし、債務者の意思に反して保証人になることもできる。
また、債務者から委託を受けて保証契約を締結した場合でも、保証委託契約が無効であったり取り消されても、保証契約自体には影響はない。


 誤り   [保証契約の成立──書面性]*446条2項
保証契約は、契約書などの書面でしなければ効力を生じない(無効)。
「口頭で明確に」保証する旨の意思表示をしても無効である。
従来、あいまいな保証契約によって保証人に過重な責任を負わせていたため、書面によって明確化させようという趣旨なのである。


 正しい  [催告の抗弁権]*452条
「連帯保証ではない場合の保証人」、つまり普通の保証人には、原則として催告の抗弁権があり、債権者から履行を請求されても、まず主たる債務者に催告すべき旨を債権者に請求できる。
保証債務は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、履行責任を負うものだからである(保証債務の補充性)。
ただし、
① 主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたときや、
② 行方不明のときは、この抗弁権はない。
①の場合に抗弁権が認められないのは、主たる債務者に弁済能力のないことが法律上証明されているからである。


 正しい  [連帯保証に分別の利益はあるか]*456条、大判昭6.4.28
数人の保証人がいる共同保証には、
 ① 普通の保証人である場合と、
 ② 連帯保証人である場合 とがある。
①の場合、各保証人は「平等の割合」で分割された債務のみを保証する。これは保証人の利益になるから「分別の利益」といわれる。
一方、②の連帯保証の場合には、各保証人は、主たる債務者と連帯して全額を弁済する義務を負っているのであるから、分別の利益はない。
「連帯保証人間に連帯の特約」がなくても、各自全額につき保証責任を負うのである。

[正解] 2


■ワンランク・アップ  [共同保証]
たとえば、債務者BがAに対して負う1,000万円の債務について、C、Dが保証人になるというように、保証人が2人以上いる場合を共同保証といい、2つの特別扱いがされます。
1つは、分別の利益(対外関係)です。
複数の保証人が、それぞれ普通の保証債務を負担した場合、債務額は保証人の数に応じて分割されるのが原則です。保証人C、Dの負担する保証債務は500万円ずつになり、これを共同保証人の分別の利益といいます。
しかし、共同保証人の各人が、主たる債務者と連帯する連帯保証人には、全部を弁済する義務がありますから、分別の利益はありません。
2つは、求償関係(対内関係)です。
共同保証人が弁済すれば、主たる債務者に求償権を有するのは当然ですが、他の共同保証人にも求償できるのです。債務者の無資力のリスクを1人で負担するのは不公平だからです。
連帯保証人のように分別の利益のない保証人間で求償が行われる場合、連帯保証人は、他の連帯保証人に対し、各自の負担部分について求償権を有します。

■しっかり読んでおきたい重要条文
*446条(保証人の責任等)
1 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う(保証債務の補充性)。
2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
*452条(催告の抗弁権)
債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、またはその行方が知れないときは、この限りでない。
*456条(数人の保証人がある場合──共同保証)
数人の保証人がある場合には、それらの保証人が各別の行為により債務を負担したときであっても、第427条(数人の債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債務者は、それぞれ等しい割合で義務を負う)を適用する。


(この項終わり)