公開日 2017.5.14|更新日 2018.8.27


宅建民法の正しい勉強法
民法の勉強がはじめての人、苦手な民法が原因で毎年合格できない人、そもそもどんな勉強をしたらいいか分からない人、独学で奮闘している人、地方で頑張っている人……。
そういったみなさんが、民法の正しい勉強法・コツを身につけて「安定して高得点できる勉強法」をご紹介します。民法の勉強法を真剣にお考えの方は、じっくりとお読みください。

多くの方が活用しています

1 何を勉強するの?

宅建民法の試験問題は、ほとんどが「民法の規定及び判例によれば、正しい(誤っている)ものはどれか」というように出題されます。
「民法の規定」によれば……、つまり「民法の条文」によれば……、ときいているわけです(判例はしばらく置くとして)
ですから、宅建民法の問題は「条文」を知らなければ正解のしようがないのです。

1 テキストは条文の解説書

民法で勉強するのは、実は「条文」なのです。「条文」と言うと、多くの方から敬遠されてしまうのですが、実際のところ、民法を勉強するというのは、条文を勉強するということにほかなりません。条文を抜きにして民法の勉強は絶対にありえないのです。

大学や図書館、大型書店(ジュンク堂や三省堂など)に山のように陳列されている『民法の専門書』は、『判例集』『注解書』『民法研究書』『コンメンタール(遂条解説書)』など数多くの種類がありますが、何といっても大半は『条文の解説書』です。

2020年4月から施行される「改正民法」に関する本が、多くの出版社から続々刊行されていますが、これも『改正条文の解説書』にほかなりません。

そして、みなさんが使っている宅建民法用の『テキスト』も、要するに『条文の解説書』なのです。みなさんは『テキスト』を読んで民法を勉強しているわけですが、多くの方はそれと知らずに、実際は「条文を勉強している」のです。

2 条文の趣旨を勉強

条文の勉強というのは、条文が規定されるに至った「制度趣旨やその理由を勉強する」ということです。条文は制度趣旨や理由があって定められているのですから、これらを理解しないことには、本当に条文を(つまりは民法を)理解することはできません。

宅建用の『テキスト』は、こうした制度趣旨や立法理由を初学者向けにわかりやすく解説しているのです。

念のために言っておきますが、「条文を勉強する」ということは、決して「条文を暗記する」ということではありません。
「条文暗記」を推奨するような『テキスト』など1冊もないはずです。

2 4つのポイント

さて「何を勉強するの?」ということですが、『テキスト』を読むときには、必ず次の4つのポイントを理解するようにしてください。民法理解に欠かせないもっとも基本的なポイントです。

1 意 義
2 原則と例外
3 要件と効果
4 本人と第三者との関係

もちろんこれだけに限られるわけではありません。ほかにも「成立要件」「性質」「場合分け」「効力」「種類」など、民法で勉強することは数多くあります。

1 意 義

民法理解の第1歩は、何といっても「意味を理解する」ことです。
たとえば、「権利能力とは何か」「虚偽表示とは何か」「抵当権とは?」「物上保証人とは?」「保証債務とは?」「付従性とは?」「遡及効とは?」「瑕疵担保責任とは?」「使用者責任とは?」などなど……。

まず、こういった民法用語を絶対に理解しなければなりません。『テキスト』には必ず説明してありますから、これらの用語は真っ先にマーカーを引いて覚えます。

これに関連して相違(相異)に注意します。「債務者と物上保証人の違い」「連帯債務と不真正連帯債務の違い」「弁済と弁済の提供の違い」「相続放棄と遺留分放棄の違い」などなど……、こうした点も理解しなければなりません。

宅建試験では「用語の意味」自体を問う問題は出題されません。受験者はこうした用語は当然に理解しているもの、という前提で出題されるのです。

民法用語の「意味を理解する」ことが、民法マスターの第1歩です。

2 原則と例外

どんな法律も「原則と例外」で構成されています。民法も基本的には「原則と例外」で成り立っています。「原則と例外」はきわめて重要です。
そのため、標準的な『テキスト』は必ず「原則と例外」を解説していますから、「原則は何か」「例外は何か」、これらを絶対に理解するようにしてください。

具体的に説明しましょう。
たとえば未成年者の行為能力について、『テキスト』は大体次のように解説しています。

「未成年者が法律行為(契約)をするには、原則としてその法定代理人の同意を得なければならず、同意を得ないでした法律行為は、取り消すことができる。ただし、単に権利を得、または義務を免れる行為については、法定代理人の同意は不要で、未成年者が単独ですることができる(5条)

これは、未成年者が売買契約や賃貸借契約をするときには、「原則として」自分1人ではできず、必ず親などの法定代理人の同意が必要であること。ただし「例外として」、単に権利を得たり義務を免れる行為については、法定代理人の同意は不要で、未成年者が1人ですることができる、といっているのです。

多くの『テキスト』は、このように「原則」と「例外」をハッキリ書いてありますので、すぐにわかります。「原則」があれば「例外」があるわけで、ここでは「ただし……」以下が例外事項です(「ただし」とあったら「例外」という意味です)

こうして「原則と例外」を理解することもまた、民法マスターの第1歩です

「原則と例外」は、民法に限らず、宅建業法や都市計画法、建築基準法など試験科目になっているすべての法律の至るところに出てきますので、共通のポイントなのです。

3 要件と効果

どんな法律も「要件と効果」で構成されています。民法も基本的には「要件と効果」で成り立っています。「要件と効果」もまた、きわめて重要です。
そのため『テキスト』には、必ず「要件」についての解説があり、その「効果」についての解説があります。
「要件」は何か、その「効果」は何か、しっかり理解しなければなりません。

テーマによっては「意義と効果」という場合もありますが、意義・要件をあまり厳密に区別する必要はありません。

さて、「原則と例外」「要件と効果」は、大体こういう構成になっています。

[原則]=(要件)+(効果)
[例外]=(要件)+(効果)

常にこの図式で記述されているわけではありませんが、だいたいこ~んな感じです。

さて、「要件と効果」はどのように記述されているでしょうか。先ほどの未成年者の行為能力をみてみましょう。

「未成年者が法律行為(契約)をするには、原則としてその法定代理人の同意を得なければならず、同意を得ないでした法律行為は、取り消すことができる。ただし、単に権利を得、または義務を免れる行為については、法定代理人の同意は不要で、未成年者が単独ですることができる(5条)

未成年者が売買契約などの法律行為をする場合は、原則として法定代理人の同意が必要とされており、同意がないときは、取り消すことができるという趣旨でしたね。

ここでは、「同意がない」という「要件」があれば、「取り消すことができる」という「効果」が生じるとされているのです。
例外の場合でも、「単に権利を得る行為、または義務を免れる行為」であれば、これを「要件」として、「同意はいらない」という「効果」が生じるのです。

「原則」の場合では、どういう「要件」のときに、どんな「効果」が生じ、また「例外」の場合には、どういう「要件」のときに、どんな「効果」が生じるのか。

「要件と効果」を理解することも、民法マスターの第1歩なのです

4 本人と第三者との関係

民法では、「第三者」は非常に重要です。
民法の存在理由は、要するに「紛争解決の標準マニュアル」という点にあるのですが(民法の基礎|はじめに 参照)、法律関係とか契約では「本人と第三者の権利関係」がしばしば問題となり、そして、本人と第三者は常に対立するのです。

たとえば、相手にだまされて契約した詐欺の場合について、『テキスト』はおおむね次のように記述しています。

「詐欺による意思表示は取り消すことができる。これは、だまされた本人を保護するためである。しかし、この取消しは善意の第三者には対抗することができない(96条)

だまされて契約をしたときは、だまされた「本人」はその契約を取り消すことができるけれども、「善意の第三者」に対しては、契約を取り消したことを主張できない(取り消したんだから、もともとの権利は自分にあるとは言えない)というわけです。

民法では、こうした「善意の第三者」に対する関係をキチンと理解する必要があります。権利をめぐって「本人」と「第三者」が対立したときに、「本人」を保護すべきなのか、「第三者」を保護すべきなのか。民法はどのように考えているのか。この点が要注意なのです。

ちなみに「第三者」を保護すべきだという場合でも、保護されるための「要件」は、必ずしも一様ではありません。過失(=不注意)がある場合には保護されないとか、過失があってもいいとか、重過失はダメだとか、登記がなければ保護されないとか、登記がなくても保護されるとか、いろいろです。

単なる「第三者」なのか、「善意の第三者」なのか、「善意・無過失の第三者」なのか。どういう「要件」を備えた第三者が保護されるのか、どういう第三者だと保護されないのか。

「本人と第三者との関係」を理解することも、民法マスターの第1歩なのです。

以上をまとめてみましょう────
「意 義」   
どんな意味なのか、違いは何か
「原則と例外」 
原則は何か、その例外は何か
「要件と効果」 
それぞれの要件とその効果は何か
「第三者関係」 
本人と第三者の関係はどうなっている?

この4つのポイントを忘れないでください。民法で「安定して高得点する」最小限のポイントです。これを意識して読むのと、ただ単に覚えようとして読むのとでは、理解力の深さに格段の差が出てくるのです。

民法でよく出てくる「対抗することができない」「主張することができない」というのは、この点で裁判しても「100%勝ち目はない」「絶対に負ける」ということです。

3 宅建民法が得意科目になる唯一の勉強法

ほんとうに、そんな勉強法があるのでしょうか?

1 暗記では歯が立たない事例

宅建民法の試験問題は、ほとんどが事例問題です。

たとえば「Aが甲土地をBに売却する前にCにも売却していた場合、Cは所有権移転登記を備えていなくても、Bに対して甲土地の所有権を主張することができない……」というように、具体的な事例で出題されます。

10問のうち、70%前後が「過去問に類似した問題」ですが、必ず別の表現・異なった記述・違った角度から出題されます。ですから、原理・原則や場合分けなどをそのまま丸暗記していてもなかなか応用が利きません。
暗記が必要な部分ももちろん少なくないのですが、暗記で乗り切れるような科目ではありません。

♣ 民法が苦手な本当の理由とは?

多くの受験者が民法に強くなれないのは、暗記をすることが民法の勉強だと思っているからです。テキストの記述を全部覚えようとするからです。
こうした勉強をいくら続けていても、基礎力・応用力は絶対につきません。

原因は、論理的な思考方法にあります。民法は論理的な法律ですから、論理的な勉強をしないことには民法には強くなれないのです。

ただ幸いなことに、宅建民法は、司法試験や国家公務員試験などと比べて、それほど高度な論理性が要求されるわけではありませんから、決して難しい科目ではないのです。
「論理的な勉強?」といって身構えることはありません。


さて、市販のテキスト類には「民法をマスターするためには、制度趣旨や理由を考えながら読むことが重要で、なぜこうなるのかと考えながら勉強することで法的思考力・論理的思考力が養われていきます」などと書かれています。
なんだか難しそうですね。こうした指摘は間違ってはいないのですが、ちょっと具体性に欠けていますね。

ここではひとつの手がかりとして、民法の専門書から探ってみましょう。
民法の勉強がはじめてという人には難しいかもしれませんが、民法の講義をしているわけではないので、ザーッと目を通すだけで十分です。


代理における「自己契約と双方代理」に関する説明をとりあげましょう。
専門書にはこう書いてあります。

「同一の法律行為について、当事者の一方が相手方の代理人となることを自己契約といい、また、同一人が同一の法律行為について、当事者双方の代理人となることを双方代理という。
自己契約・双方代理は、原則として禁止される(108条本文)。事実上、代理人が自分ひとりで契約することになって、本人や当事者の利益が不当に害されるおそれがあるからである。したがって、そのようなおそれがない場合には、禁止する必要はなく、除外してよい」(『民法(1)総則 有斐閣双書』)

どうでしょうか、サラッと読んだだけではどこが重要な個所なのか、最初はなかなか分かりませんね。みんな重要個所のように思えて、全部にマーカーしてしまうかもしれませんね。
しかし、どこもかしこも片っ端から覚え込むのは骨が折れますよね。

「制度趣旨や理由を考えながら読む」ってどうすればいいんですかね。
もちろん、あなたが読まれる宅建試験用のテキストは、もっとやさしい表現で書かれていますが、読み方の基本的なポイントは同じです。

どのような読み方をすれば、無理なく論理的思考力が身について、民法に強くなるのでしょうか。

2 「ので、から説」───驚くほど効果がある勉強法

♥ とっておきのアドバイス

民法に強くなる唯一の正しい勉強法は、「ので、から説」を使って勉強することです。議論の余地はありません。

これこそ、論理的思考力を身につける唯一・最適の方法です。しかも、超簡単です。今日から使えます。

ので、から説」というのは、「~~ので、……である」「~~だから、……である」「~~のために、……である」などの記述から「趣旨・理由」を理解していく勉強法をいいます。

あなたが使っているテキストで、次のような記述に注意してください。

~~ので、……である」
~~だから、……である」
~~のため、……である」
~~。したがって……である」
~~である以上、……である」
「……である。なぜなら~~
~。そこで、……である」

つまり、テキストを読んでいて、
~~ので」とか、
~~だから
~~のため
~~。したがって
などの「~~(ニョロニョロ)」の個所があれば、この部分こそが、まさに「趣旨・理由」を説明した記述で最も重要な個所なのです。

「趣旨・理由」についての説明は、必ず「~ので」「~だから」「~のため」などと記述されますから、ここをじっくり読み込んで趣旨や理由を理解していきます。

「趣旨・理由」を説明する記述には、ほかにも「~~である以上」「~~のゆえんは」「その趣旨は~~」など、いろいろな表現がありますが、これらを代表してので、から説といいます。

それでは、先ほどの専門書で「ので、から」を確認してみましょう。

「同一の法律行為について、当事者の一方が相手方の代理人となることを自己契約といい、また、同一人が同一の法律行為について、当事者双方の代理人となることを双方代理という。
自己契約・双方代理は、原則として禁止される(108条本文)。事実上、代理人が自分ひとりで契約することになって、本人や当事者の利益が不当に害されるおそれがあるからである。したがって、そのようなおそれがない場合には、禁止する必要はなく、除外してよい」

お分かりでしょうか。

どうして、自己契約・双方代理が禁止されるのか。

ので、から」の個所にチャンと説明してありますので、そこをよく読んで理解するようにするのです。
「自己契約・双方代理は、原則として禁止される」という結論だけを覚える勉強は、理解度50%にすぎません。

「理解する」というのは、「納得する」ということです。「なるほど、 そういうことか!」とわかれば、しめたものです。民法理解は、この積み重ねです。

趣旨・理由が納得できれば、歯を食いしばって暗記しなくても、自然とその結論も記憶することができます。
難しく考えることはありません。
要するに、「ので、から」に注意しながら読んでいく、というだけのことです。

「ので、から説」を使っていれば「論理的思考力」は自然と上達していきます。「ココが重要だろう」と当て推量でテキストを読んでいては、永遠に民法をマスターすることはできません。

「ので、から説」───驚くほど効果があります。
「ので、から説」───これこそ民法の正しい勉強法です。
「ので、から説」───これこそ民法が得意科目になる唯一の勉強法です。

もう民法の勉強法であれこれ悩むことはありません。

キーワードは「ので、から」

3 判例も「ので、から説」を使っている──効果は実証済み

「ので、から説」が法律の現場でどのように使われているか、論より証拠、最高裁判所の判例を少しばかり確認してみましょう。

判決文は読みづらいものです。
しかし、ここでは「ので、から説」で判旨が理論構成されていることを確認するだけですから、ザーッと目を通すだけで十分です。

下線部分が「ので、から説」で趣旨・理由を説明している記述、赤字部分が結論を示している記述です。

♠ 最判昭44.5.27
論点[虚偽の意思表示をした者は、登記のない善意の第三者に対して不動産所有権を対抗できるか]
(判決要旨)
民法94条が、その一項において相手方と通じてした虚偽の意思表示を無効としながら、その二項において右無効をもって善意の第三者に対抗することができない旨規定しているゆえんは、外形を信頼した者の権利を保護し、もって、取引の安全をはかることにあるから、この目的のためにかような外形を作り出した仮装行為者自身が、一般の取引における当事者に比して不利益を被ることのあるのは、当然の結果といわなければならない。
したがって、……善意の第三者がその外形を信頼して取引関係に入った場合においては、その取引から生ずる物権変動について、登記が第三者に対する対抗要件とされているときでも、仮装行為者としては、右第三者の登記の欠缺を主張して、物権変動の効果を否定することはできないものと解すべきである。

♠ 最判昭40.9.10
論点[要素の錯誤による意思表示の無効を第三者が主張できるか]
(判決要旨)
民法95条の律意は、瑕疵ある意思表示をした当事者を保護しようとするにあるから、表意者自身において、その意思表示に何らの瑕疵も認めず、錯誤を理由として意思表示の無効を主張する意思がないにもかかわらず、第三者において錯誤に基づく意思表示の無効を主張することは、原則として許されないと解すべきである。

♠ 最判平5.1.21
論点[無権代理人が本人を共同相続した場合における無権代理行為の効力]
(判決要旨)
無権代理人が本人を他の相続人と共に共同相続した場合において、無権代理行為を追認する権利は、その性質上相続人全員に不可分的に帰属するところ、無権代理行為の追認は、本人に対して効力を生じていなかった法律行為を本人に対する関係において有効なものにするという効果を生じさせるものであるから共同相続人全員が共同してこれを行使しない限り、無権代理行為が有効となるものではないと解すべきである。

♠ 最判平16.4.20
論点[共同相続人の1人がその相続分を超えて債権を行使した場合、他の共同相続人は不法行為に基づく損害賠償請求ができるか]
(判決要旨)
共同相続人の1人が、相続財産中の可分債権につき、法律上の権限なく自己の債権となった分以外の債権を行使した場合には、当該権利行使は、当該債権を取得した他の共同相続人の財産に対する侵害となるから、その侵害を受けた共同相続人は、その侵害をした共同相続人に対して不法行為に基づく損害賠償又は不当利得の返還を求めることができるものというべきである。

♠ 最判昭40.11.24
論点[解約手付が授受された売買契約の履行に着手した当事者からの解除]
(判決要旨)
解約手付の交付があった場合には、特別の規定がなければ、当事者双方は、履行のあるまでは自由に契約を解除する権利を有しているものと解すべきである。
しかるに、当事者の一方が既に履行に着手したときは、その当事者は、履行の着手に必要な費用を支出しただけでなく、契約の履行に多くの期待を寄せていたわけであるから、もしかような段階において、相手方から契約が解除されたならば、履行に着手した当事者は不測の損害をこうむることとなる。したがって、かような履行に着手した当事者が不測の損害をこうむることを防止するためとくに民法557条1項の規定が設けられたものと解するのが相当である。

以上、ほんの一例にすぎませんが、「ので、から説」で理由づけがされていることがお分かりでしょう。

「ので、から説」──法曹界で日常的に使われている最も信頼できる方法です。

平成20年から29年までの10年間、判決文問題が1問出題されていますので、ついでながら判決文問題もみておきましょう。昨年出題されたばかりの共有に関する問題です(選択肢は省略)

【平成29年 問3】
「次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。
(判決文)
共有者の一部の者から共有者の協議に基づかないで共有物を占有使用することを承認された第三者は、その者の占有使用を承認しなかった共有者に対して共有物を排他的に占有する権原を主張することはできないが、現にする占有がこれを承認した共有者の持分に基づくものと認められる限度で共有物を占有使用する権原を有するので、第三者の占有使用を承認しなかった共有者は右第三者に対して当然には共有物の明渡しを請求することはできないと解するのが相当である。」

「ので、から説」に慣れてくれば、こうした判決文問題を読み解くことも難しくはないはずです。

おまけ ── 図を書く

テキストを読むとき、問題練習をするときに、「A、B、C」が登場する事例が出てきたら、必ず用紙に「A→B→C」と関係図を書く習慣をつけるようにしてください。
事実関係を正確に理解して、正解するためです。

頭ん中だけでイメージしてテキストを読んだりしていては、正解できません。
賃貸人A、賃借人B、転借人C、Aの債権者Dなどとオールキャストが登場すると、図を書かないことには完全にお手上げです。

本試験の2時間という「限られた時間」では、簡単な事例問題であっても、最初に問題を解く際も、後から見直し作業をする際も、図がないと、ちょっとしたパニックになります。

本試験のときは、問題用紙の余白(常にタップリあるわけではありません)に書いて解くことになりますので、小さなスペースでも書けるように、今から慣れておきましょう。

A、B、Cの立場や権利の流れなどが一目してわかりさえすればいいのですから、自分流の図でかまいません。


1回で合格する決意で取り組んでください。
もう1回勉強するのは、時間とエネルギーの浪費です。
ご健闘を祈ります。


(この項終わり)