|公開日 2017.5.10


【問 1】 Aには、相続人となる子BとCがいる。Aは、Cに老後の面倒をみてもらっているので、「甲土地を含む全資産をCに相続させる」旨の有効な遺言をした。この場合の遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 Bの遺留分を侵害するAの遺言は、その限度で当然に無効である。

 Bが、Aの死亡の前に、A及びCに対して直接、書面で遺留分を放棄する意思表示をしたときは、その意思表示は有効である。

 Aが死亡し、その遺言に基づき甲土地につきAからCに対する所有権移転登記がなされた後でも、Bは遺留分に基づき減殺を請求することができる。

 Bは、遺留分に基づき減殺を請求できる限度において、減殺の請求に代えて、その目的の価額に相当する金銭による弁償を請求することができる。

(平成20年 問12)



[解説&正解]

 誤り   [遺留分侵害の遺言]*1031条
「当然に無効」が誤り。
遺留分を侵害した遺言も、当然に無効となるのではなく、遺留分権利者の減殺請求によって、遺留分を保全するのに必要な限度で、その効力を失うのである。


 誤り   [遺留分の放棄]*1043条1項
A死亡の前(相続開始前)における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り効力を生じるから、AおよびCに対して直接、書面で遺留分放棄の意思表示をしても無効である。


 正しい  [減殺請求権の消滅]*1031条
遺留分を侵害する遺言に基づいて所有権移転登記がなされれば、その後であっても、Bは当然に減殺請求をすることができる。


 誤り   [受贈者等の価額弁償]*1041条1項
受贈者・受遺者に対して遺留分に基づく減殺請求が行使された場合、受贈者等は減殺を受けるべき限度において、贈与または遺贈の目的価額を遺留分権利者に弁償して返還義務を免れることができる。
相続人Bの方から、減殺請求に代えて、価額相当額の弁償請求をすることはできない。

[正解] 3

■しっかり読んでおきたい重要条文
*1041条(遺留分権利者に対する価額弁償)
1 受贈者および受遺者は、減殺を受けるべき限度において、贈与または遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れることができる。
*1043条(遺留分の放棄)
1 相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。


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【問 2】 遺言及び遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定によれば正しいものはどれか。

 自筆証書による遺言をする場合、証人二人以上の立会いが必要である。

 自筆証書による遺言書を保管している者が、相続の開始後、これを家庭裁判所に提出してその検認を経ることを怠り、そのままその遺言が執行された場合、その遺言書の効力は失われる。

 適法な遺言をした者が、その後更に適法な遺言をした場合、前の遺言のうち後の遺言と抵触する部分は、後の遺言により撤回したものとみなされる。

 法定相続人が配偶者Aと子Bだけである場合、Aに全財産を相続させるとの適法な遺言がなされた場合、Bは遺留分権利者とならない。

(平成17年 問12)



[解説&正解]

 誤り   [証人は2人以上必要か]*968条1項、969条1号
自筆証書遺言には、証人2人以上の立会いは不要である。
「証人二人以上の立会いが必要」なのは、公正証書による遺言の場合である。


 誤り   [遺言書の検認]*1004条、985条1項
遺言書が、家庭裁判所の検認を経ないで執行されても、その遺言書は有効である。
遺言は、遺言者の死亡の時から直ちに効力を生じ、そのために特別の手続きを必要としない。もともと権利の帰属は、空白期間を置かずに直ちに生じるのが大原則。

※ 遺言書の保管者は、相続開始を知った後は、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を受けなければならないが、検認は、遺言の執行を円滑に実施するための準備手続(証拠保全手続)であって、内容の真偽や有効・無効を判定するものではないのである。


 正しい  [前の遺言と後の遺言との抵触]*1023条1項
前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされる。
前の遺言どおりの内容を実現する意思はすでにないと認められるからである。


 誤り   [遺留分権利者]*1028条
配偶者「Aに全財産を相続させる」との適法な遺言がなされても、子Bが遺留分権利者であることに変わりはない。
相続人のうち、遺留分が認められているのは、配偶者、子、直系尊属であるから、相続人が配偶者と子だけである場合、両者とも遺留分権利者となる。

[正解] 3

■しっかり読んでおきたい重要条文
*969条(公正証書遺言)
公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人2人以上の立会いがあること。(以下略)
*985条(遺言の効力の発生時期)
1 遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。

■ワンランク・アップ  [遺留分の割合]
遺留分割合については、1→2の順で計算します。
1 遺留分権利者全体の割合
[相続人が直系尊属だけの場合] 被相続人の財産の1/3
[相続人が上記以外の場合]   被相続人の財産の1/2
(例)・子だけのとき  ・配偶者だけのとき
・子と配偶者のとき  ・直系尊属と配偶者のとき

2 遺留分権利者の個別割合
1の遺留分割合に、遺留分権利者の法定相続分を乗じたもの
・妻の遺留分 (遺留分割合×相続分) 1/2×1/2=1/4
・子が3人の場合の遺留分(同 上) 1/2×1/6=1/12


(この項終わり)